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IoT分野でも急増する「小さく始めて大きく育てる」スタートアップ的手法

スタートアップ的手法でデジタル改革。短期間で結果を出す秘訣は「最新技術の使い方」

2020年11月17日 09時00分更新

 昨今の社会情勢により、デジタル化による業務の見直しが急ピッチで進んでいる。はんこ廃止から、リモートワーク、業務のリモート化までその適用範囲は幅広い。

 今、業務改善のアイディアを小さく始めて、大きく育てるスタートアップ的な業務変革手法に注目が集まっている。コロナ禍を受けたデジタル化には、官公庁主導のプロジェクトでも「スタートアップ的に」というキーワードを耳にすることが増えている。

 日本では伝統的に「カイゼン」カルチャーが現場に根付いている。これまでも、現場やチームメンバーの発案による業務効率向上などは活発に行われてきた下地がある。しかし、初期投資や高度な専門知識を要するIoTのような先進技術活用の分野では、短期間で気軽に取り組むというより、長期間でしっかり事業計画や予算などを算出して進める方法が一般的だ。

 では、ここでいうスタートアップ的な手法とはどんなものだろうか。

 まず、顧客のニーズを元に「このような製品・サービスが必要」と仮説を立て、まずはそのような製品・サービスのプロトタイプをクイックに開発し、実際にユーザーに使ってもらう。そして効果数値や、顧客のフィードバックを受けてさらに改善しながら、アイディアを育てていく。

 近年、AIなどの先進技術をリーズナブルかつ使いやすく提供するスタートアップなどが増えたことで、大企業のDXプロジェクト、さらには中小企業やアイディアを持つ個人に至るまで、このようなアプローチでデジタル改革に取り組むことができるようになってきているのだ。

 ただし例外もあり、例えばIoT分野はハードウェアや通信の準備が必要となるため、長らくスタートアップ的な手法で進めることが難しかったプロジェクトのひとつだ。しかし今、IoTにおいても、最短で結果を出す手法が拡がってきている。

わずか数週間でIoTをビジネスに実装、先進技術活用に今求められるスピード

 コロナ禍のような急ピッチで業務を進化させる必要があるケースでは、ここまで述べたようなアプローチが最も有効だ。例えば、星野リゾートでは、ホテルに滞在する利用者に安心して過ごしてもらえるよう、IoTセンサーを活用して浴場の混雑度を可視化、スマートフォンで手軽に混雑状況を確認できる仕組みを導入した。この仕組みを運用開始するまでにかかった期間は、わずか6週間だという。

 従来からスタートアップ的な手法を取り入れてきたウェブサービス開発に強みを持つ会社にとってもIoTは身近になってきている。

 「こだわり食材」で地域の農家や専門店と消費者をつなげる生鮮ECプラットフォームを展開するクックパッドマートでは、様々なサービスをIoTで支えている。例えば、農家など生産者から直接地域のコンビニなどに生鮮食品が配達される「マートステーション」での輸送時の食材温度管理に、IoTセンサーを活用している。この食材温度管理のシステムの開発にかかった期間は、わずか1週間だ。

 いずれのプロジェクトも、IoTというハードウェアを要する複雑なシステムを極めて短期間で開発し、検証を実施、商用展開まで一気に進めている。一体どのようにすれば、このようなクイックなプロジェクト推進が可能になるのだろうか。

最速で結果を出すIoTの始め方を、経験豊富な各分野のエキスパートが紹介

 IoTプラットフォームSORACOMを提供する株式会社ソラコムは、このような「最速で結果を出すIoTの始め方」について学べる開発者向けカンファレンス「SORACOM TECHNOLOGY CAMP 2020」を開催する。だ。本イベントでは、昨今ニーズの高まるIoTを軸に、今取り組むべき開発アプローチとノウハウを経験豊富な各分野のエキスパートが解説。2020年11月17日(火)から3日間に渡ってライブ配信され、参加は無料だ(要事前登録)。

 Day1(11月17日)は「IoTにおけるゼロから始める最速で結果を出すIoTの始め方」と題し、コードレスで実現するIoT開発や、エッジAIカメラデバイスの活用、短期間で効果を得るためのPoCの始め方を解説する。後半のウォークスルーでは、Raspberry PiやGPSトラッカーを用いてステップ毎にデモ形式で解説する。無料マニュアルが提供されるので、後で復習できるのもうれしい。

 Day2(11月18日)は、IoT周辺技術をディープに学ぶ1日だ。「1日で全部わかる!IoTの要素技術」と題して、各分野のIoTエキスパートがデバイス、クラウド、AI/機械学習、無線通信、LPWAと言った要素技術や、双方向通信などのIoTシステム開発のノウハウを一挙公開する。

 Day3(11月19日)は、「SORACOMの魅力を徹底解析」と題し、5G、SIMなどの通信技術の最新動向に加え、進化し続けるSORACOM技術を紹介する。冒頭のセッションでは、ソラコムCTO安川氏が、多数のIoTデバイスの接続を支えるSORACOMプラットフォームのアーキテクチャーと開発プロセス、チーム作りを紹介する。

 ソラコムのテクノロジーエバンジェリストの松下氏(ニックネーム:max)は、最近のIoT活用の動向について以下のように語る。

「最近は”作らず利用する”ということを頻繁にお伝えしています。携帯電話のような大量生産されるデバイスのおかげで、汎用的に使えるハードウェアが廉価に入手できるようになりました。加えて通信もSORACOMのようなサービスを利用することでブラウザやAPI経由で利用できるようになりました。いまや先進技術活用も、ビルディングブロック的に必要な機能を組み合わせて、クイックに始められます」

 2025年にインターネットに接続するIoT機器は、世界中で数百億とも言われている。ふと気づくと身近な生活でも、インターネットに繋がる製品・サービスを見かけることが増えているのではないだろうか。

 これから不可欠となる「つながる」技術と短期間で効果を出すプロセスを学び、新たな技術を手に仕事を進化させたい方は、ぜひこの機会に参加して欲しい。

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