少年たちが心をうばわれた戦うデジタルペット
これがデジモンの原点! 日本中の少年が夢中になった「デジタルモンスター Ver.1」を久しぶりに遊んでみた
2020年12月31日 15時00分更新
バトルができる育成ゲーム「デジタルモンスター」とは?
1996年、バンダイは「たまごっち」という液晶玩具を発売しました。
「小さなゲーム機の中で疑似ペットを育てる」というゲームで、可愛いキャラクターも相まって、社会現象レベルの大ブームになりました。その大ブームの混乱に乗じて、価格がインフレしたり類似品があふれかえったりもしていましたが。おもちゃ屋などに、たまごっちらしきナニかが売っていたのを覚えている人もいるのでは?
そんなたまごっちのヒットを受けて、1997年に「戦うたまごっち」として「デジタルモンスター」が誕生。同年に国内で800万個を販売しました。
それこそが、現在まで続く人気コンテンツ「デジタルモンスター」(以下、デジモン)のはじまりだったのです。
この液晶玩具はデジモンの原点ではありますが、今となっては知らない、触ったことがないという人も多いのではないでしょうか。
筆者はこのほど、1997年6月26日に発売された記念すべき1作目「デジタルモンスター Ver.1」の入手に成功しました。本稿では、液晶玩具としてのデジモンを知らない人はもちろん、当時デジモンに熱中していたあの日の少年たちに向けて、初代デジモンを画像とともに紹介しようと思います。
まずはパッケージ。子どものころは、このパッケージをみて「かっけえ……」と思ったものです。当時、父が買ってきてくれたたまごっちに飽きはじめていた筆者は、おもちゃ屋でデジモンを見つけた直後に母親におねだりしましたが、当然のごとく却下されてしまいました。
母親の言い分は「たまごっちがあるからいいでしょ」でした。
育成ゲームとしてのデジモンは、基本はたまごっちと同じで、小さな本体(デジモンでは「ドック」と呼びます)のなかで、デジタルペットのキャラクターを育てるゲームです。
しかし、たまごっちとデジモンには大きな違いがあります。それは、2基のドッグを接続して育てたモンスター同士のバトル、つまり「通信対戦」ができるという点。これが世の男子に大ウケし、デジモンは小学生男児を中心に大ブームとなったわけです。
続けてドックを見ていきましょう。ドックの大きさは、およそ幅6×奥行き4×高さ1.5cmで手のひらよりひと回り小さいサイズ。前面の左側には液晶画面を備え、少しくぼんで作られているおかげで傷がつきにくい工夫がされています。画面は当然モノクロですが、液晶の後ろには「背景」となる台紙が入っているので、画面の見栄えはきれいです。
画面の周りにはプラスチック製のフレームが取り付けられています。フレームは檻のようなデザインで、いかにも「ドックの中でモンスターを飼っている」雰囲気を演出しています。
本体の右側にはボタンが縦に並んでいます。ボタンは上から
・Aボタン:カーソル移動
・Bボタン:決定(カーソル選択なしの状態では「通常画面⇔時計画面」の切り替え)
・Cボタン:キャンセル
という役割。このほか、AとCボタンの同時押しで「音のオン・オフ」が可能で、時計画面で同時押しをすると時計合わせモードになります。
BとCの間にある小さなボタンはリセットボタン。ここを鉛筆の先や爪楊枝などの細いモノで押すと、本体データをリセットできます。
裏面には電池ブタがネジで取り付けられています。使用電池は、俗にボタン電池といわれる「LR44」ふたつ。新品の電池で大体数ヵ月は稼働しますが、電池が切れると育てているデジモンのデータも消えるので、電池残量には気をつかいます。
本体上部には「通信用コネクター」、右側にはキーホルダーとして使うためのフックを備えます。上部のコネクター同士を接触させてバトルコマンドを選択すると、デジモン同士のバトルを楽しめるわけです。
デジモンを実際に育ててみよう
さて、外観の説明はこれくらいにして、さっそくデジモンを育ててみましょう。
近所のスーパーで買ってきたLR44をセットして、電池ボックスに挟まれている絶縁シートを抜くと、甲高い電子音とともにデジモンのタマゴ「デジタマ」が液晶画面に出現します。
さあ、いよいよデジモンが生まれるぞ……と、このまま待っていても永遠にデジモンは生まれません。本体の「時計あわせ」を済ませないと、本体時計が時間をカウントし始めないからです。
ボタン操作で時間を設定し終えてから、約5分後。再び電子音が鳴り響き、デジタマをの殻を破って、デジモンが誕生しました!
