1リッター以下コンパクト乗り比べ! フィアット「500 TwinAir」とルノー「トゥインゴ S」どっちがイイ?
内装は対照的
後部座席のトゥインゴ、ラゲッジの500
室内はポップな500に対して、トゥインゴはどこかスポーツテイストを感じさせるもの。後席はトゥインゴの方が実用的である一報、ラゲッジスペースは500の方が上。トゥインゴはラゲッジスペース直下にエンジンを置くため、床面がほんのりと温かくなります。チョコレートなどを置いておくと溶けてしまいそうです。
走りは2台とも、よい意味でクセが強く印象的。まずトゥインゴから。オートブリッピングなどのアシストはおろかタコメーターもないトゥインゴは、近年少なくなったマニュアル車の中でも、マニュアル度が高いモデルといえそう。ノンターボの小排気量エンジンと相まって、結構な回転数でつないでいかないと「遅いよ」と思ってしまうほどです。
高速道路で100km/h付近を5速で巡行中、追い越しをしようとしたら、3速に落とすのがご作法であるほか、街乗りでも1速スタートがマストといった印象。街乗りでもシフトレバーを忙しくこねくり回す走りが求められます。ですが、それがイイ! 運転が好きな人なら楽しいでしょう。
RRというレイアウトゆえに、エンジンをどんなに回してもうるさくないのが美質(後席だとウルサイかもしれないが)。さらに1トンを切る車重の軽さとRRによるトラクションの良さを感じることができます。ゆえに経済性を無視してよいなら「エンジン回転数を高めにキープしながら、ぶん回して走る」がめっぽう楽しい1台。街乗りの低速でも楽しさに満ち溢れています。この感覚はHondaのS660にも似た印象。あちらの方がターボにより低速域からトルクが立ち上がるため、運転はしやすいのですが……。
経済性に関しては、シフトインジケーターの通りに走ると、街乗りでもリッター16km位はいきそう。街乗りでいえば、取り回しの良さはピカイチ! 最小回転半径4.3メートルは、車庫入れはもちろんのこと一般道でのUターンで思いっきり効果を発揮します。狭い日本に向けて、フランスが日本のために作ったコンパクトカーと言っても過言ではないでしょう。
独特の世界観をもつ500 TwinAir
フィアットの500 TwinAirは、さらに独特な世界。現代コンパクトカーに慣れた身からすると、古典と言いたくなるほど。その要因は2気筒エンジンであることは疑いの余地もありません。アイドリング状態ではそれほどでもないのですが、いざ動き出すと、低回転ではドコドコドコ……という独特の音と振動が。何も知らない人からすると「大丈夫?」と心配になるほど(実際、知らない方に乗せたら心配されました)。2気筒のオートバイに近いのですが、これがどこか心地よいと思えるから不思議です。
一応ATなのですが、トゥインゴ同様、街中では頻繁にシフト操作した方がキビキビ走れる雰囲気。シフトショックは大きいものの、トゥインゴと異なりクラッチがないことで、渋滞時はラクに走ることができます。さすがにトゥインゴほど小回りはきかないものの、それでも最小回転半径は4.7メートルですので、取り回しはかなり容易といえるでしょう。
回転数を上げて走ろうとすると、今度はビイイインというエンジン音に代わってきます。いよいよもって「大丈夫か?」と心配になるのですが、高速になればなるほど、車体が安定しますから「案外行けそう」と思えるから不思議。高速道路のクルージングもラクですし、追い越し時もギアを4速に落とすだけでスっと加速します。
乗り心地に関していえば、街乗りではトゥインゴに分がありそう。500は見た目どおり、ちょっと硬めです。ですが、高速域になると逆転し、500の方が上回る印象を受けました。
【まとめ】ハンドリングのトゥインゴ
走りの500 TwinAir
2台とも面白いクルマであることに違いはなく、その中で「マニュアル操作を徹底的に楽しみたい」という人にトゥインゴはとてもオススメ。ハンドリングもトゥインゴの方が楽しめる気がします。いっぽうで「クルマの鼓動を楽しみつつも、ある程度ラクな運転がしたい」「高速道路の利用が多い」という方には、500 TwinAirを推したいと思います。
かなり個性的な2台ですので、日本車に慣れた人ほど「コレって……」となりがちですが、あばたもえくぼ、とはよく言ったもので乗ってみると「コレがイイ!」と思えるから不思議。そしてどちらも「ラテンの血が騒ぐ」といいますか、とにかくハッピーになれるのです。試乗後、編集スタッフは「ルノーもいいけれど、フィアットもイイ」「とにかく街中でぶん回せるのが楽しいよね」とニコニコでした。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります