週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

世界500台限定の超ハイエンド機

final×DITA共同開発の「SHICHIKU.KANGEN」発表、ライバルであり盟友がコラボした約30万円イヤホン

2020年12月13日 18時30分更新

ベリリウム振動板を共同開発して搭載

 ドライバーは、共同開発による新ドライバー「トゥルーベリリウムドライバー Gen SK」を搭載している。また、ボイスコイルからの引き出し線と振動板との接着方法を新設計で開発。これには創業当時から加工技術を得意としているDITAの力が生かされているという。

 またケーブルは、DITAの「OSLOケーブル」をベースにしたものが採用されている。このためイヤホンケーブルの先端を変えるだけで通常の3.5mm、バランス駆動用の2.5mmや4.4.mm端子に変えることができる。ここからもfinalとDITA、それぞれの長所が生かされているのがわかる。なお、イヤホン側の端子はMMCXだ。

先端を付け替えることで様々なヘッドホン端子に接続できる。

 会場では実機の音を聴くこともできた。イヤーピースは入室時に渡されたものを使って試聴するという形式で、いまの時代に即したものであった。

 手に持つとずっしりと重みを感じ、沈金仕上げが美しい。イヤフオンとしてはコンパクトで装着感も良好だ。Astell &Kernの「SE200」で試聴したが、音量は取りやすい方だと思う。

 SE200のAKM側出力(編注:SE200は旭化成エレクトロニクスとESS Technologyの2種類のDACを搭載し、それぞれ別のヘッドホン出力を持つ)では、音場が広く、カチッとした緩みのない音で、「A8000」や「Dream」のような雰囲気だが、さらに上質な柔らかさがあって聴きやすいとも感じる。音色には、やや暖かみがありケーブルの個性も効いてると思う。低音はたっぷりとしてパンチがあり、高域はシャープでよく伸びる。ダイナミックドライバー1基だが、かなりのワイドレンジ感がある。中高域はクリアで透明感も高い。解像力も高く、情報量は圧倒的だ。古楽器の倍音の豊かさもよくわかり、それがシャープネスと共存してるのには驚かされる。音の傾向はモニター的というよりは音楽を楽しみたいユーザー向けと言えるだろう。目指すサウンドとして深い低域と鮮やかな中高域をテーマにしたというが、それは十分達成されていると感じた。

 一方、SE200のESS側にすると、より聞きやすく滑らかになり、パンチの良さがよく引き立つ。ボーカルものはこちらの方が良い印象だ。

 SHICHIKU.KANGENは、性能がとても高く、聴いて楽しく、さまざまなDAPで、いろいろな顔を見せる懐の深さを感じる仕上がりのイヤホンだ。finalやDITA製品の音色を体験したことのある人に向けて、端的に例えると、「A8000」と「Dream」を掛け合わせて、「Project71」のフレーバーを加えたと言えるかもしれない。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう