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長期試用レビュー

夢から覚めるリアルさ、DITA Dreamのクリアすぎる音質にため息

2017年08月18日 18時45分更新

 研ぎ澄まされた“クリアな音質”のイヤフォン。「DITA Dream」を聴いてそう感じた。曇り空にパっと日の光が差すように、気付かなかった楽曲の表情があらわになる。その実力と表現力はやはりずば抜けていた。

ハイエンドイヤフォンの「ひとつの到達点」を見た気がする

 ポータブルでも最高の音質を求める人に向けた、イヤフォンの高級化(と高額化)が進んでいる。市場を見ると、カスタムイヤモニを除いても、10万円台後半~20万円超の機種が珍しくない。その最先端を走るグループの中に、海外の新進ブランドがある。

 Dreamは特に海外市場で好評だ。実売価格は20万円を超すが、予定を上回る販売台数を出荷し人気となった。

 このクラスの主流は、もともと高価なバランスド・アーマチュア型ドライバーをふんだんに(8~12個)使った、繊細な表現力と広帯域の両立を狙った機種となる。一方でDITAは見た目に華やかなスペック競争にはあまり関心がないように見える。

 もともとダイナミック型ドライバーのシングル構成にこだわっているブランドだ。これは数千円のイヤフォンでも見られる構成だから、地味で少し割高なスペックに感じる人がいるかもしれない。しかしその音は、20万円クラスのマルチBA機と比べてまったく引けを取らない。それどころか、多くの点で優位性を感じるものだ。

 チタン筐体の緻密な削り出し精度や厳密に左右の特性が揃えられたドライバー。その性能をしっかりと引き出すためのエアフロー。位相管理やダンピング制御のノウハウ。そして吟味したケーブル選定。目に見えにくい改善と吟味の繰り返しが、Dreamの音を支えている。

 シンプルさはDITAの哲学のひとつだが、実直なつくりもまた同ブランドの特徴だ。国内でもイベントのたびに試作機が展示され、正式発表から製品版までも半年以上かけ、聴くたびに進化を遂げていた。時間をかけて徹底的なチューニングを重ねたことは、その過程を知っているから分かる。Dreamの魅力は、質実剛健な外観の奥に隠された、音に対する情熱かもしれない。

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