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デジタル敗戦の日本で、デジタル改革は進むか? IT担当大臣の平井卓也氏のことば

2020年10月30日 14時30分更新

 菅内閣が9月16日に発足して以降、デジタル庁の創設は、行政改革や規制改革の象徴であり、成長戦略の柱に位置づけられたきた。

 では、どんな形でデジタル庁創設に向けた活動が進められているのだろうか。

 現在、平井大臣が室長を務めるデジタル改革関連法案準備室が設置され、デジタル庁の創設に向けた準備などが進められている。11月半ば以降には予算が決定することで、デジタル庁の規模が明らかになり、年末には基本方針が決まることになるとという。

 「来年の通常国会では、IT基本法の抜本的改正案、デジタル庁の設置法案、番号法、個人情報保護法などの法案を一気に出す。どんなデジタル社会を作るのか、なぜ、デジタル庁を作らなくてはいけないのか、ということを、明確に国民に説明することになる。法案が通れば、法案準備室はデジタル庁準備室に変わり、来年中にデジタル庁を発足させることになる。まずは年末に向けて全力を尽くす」とする。

 そして、「デジタル庁は、ヒト、モノ、カネがないFrom Scratch(最初から)によって、1年で作り上げるものになる。これは、誰も挑戦したことがないプロジェクトである。スタートアップ企業でいえば、準備室を立ち上げて、1年で一部上場せよ、というのに近いスピード感である」と例えてみせた。

 平井大臣は、デジタル改革関連法案準備室の標語として、「Government as a Startup」を掲げている。これをGaaSと訳す。

 「将来的に目標にしているのは、『Government as a Service』であり、国民を幸せにするサービスを提供することである。だが、いまはスタートアップの気持ちで取り組まなければならない。いままでの役所の常識にとらわれていたら、時間も守れない、組織も作れない。まずは、マインドセットを変えるところからスタートしている」と語る。

 一方で、デジタル庁の職員の姿勢についても言及する。

 「いままでのシステムの作り方を根本的に変えるということに賛同して一緒にやってくれる人たちを探さなくてはいけない。過去の延長線上の話ではないので、そういう人たちが中心にならなくては、このプロジェクトはうまく行かない。デジタル庁は、人が大切である。人材をどう確保するかという点で、いまは、いろいろな人とコミュニケーションを取っているところだ」とする。

 そして、こうも語る。

 「自民党の会議では、いままでの霞ヶ関とは全然違う省庁にしてほしいと言われている。エンジニアの多くが、リモートで働けるようにし、どこかのビルに全員が入るということにはならないし、したくない。また、多くの議員からは、『まさかスーツを着て、ネクタイを締めるように連中ばかりのデジタル庁ではないよね』と言われている。『Tシャツ、ジーンズでOKだよね』とも言われている。確かに、そういう職場になるだろう。また、フレックスタイムも採用することになるだろう。いままでの霞ヶ関の常識とはまったく違う省庁にしたい」

 平井大臣自らが準備室の室長を務める理由についても触れる。

 「私自身が、一緒にやる人たちの意見を聞かなくてはならないこと、そして、一般の方々の意見は幅広く聞かなくてはならないと思っているのがその理由。アイデアボックスを作り、そこに書き込まれたものについては、目を通すようにしている。すでに、中学生からお年寄りまで、前向きに期待をする書き込みが多い。今回のデジタル化に対する期待が大きく、国民の多くが、自分にとって、なにかプラスになるような変革が起きるのではないかと思っている。デジタル庁の創設に向けて、そのことを忘れてはならない」と自分に言い聞かせる。

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