歴代ロードスター一気乗り 第1回
人馬一体はココから! 伝説のはじまり、NA型ロードスターに乗る
2020年12月29日 12時00分更新
創業100周年を迎えたマツダ。同社を代表する1台「ロードスター」は、そんな同社の歴史において30年以上、4代にわたって続くロングセラーモデルです。それはまた、世界で一番売れたライトウェイトオープンスポーツカーであり、世界中で愛され続けるモデルでもあります。
そこで実家のクルマがNB型ロードスターの美環さん(自称・永遠の18歳)をお迎えし、世界中で愛され続けるロードスターの魅力を知ろうというのが今回の企画。はたして今でも過去のロードスターは色あせぬ魅力があるのでしょうか。
世界中に衝撃を与えた初代NAロードスター
第一回に紹介するのは、1989~1997年まで製造されていたNA型と呼ばれる初代モデル。偉大なるご先祖様です。
とはいえ、昔のクルマなので美環さんもわからないことがいっぱい。そこで特別にマツダR&Dセンター横浜で広報車の受付を担当する杉山さんに色々と教えてもらいました。ちなみに杉山さんが一番好きなのはこのNA型だそうで、その理由は後ほど。
「これがユーノス・ロードスターです!」と見せるマツダR&Dセンター横浜で広報車の受付を担当している杉山さん(写真左)。なお取材・撮影は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ソーシャルディスタンスおよびマスク着用などに配慮して行ないました
杉山さんによるとロードスターは、マツダが北米に開設していた「MAZDA RESEARCH of AMERICA」のスタッフが、MGのようなライトウェイトカーがあればと話したことが事の始まりなのだとか。「そこで有志の手で試作車を製作。アメリカやイギリスなどでテストを繰り返していたところ、一般車が追いかけてきて譲ってほしいと言われたという逸話が残っているんですよ」とか。
その後、開発は正式にスタート。1989年5月にアメリカ発売を皮切りに、日本では9月1日に発売されました。
「当時、マツダは5つの販売チャンネルがありました。ロードスターはユーノス系列で販売されていたので、ユーノス・ロードスターとして販売されていました。エンブレムもユーノスのロゴなんですよ」と杉山さん。それを聴いていた周囲のオジサンたちは「オートザムとかありましたねぇ」「RX-7はアンフィニ店でしか買えなかったんですよね」などと取材そっちのけで昔話に花を咲かせます。「ちなみにロードスターは、海外ではMX-5という名前で販売されています。ですが北米のみMX-5ミアータという名前が付けられています。ミアータとは昔のドイツの言葉で贈り物とか報酬という意味なんですよ」。へー!
丸みを帯びたデザインは美環さんの好みとするところ。「さらに可愛くなるんですよ」と杉山さんは運転席を少し操作。するとリトラクタブルヘッドライトが稼働し丸目のヘッドライトが点灯するではありませんか。「この丸いヘッドライトと形が、どこかカエルに見えて好きなんですよ」と杉山さんはニッコリ。美環さんも「可愛い! これ好み!」と同調し、NA型ロードスターはカワイイという話題でガールズトークに花が咲きます。いっぽうオジサンたちは「スポーツカーといえばリトラですよね」「でも色々な事情で市場から消えましたねぇ。カッコいいのに」「最後の国産リトラはRX-7でしたねぇ」「FD3S、欲しかったなぁ」「俺、FC3S乗ってました!」と、勝手に盛り上がります。まったくもって取材が進みません。
パワーは非力だがそういうクルマではない
では、エンジンフードを開けてみることにしましょう。搭載するエンジンは前期型と1993年からの後期型で異なります。いずれも自然吸気の直列4気筒ですが、前期型はB6-ZE型と呼ばれる排気量1600cc、最高出力120ps/6500rpm、最大トルク14.0kgf・m/5500rpm。後期型は1800ccとすることで、最高出力は10ps、最大トルクは2kgf・mアップしています。それ以上に杉山さんは「エンジンを縦置きにし、さらに車軸よりも運転席側、つまりフロントミッドシップとしている点に注目してもらいたいです」とのこと。ちょっとチンプンカンプンの美環さんに対して、大人たちはニヤニヤ。
「一般的なクルマは、室内空間を広くするためエンジンを横に置きます。ですがレーシングカーをはじめ、運動性能を求めるとエンジンは縦に置いた方が回転モーメントの関係から望ましいのです。さらに重心をより中央に寄せた方が運動性能は上がります」とのこと。「そういえば、我が家のロードスターもエンジンが縦に置いてあったなぁ」と美環さん。「自然吸気4気筒、エンジン縦置きのフロントミッドシップ、後輪駆動、50:50の前後重量配分はロードスターの不文律。お約束なんですよ。初代のNA型でその思想は固まっていたんです」というわかりやすい杉山さんの解説に、聞いていたオジサンたちはさらにニコニコしながらスポーツカー論談義。まったくもって仕事をしないオジサンたちです。
フロント回りの説明が終わったところで、リアへと移動する2人。「このブレーキランプ可愛いですね!」と目ざとくチェックする美環さん。ちなみに美環さんの本業は美少女フィギュア造形師で、造形モノには一家言あります。「このコンビネーションランプはデザイン性と機能性の両立を評価されまして、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に展示・永久収蔵されているんですよ」と杉山さん。そういわれると、最初は何も感じなかったのですが、説明を受けてから素晴らしいデザインに見えてしまう権威に弱いオジサンたち。