さて、ここからいよいよデジモンの育成がはじまります。
デジモンは時間が経つとおなかが空いたり筋力が衰えたりするので、呼び出しに応じて世話をする必要があります。それらのパラメータが低下するサイクルも種族や世代ごとに異なり、たとえば生まれたばかりのときは約3分ごとに低下していきますが、進化を重ねるとサイクルは伸びていき、安定した育成が可能になります。
プレイヤーは、パラメータを確認したうえで適切なコマンドを実行し、デジモンを育成していくことになります。
各コマンドは、画面の上下に配置されている計7つの育成アイコンを選択して実行します。アイコンの種類は以下のとおり。
上段:左から、デジモンのパラメータを確認できる「ステータス」、エサやプロテインを与える「食事」、筋力を維持するミニゲームができる「トレーニング」、通信対戦ができる「バトル」
下段:左から、ウンチを処理する「トイレ」、電気のオン・オフをする「電気」、バトル後にケガをした場合の「治療」
アイコンは、Aボタンを押してカーソルを合わせることで選択できます。なお、下段右下のアイコンはデジモンからの呼び出し時に点灯するもので、コマンドに含まれず、選択もできません。
ちなみに、デジタマから生まれたばかりのデジモンは「幼年期Ⅰ」と呼ばれる世代に属します。そこから「幼年期Ⅱ」→「成長期」→「成熟期」→「完全体」と、進化のたびに世代が上がっていきます。
幼年期Ⅰ
幼年期Ⅱ
成長期
成熟期
幼年期Ⅰから幼年期Ⅱまでの進化はチュートリアルを兼ねた一本道となっており、それぞれ1体のデジモンしか存在しません。幼年期のうちは外見はさほど変わりませんが、成長期と成熟期への進化は育て方によって分岐し、見た目も大きく変わります。
完全体
成長期は2種、成熟期は8種のデジモンが存在し、適当に育てても生きてさえいればなんらかの成熟期には進化しますが、「完全体」への進化には特定の条件をこなす必要があります。
さてさて、筆者の「ボタモン」(幼年期Ⅰ)も、約1時間ほどで「コロモン」(幼年期Ⅱ)へと進化。上記のとおり、まだまだ赤ちゃんではあるので、エサをあげたりトレーニングをしたり、ウンチを流したり、寝たら電気を消してあげたりと、つきっきりでお世話をします。
そうして、約2日後。ついに成長期の「アグモン」へと進化しました。アニメやゲームなどでもお馴染みのデジモンですね。
成長期に進化すると、ついにバトルが解禁されます。バトルといっても戦略性などはなく、「2基のドックを接続する」→「双方の攻撃を見守る」→「どちらかが勝つ」というだけのもの。バトルの強さはデジモンの種族によって異なるほか、トレーニングでいくらか上昇させられるとはいえほとんど運ゲーなわけですが、シンプルかつ勝負が最後まで分からない魅力があります。
そして、バトルの勝率は成熟期、そして完全体への進化に深くかかわる要素なのです。
※なお、筆者はデジタルモンスターをひとつしか購入できなかったので、残念ながら本稿ではバトルの詳しい紹介ができないことを明記しておきます。悔しい。
このように「強いデジモンを目指して育成し、バトルで勝つ」ことがデジモンの主な目的となります。「今日は一日中やる」とか「好きな時間にやる」のではない、リアルタイムを共有して“生活の一部となる”育成ゲームなのです。
もちろん、しっかり育成しないと途中で死んでしまったり、弱いデジモンに進化してしまいます。同じコミュニティー内で流行しているコンテンツで、いかに友人たちの上を行くかに心血を注ぐ小学生たちは、自身のパートナーたるデジモンをコツコツと育成することで、疑似的に「命の大切さ」を学んだわけです。
ちなみに、メインターゲットである小学生たちが「時間が連動してしまうデジモンを学校に行っている間にどうするか」という問題ですが、大体は「学校にコッソリ持っていく」「家族に世話をしておいてもらう」「時計を止める、あるいはずらして寝かせておく」という手段をとっていました。
筆者は学校に持って行ったデジモンを先生に没収されてからは、時計止めを活用していました。懐かしい思い出です。
16ドットの職人技で描かれたデジモンたち
液晶玩具としてのデジタルモンスターを語るうえで欠かせないのが、ドットで描かれたデジモンたちでしょう。
