ワールドプレミアから、まもなく2年。令和最初の新型車として登場した5代目DB型、通称「GRスープラ」は、モータースポーツの分野で大きな足跡を残し、その活躍はこれからも続くことでしょう。そこで発売から1年以上経ったGRスープラを今一度チェック、その魅力を再確認してみたいと思います。
今回試乗したのは3種類用意されたグレードのうち、もっとも低価格な(と言っても490万円税込もするのだが)SZをチョイス。「スープラといったら、3リットル直6ターボエンジンのRZグレードでしょ!」と言われそうですが、3リットル直6エンジンは確かに魅力ではあるものの、お値段が690万円と高額。また編集のスピーディー末岡から「前に兄弟車のBMW Z4の直6に乗ったから、次は直4にしようぜ!」という指示もあり、今回は直4タイプをご紹介することになりました。
直4モデルと侮るなかれ!
スープラを冠している以上、走りに妥協なし!
直4タイプのGRスープラは、SZとSZ-Rという2種類のグレードが用意されています。SZとSZ-Rの大きな違いは馬力と装備。SZは197psであるのに対し、SZ-Rは258ps。またSZのホイールサイズが17インチであるのに対し、SZ-Rは18インチ。ちなみにRZは19インチです。またSZ-RとRZにはAVS(アクティブ・バリアブル・サスペンション)と呼ばれる可変ダンパーを採用。さらにアクティブディファレンシャルを装備しています。アクティブディファレンシャルとは、BMWのMモデルに搭載されているものと同じもの。コーナー進入時と脱出時において、それぞれ最適なロック率を制御するというもの。可変ダンパーと合わせて走りの違いが生まれることは想像に難しくありません。そのほか、オーディオやシート表皮、センターコンソールの素材などが異なります。
筆者のGRスープラ体験は、前出のBMW Z4(直6エンジン搭載モデル)のほか、TRDエアロやカスタムパーツを装着したGRスープラRZの2車種。早速運転してみると、これらと大きく異なる別の乗り物といえそうです。まず違うのは、エンジンのフィーリング。当然といえば当然ですが、直列6気筒はまさにシルキーなフィーリングでサウンドも上々。とはいえ、直列4気筒は荒々しさがあり、それはそれでヨシ! 340馬力の直6エンジンに対して200馬力弱はひ弱か、というとそんなことはなく、一般道では十分すぎるパワーがあります。高速道路の追い越しなどで「もっとパワーがあれば」と感じることはありません。これが同じ200馬力の86/BRZの場合、加速する際にシフトダウンを行なったりAT車ならキックダウンが発生するのですが、スーッと加速していくあたり、ターボとNAの違いを感じるところ。
ワインディングにステージを移すと、エンジンの軽さから回頭性の良さに心が奪われます。スッとノーズが入って、リアが地面を蹴り飛ばしているというフィールを安定感も伴って感じます。GRスープラのRZは、SZに比べてテールハッピーというか「積極的にリアを振り回せ」とクルマがいわんばかり。それはそれで楽しいものの、SZの方が誰もが気持ちよく走れる気がします。乗り心地は、やや硬めなのですが、不思議なことに可変ダンパー搭載の上級モデルよりスポーツカーらしさを感じさせるもの。
やや硬質で細かな凹凸を拾うのは、おそらくコンチネンタル製ランフラットタイヤによるもの。タイヤをハイグリップなスポーツタイヤに変えれば、しなやかな乗り心地と、より一層のスポーツドライビングが楽しめることでしょう。ちなみにBMW Z4になるとルーフ収納メカの関係で、GRスープラに比べると穏やか。重戦車のようなドッシリとした安定感を覚えます。こちらはグランツーリング向きで、スポーツカーとは異なる味付けのように感じます。
お楽しみの「SPORTモード」切り替えると排気音のボリュームが高まり、変速も俄然ダイレクトに。トルク特性がフラットなためか、どこからでも踏んでいける気持ちになれます! GRスープラのRZグレードも魅力ですが、こちらをベースに機械式LSDや自分好みの足などに変えていくのもアリな気がします。
街中では思ったより取り回しがよいことに驚き。というのも車高の低さゆえ、ガソリンスタンドなどで底を擦るのでは? といった取り回しの悪さが気になりそうですが、フロントバンパーがやや上を向いているため、意外と平気。
総じて「GRスープラのSZはターボ付き86」といった印象。抜群にシャープなハンドリングに十分なパワー。何よりGRスープラという車種の魅力。乗り心地も硬質ながらもイイ。これなら女性を横に乗せても、ということで美環さんに乗ってもらいました。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります