週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「ポルシェらしさ」で電気自動車の行く末を照らすポルシェ・タイカン

2020年12月11日 12時00分更新

コクピットと呼ぶにふさわしい
質実剛健なインテリア

 内装に目を向けると、ポルシェらしい室内空間がドライバーを迎え入れる。水平基調のデザインとドライバーに向けて湾曲したインパネは、現行型はもちろんナローポルシェにも通じるもの。この普遍性はそのままに、高品位表示の16.8型液晶ディスプレーとタッチパネルを用いて視認性の向上と洗練した操作性を実現している。

タイカンのインテリア。前出のナローポルシェに通じる水平基調のダッシュボードを採用する。これもポルシェの伝統だ

センターコンソールに設けられた大型ディスプレー。ここでエアコンの操作を行なう

各種リッドの開閉も大型ディスプレーで可能

充電中の様子

シフトレバーは上下で走行モードを切り替えるタイプだ

 センターコンソールからシフトレバーの姿は消し、その代わりに大型タッチパネルディスプレーを設置。エアコン操作をはじめとする車内環境の設定はここから行なう。シフトレバーはどこに移動したのかというと、ステアリングホイールの左側近傍に位置する。ちなみにパドルシフトなどは用意されていない。

ディスプレーは2面用意され、助手席側でも操作可能だ

ナビ画面の様子

 ダッシュボードに目を向けると2枚のタッチパネルディスプレーが装着されている。このディスプレイでナビゲーションおよび車両設定、オーディオ関連の操作が可能。2画面の恩恵は計り知れず、運転中に助手席の人がナビ画面を消すことなくグラフィカルインターフェイスでオーディオ操作ができるほか、知らない道でも助手席側で広範囲マップを映して道を調べることもできる。

走行関連に関する各種設定を呼び出したところ

走行モードは全部で5種類用意されている

サスペンションは電子制御で3段階に変更可能

車高も4段階に設定できる

ステアリングホイール側からでも走行モードの切り替えは可能

ステアリングホイール側から走行モードを切り替えると、メーターパネルに現在のモードが表示される

 車両設定はかなり細かく変更可能。大まかに設けられているモードは「Range」「Nomal」「Sport」「Sport Plus」「Indivisual」の5種類。「Range」は最も走行距離を伸ばす、いわゆるエコモードだ。面白いのは速度設定が設けられていることで、デフォルトでは100km/hに設定されていた。Nomalはポルシェらしい走りを一般道で味わうためのモード、Sport、Sport Plusに設定すると、サスペンションのセッティングが変更されるほか、アクセル開度によるレスポンスなどが変わる。Indivisualはサスペンションおよびアクセル開度などの設定を個別セッティングするためのものだ。

アクセラレータ(回生量)の設定。オフにも変更できるのは目新しい

ステアリングホイールには回生量が変更できるスイッチが設けられている

 回生量をオフにできるという点も電気自動車としては目新しいもの。もちろんオフにすると航続距離は短くなってしまうものの、アクセルオフ時の速度が落ちづらく、スポーツ走行においては有利に働くことは想像に難しくない。

オプションで、モーター音を増長させる「e-Sport Sound」モードも用意されている

 車両設定で面白いのは、オプションのエレクトリック スポーツサウンド(7万6364円)を装着すれば、走行音が変更できる点だ。電気自動車であるタイカンは、走行中の音はほぼ無音に近い。だがスポーツ走行をする上で、音もまた欠かせない要素だ。かといってエンジンのないクルマからエンジン音がするのもおかしな話。そこでポルシェは「電気自動車のモーター音を増強した音」を作成した。設定画面では「e-SPORT SOUND」と書かれた部分をタップすると、アクセルレスポンスに応じて、まるでSF映画に出てくるクルマのような音を奏でる。これはタイカンだからこそできるワザといえるだろう(その音は以下の動画で聞ける)。

後席の様子

後席の様子

運転席側ドアの内張

運転席側のドアミラー調整スイッチ

ドアノブはアンロック時はせり出す機構を搭載。車両が動き始めると引っ込む

ドアを開けるとTaycanの文字が迎えてくれる

アームレストの中にはUSB-Cコネクタが2個用意されている。なおApple CarPlayに対応し、Apple Musicも聴ける

マッサージ機能をオンにした様子

参考までに試乗車に搭載されたオプションのリスト。その金額だけで300万円!

 内装にはレザーは使わず、再生素材が用いられている。エコ素材というと安っぽいのでは? と思われそうだが、見事な上質感で不満を覚えることはない。車高が低いため乗り降りは他社Dセグメントセダンと比べると若干大変。だが室内に入ってしまえば広く、後席もゆったり。天井も十分なヘッドクリアランスを保っている。オプションの「マッサージ機能付きのシートベンチレーション(フロント)」(30万4545円)を用意するあたりが、タイカンがスポーツカーよりグランドツーリング的な要素が強い車種であることを思わせる。

クルーズコントロールのレバー。日本車と異なり、欧州系の多くはステアリング左側のレバーで操作する

 運転支援系も充実。360度カメラやRECAS(リアエンド・コリジョン・アラートシステム)と呼ぶソナーはもちろんのこと、ロングツーリング時において絶大なる効果を発揮する自動運転レベル2相当のアダプティブ・クルーズコントロール&車線監視システムも搭載されている。退屈な高速道路をいかに早く快適に過ごせるかという点において、ポルシェは他社のGTカーにひけをとらないばかりか、追従を許さないといえそうだ。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事