デジモンはたまごっち同様、最大「16×16」のマスで打たれた、いわゆる「16ドット」が使われています。ドットとしての細かさはファミコン並、色も白黒のみで、当時としても表現力に乏しいはずなのですが、ドックのなかを所狭しと動き回る姿はイキイキしていて、「電子ペット」としての疑似生命が感じられます。
そして、わずか16ドットでデジモンのデザインを再現している点も驚きです。幼年期のデジモンであれば単純なドットでも再現できるとは思いますが、成長期、成熟期、完全体と進化していくうちにデザインがどんどん複雑化していくにもかかわらず、それに対応したドットデザインは、まさに職人技。もちろん、デザインのすべてを表現できているわけではありませんが、16ドット化による「デザインのデフォルメ」テクニックは目を見張るものがあります。また、立ち絵ドットの完成度はもちろん、モーションの多彩さもデジモンのドットが優れている点です。
トレーニングやバトルといった要素をもつデジモンは、攻撃に用いる8×8の「技ドット」が設定されているのも特徴ですね。デジモンにはそれぞれ「必殺技」があり、それに応じた技ドットが設定されています。
そのほか、喜んだときや怒ったときの表情変化もわかりやすく、見てて飽きさせない工夫が凝らしてあります。
デジモンに愛着が湧いたり、死ぬと悲しくなったりするのは、こうした繊細なドットが彼らに電子ペットとしての疑似生命を与えたからなんでしょう。
2021年のデジモンはカラー液晶のウェアラブル端末
デジタルモンスターはその後「Ver.5」までが発売され、以降は「デジモンペンデュラム」シリーズや「デジモンアクセル」、「デジモンツイン」など育成ギアとしての後継機や、「デジヴァイス」や「D-3」といったテレビアニメシリーズに則した携帯機も登場しました。
デジモンファンとしては、初代デジタルモンスターの復刻版となる「デジタルモンスター Ver.20th」が2017年に、デジモンペンデュラムの復刻版「デジモンペンデュラムver.20th」が2018年に発売されたのは記憶に新しいでしょう。
さらに、2019年には「デジタルモンスターX」シリーズも発売。初代の発売から20年以上が経過したいまでも、デジモンは進化を続けて我々の前に登場してくれていました。
そして12月初頭。バンダイはデジモンの新デバイス「バイタルブレス デジタルモンスター」を、2021年3月13日に発売すると発表したのです。やったぜ!
今度のデバイスはウェアラブル型。なんと、心拍数や歩数といった活動データでデジモンを育成・進化させられるのだそう。本体には心拍数計機能や歩数計機能を内蔵しており、歩く・走るなどユーザーの活動状況に合わせてデジモンの状態が変化し、活動量によって育成・進化分岐も変化。デジタマから孵化したデジモンを、毎日の活動にくわえてエクササイズを中心としたさまざまなミッションの達成により育成できるという、現実のユーザーとデバイス内のデジモンがリンクしたようなワクワクが止まらない仕様になっているのです。
もちろんバトルも可能で、NFC搭載スマホやICカードリーダーなどにをタッチすると自動でバトルが始まるオートバトルや、アプリを通じて全国のユーザーとバトルできる機能も備えます。ICカードリーダーは、駅の自動改札機や電子決済機など、いまや生活するうえで触れない機会はほとんどないものですから、まさに生活しながら自分のパートナーデジモンを育てられるというわけですね。
バイタルブレスで育成できるデジモンとしては、本シリーズからの新デジモン「パルスモン」などが公開されていますが、育成できるデジモンの種類を変更・拡張できる連動アイテム「Dimカード」も発売されるため、これまでのシリーズで登場したあのデジモンたちを育てられるのでは……?なんて期待も膨らんでしまいます。
初代が発売された1997年当時よりも、「デジタル」がずっと身近になった現代。果たしてバイタルブレス デジタルモンスターは、われわれデジモンファンにどんな感動と、無限大な夢をもたらしてくれるのでしょうか? 発売が今から楽しみです。
なお、バイタルブレス デジタルモンスターは12月18日から予約受付を開始しています。デジモンファンなら、もうチェックしましたよね?
ちなみに、筆者はすでに予約済です。
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