リアにはユーノスとロードスターのロゴプレートを指さす杉山さん。「前期型と後期型は、ロードスターの文字の色が違います。前期型は黒、後期型のうち、シリーズ1と呼ばれるモデルは赤文字、95年にエンジンに改良を加えたマイナーチェンジモデルであるシリーズ2は緑文字になります。この子は初期型ですね」と杉山博士からマニアックな見分け方を教えてもらいました。
そのままトランクをパカンと開けます。収納が気になる美環さん。「なんか広そうだけれど、荷物がいっぱいあって狭いですね」というのが素直な言葉。「今は応急修理キットを積載するクルマが多いですが、当時はスペアタイヤだったんですよ。あと前後重量バランスの都合、バッテリーがトランク側にあるのも狭く感じる要因でしょう。でも機内持ち込みサイズのスーツケースなら1~2個は入ると思いますよ」。
s室内をチェックしてみましょう。タンレザーと同色のカーペットで統一された明るい室内に木製のハンドルやシフトレバー(編注:ハンドルは純正ではありません)。「この内装、とても好みです」と感嘆される美環さん。「この木製ハンドルの感触がとても好きです。温もりというのかな、そういうのを感じます。それに大きさもちょうどよく、細身だから持ちやすい気がします」と絶賛されます。今では環境保護やコスト、そしてペタペタするという意見などから木製ハンドルは少なくなってしまいましたが、趣味性の高いクルマこそオプションで用意してほしいと思った次第。
室内はスポーツカーらしいタイトなコクピット感と居住性が見事に両立。センターコンソールにシガーライターと灰皿が用意されている点が時代を感じさせます。アームレストを開けると給油口やトランク開口ボタンがみえます。
それでは幌を開けてオープンスタイルに。自宅にロードスターのある美環さんはフロントガラス側にあるロックを外して車体後方に畳もうとします。「NA型にはその前にちょっとした作業があるんですよ」と杉山さん。「まず、リアウインドウ近くのファスナーを開けてください。そうしないとリアウインドウに皺ができてしまうんですよ」とのこと。ということで、ファスナーを開けようとすると……「奥行きが結構あって、座ったままだと手が届かない!」と悲鳴を上げます。「でも、この奥行きはいいですね。バッグとかポンと置けそう。ちなみに子供なら横になることができそうなほどのスペースでした。
あとは幌を後方へ追いやればオープン化完了。杉山さんは「このファスナーを開けるのはNA型のみですので『NA開け』と言うんですよ」とわかりやすく解説。NA開けって何か通っぽくていいですね。
まさに人馬一体!
走る曲がる止まるを楽しめる
今回は取材日が雨天ということ。取材時間の都合、そして美環さんにとってMT車は教習車以来のこともあり、マツダの構内のみの走行となりました。周囲のオトナは「ギアをニュートラルにして、クラッチを踏んでエンジンをかけてね」と優しくレクチャー。本人は知っていたようです。エンジンボタンを探すも、キーエントリーだったことを思い出して始動。そのまま1速に入れて半クラッチでするするっと発進します。
実にスムースな発進に一安心する本人。オジサンたちはむしろエンストしないことにションボリです。そのまま2速、3速と入れてクルマを運転する美環さん。機会があれば、ワインディングを楽しんでもらいたいところです。
緊張した面持ちながらも、積極的にギアチェンジをしながら「マニュアルって楽しいかも!」という言葉に嘘偽りはなさそう。「クルマが思った通りに動く感が、ほかのクルマと違って凄く感じました。座席の高さ調整ができないので、座布団とかがほしくなりますけれど、ボディーサイズがちょうどよくて、運転しやすい印象を受けました」と笑顔が印象的でした。
オジサンたちも少し運転。「さすがに時代を感じるよね。NDに乗った後だと特に……」「クラッチが結構奥で、スパっとつながる感じがする」「シフトのストロークが短くていい。スコッと入るフィールは気持ちいい」と勝手な事を言い出すわけですが、「確かにNA型にハマったら、ほかのクルマは霞むかもね」という部分では意見が一致。クルマを操っているという感覚はもちろんですが、長年使うとなじみそう、という相棒感を抱くのです。
このNA型に惚れた方に向けて、マツダはレストアサービスを実施しています。ゴム類をはじめ、痛んだボディーなどを修復して、まるで新品のようによみがえらせることができるのだとか。金額はボディーとエクステリアの基本メニューが254万7000円(税込)から。エンジンや内装もふくめたフルレストアだと、約500万円(税込)からとなっています。「新車のNDが買えるじゃないですか!」と驚くわけですが、愛は盲目であり、クルマとともに作った思い出は、お金で買えない価値があります。こういったサービスをメーカーが行なうことはうれしい限りですし、オーナーも安心できるというものです。
「復刻パーツは多種多様、ご用意しております。実は現在履いているタイヤやホイールも復刻品なんですよ」と杉山さん。タイヤは乗り味に大きく影響しますし、ホイールもうっかりガリっとしてしまいがちですからね。
こうしてNA型を楽しんだ美環さんとオジサンたち。次回はNB型をチェックします。
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