週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

2020年のオーディオトレンドを振り返る

2021年01月11日 13時00分更新

 昨年はかつてないほどの激動の年であったが、本連載もめでたく一年が経過し、この間もオーディオ界は動いていた。その2020年を本連載の記事から振り返ってみようと思う。

 昨年はコロナ禍の影響で様々なイベントに影響があった。ただし2月までは新型コロナの影響はさほど大きくなかったので、年明けのCES2020や2月8日に開催されたフジヤエービック主催のポタ研2020冬までは例年通りの開催ができた。

なかなかの盛り上がり見せた「ポタ研 2020冬」

 ただしこの後に3月頃から新型コロナの感染拡大により、日本では4月7日から緊急事態宣言が発令されるという非常事態となった。そのためにフジヤエービック主催のヘッドフォン祭が異例とも言える開催中止になった。しかし、その代わりにオンラインでの配信イベントが行われた。

ヘッドフォン祭 春2020 ONLINE(前編)
ヘッドフォン祭 春2020 ONLINE(後編)
オンライン開催された「秋のヘッドフォン祭」(前編)
オンライン開催された「秋のヘッドフォン祭」(後編)
 

 また据え置きのオーディオでも新しいオンライン化の動きが見られた。その一つはオーディオ評論家主催のオンライン・オーディオイベント「Audio Renaissance Online」だ。 

 そして2020年の半ばを過ぎる頃にはオーディオの世界でも徐々にまた製品の発表が行われるようになった。ポータブルオーディオの分野ではやはり完全ワイヤレスが中心であった。

 本連載はやはりオーディオ連載なので、その中でも音質の優れた製品を紹介してきた。

 国産ではfinalがagブランドで販売している完全ワイヤレス製品の中で、「TWS04K」および色違いモデルの「TWS04K-WH」がコストパフォーマンスの高い高音質の完全ワイヤレスとして光っていた。両モデルは色違いだけではなく、音のチューニングも異なる。

finalの完全ワイヤレス「TWS04K-WH」を聴く、ただの色違いだと思っちゃダメ

 また「FALCON」で完全ワイヤレスの世界にも浸透したハイエンドイヤフオンメーカーのNoble Audioが新たに開発したマルチドライバー・ハイブリッドタイプの「FALCON PRO」も画期的な高音質の完全ワイヤレス製品だ。

ハイブリッド型になったNoble Audio「FALCON PRO」、人気機種の音はこう進化した

 海外ではマニア向けの製品で知られているHIFIMANが、SoCの外に内蔵ヘッドフォンアンプを設けるという画期的な方法で音質を向上させた「TWS800」が素晴らしい製品だった。

ワイヤレスは音が悪いという常識を刷新する、HIFIMANの「TWS800」

 また2020年はANCの低価格化や低遅延モードの採用、また完全ワイヤレスの宿願であった左右同時伝送の普及などの技術が進展した。左右同時伝送方式はまず少し前からアイロハ社のSoCによる方式が業界に浸透した。たとえばRHAの「TrueConnect2」だ。

RHAの完全ワイヤレスがTrueConnect2に進化 、左右同時伝送に対応

 左右同時伝送方式においてアイロハを追いかけるクアルコムの「TrueWireless Mirroring」方式も2020年に市場に登場した。例えば Noble Audioの「FALCON2」だ。

進化したFALCON2、無線機能に加え音質も強化した新モデルをレビュー

 Bluetoothの規格自体も進化した。2020年の初めに話題となったのはBluetoothの規格制定団体であるBluetooth SIGが久々の新しいオーディオ規格である「LE Audio」だ。これによって左右同時伝送は各メーカーが独自に工夫するのではなく正式に規格として制定されることになった。これは2020年後半にクアルコムがLE Audioに対応したSoCである「QCC305x」を発表したことで実際に製品化されるめどがついたと言える。今年はLE Audioを採用した製品も目にすることができるだろう。

Bluetooth新規格など、CES から見える2020年のポータブルオーディオ事情
混沌としたBluetoothの高音質コーデック、新標準LE Audio/LC3の立ち位置は?

 またどういう経緯でLE Audioが誕生したかについては下記の講演に興味深い内容が語られている。

Bluetooth「LE Audio」の技術的な詳細は? ソニー講演から探る

 高音質化の他に完全ワイヤレスのトレンドであるアクティブノイズキャンセリングも対応機種が増えた。例えばオーディオテクニカの「ATH-ANC300TW」だ。

「高音質」と細部まで配慮した「できの良さ」~ATH-ANC300TWレビュー

 またクアルコムからは新技術「Adaptive Active Noise Cancellation(以下Adaptive ANC)」が発表されている。現在はイヤフォンの普及に伴って装着方法をあまり考慮しないカジュアルユーザーも増えているが、この技術により装着方法の良し悪しを吸収してより良いノイズキャンセリングを提供できるようになるかもしれない。

クアルコムチップが標準サポートする「Adaptive ANC」とは?

 MQAについても昨年は画期的な年となった。MQAをハードウエアレベルでデコードできるESSのICが実際に市場に製品となって現れたからだ。一つは「ES9068AS」を採用したAstell & KernのSE200であり、もう一つは「ES9281」を採用した「ASUS Delta S」だ。

1筐体に2種類のプレーヤーを収めたAstell&Kern「SE200」、世界初の試みの価値は?
世界初のMQA対応ヘッドホンは、なぜゲーミングヘッドセットだったのか?

 ポータブルのソース機器では持ち運ぶハイエンドオーディオともいえるChord Hugo2をネットワーク化できる「2go」の登場は画期的であった。

本日発売! CHORD「2go」のファーストインプレッション
これぞ完成形、CHORD「Hugo 2」+「2go」のタッグのすごい機能を紹介

 またデジタルプレーヤーにおいては元Astell & Kernを率いていたジェームズ・リー氏が独自に起こしたKontinumの「K100」も素晴らしい音質を聴かせてくれた。

元Astell&Kernの責任者が作った、新ハイレゾ機「Kontinum K100」を聴く

 なにかと話題の中心にあるアップルも様々な製品や技術を発表した。なかでも「空間オーディオ」はハードウエアとソフトウエアの両方向に強いアップルらしい興味深い技術といえるだろう。

着々と開発が進む、アップルの空間オーディオとSR技術

 そして年の最後を締めくくるようにアップルから「空間オーディオ」を生かせる噂のヘッドフォンも登場した。

海外メディアが「AirPods Max」事前予想の反省会、噂は本当だったのか?

 こうして振り返ると多難の年ではあったが、実に多様な技術や製品が登場した年だったと言えるだろう。今年もまた興味深い製品が登場してくることを期待している。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう