週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

往年の銘器に名を連ねるA-10の思想を継承し、真空管サウンドを~「A-10SG TUBE」を聴く

2020年11月08日 15時00分更新

別売のリザーブ電源を横に並べると、フルサイズコンポのような外観になる。

真空管を200Vの高電圧で駆動することにこだわり

 さて、A-10SG TUBEは電源の質にこだわったアンプだと書いたが、これについてもう少し詳しく説明しておこう。

 内部的な特徴のひとつが、スーパークリーン電源回路の採用だ。A-10SG TUBEではこの電源を用い、真空管に200Vの高電圧をかけている。また、小型で高出力な電源回路というと、現在はスイッチング電源が主流だが、ノイズの少ない、アナログ方式の電源となっているのもこだわりだ。

内部の解説(GREEN-FUNDINGのサイトから)

 内容としては、発振回路で生成した400Hzのサイン波をアンプICで増幅したのち、トランスで昇圧し、最終的にDC200Vに整流した信号を得るというもの。サイン波だけで処理された理想的な電源出力とうたっている。

 真空管自体は低電圧でも動作するが、高電圧で駆動したほうが信号レベルが上げられ、歪みの影響などが出にくくなる。そのぶん高音質化でき、真空管本来の良さが引き出せる。一般的なハイブリッド型真空管アンプでは、15V程度しか電圧を掛けず、真空管のドライブに本来必要な電圧が足りていない場合もある。結果、真空管の良さを完全には引き出せていないというのが、A-10SG TUBEを開発したConclusionの説明だ。

 なお、スーパークリーン電源用のアンプICは、左右チャンネルの増幅に使うのと同じE-TDA7396を使っている。昇圧用のトランスは、A-10SG TUBEに向けて新規開発したものだという。

別売のリザーブ電源。12V版と14V版があるが、外観の差はない(型番のシルク印刷程度)。

 A-10らしさを感じられるのは、別売のリザーブ電源だ。電源回路の構成は歴代のA-10と同じになっており、力強さと静寂感(小音量時のノイズの少なさ)を兼ね備えているという。スピーカー駆動用の出力として、15W+15Wは決して大きくはないが、一般家庭で使用する際には10Wもあれば十分なので、問題にはならない。

 なお、12AU7はギターアンプなどでよく用いられており、1000円程度から購入できる。本体のカバーは簡単に外せる。真空管の交換は音質変化を感じやすいので、興味があれば、差し替えて効果の違いを体験することもできる。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう