週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

メルセデス・ベンツのクーペ風SUV「GLA」と実用性SUVの「GLB」の違いを検証する

2020年10月18日 12時00分更新

2020年の旬な輸入車
メルセデス・ベンツ「GLA」と「GLB」

 2020年の日本の自動車市場で売れ筋と言えるのは「SUV」だ。それも「コンパクト」が人気だ。実際に2020年前半に最も売れたのはトヨタのコンパクトSUVである「ライズ」であった。「カローラ」や「プリウス」「ヤリス」を抑えてのトップである。また、日産は10年ぶりの新型モデルとなる「キックス」を発売。これもコンパクトSUVとなる。しかも、トヨタは「ヤリス クロス」も投入。相次ぐ新型の登場で、コンパクトSUVへの注目度はさらに高まっている。

メルセデス・ベンツ「GLA」

 一方、世界市場においては、SUV人気はすでに先行しており、欧州ブランドでも数多くの新型SUVが登場している。そんな中、メルセデス・ベンツは6月下旬に2台のコンパクトSUVを日本市場に投入した。それが「GLA」と「GLB」の2台だ。「GL」とはメルセデス・ベンツのSUVを意味する名称で、最後の「A」と「B」は車格を表す。つまり、「Aクラス相当のSUV」と「Bクラス相当のSUV」という2台となる。そしてメルセデス・ベンツ日本が言うには、どちらのモデルも「具体的な台数は申し上げられませんが、販売は大変に好調」だという。つまり「GLA」と「GLB」は、2020年の日本市場における「旬な輸入車」と言える存在なのだ。

メルセデス・ベンツ「GLB」

GLAとGLBの同じところと違うところ

 では具体的に「GLA」と「GLB」は、どんなクルマなのかを説明したい。まず、2台ともベースはハッチバック車の「Aクラス」となる。エンジンを横置きするFFプラットフォームを使っており、メルセデス・ベンツの最新インフォテイメントシステムである「MBUX」を採用。3つの大きなエアコン吹き出し口が並ぶインテリア・デザインは「GLA」も「GLB」も同様なもので、これも「Aクラス」由来のモノとなっている。

メルセデス・ベンツ「GLA」

メルセデス・ベンツ「GLB」

 ただし、「GLA」と「GLB」のボディーは、まったく別。サイズが違うというよりも、狙いがまったく異なっている。「GLA」はスタイリッシュなクーペ風のコンパクトSUV。一方、「GLB」のボディーはスクエアで、内に3列のシートを並べる。つまり、7人乗車のMPVとして使えるようになっているのだ。また、パワートレインは「GLA」が最高出力110kW(150馬力)、最大トルク320Nmの2リッターディーゼルのみで、駆動方式も4WDのみ。つまり、ガソリン・エンジンもFFもないというグレード編成だ。一方、「GLB」は、同じ2リッターディーゼルだけでなく、最高出力165kW(224馬力)、最大トルク350Nmの2リッターガソリン・ターボも用意する。駆動方式はFFと4WDの2つで、ディーゼルがFF、ガソリン・エンジンが4WDとなる。

メルセデス・ベンツ「GLA」

メルセデス・ベンツ「GLB」

 整理すると「GLA」はディーゼルで4WDの「GLA200d 4MATIC」(502万円)の1グレード。「GLB」はディーゼルでFFの「GLB 200d」(512万円)と、ガソリンで4WDの「GLB 250 4MATICスポーツ」(696万円)の2グレード編成となっている。

メルセデス・ベンツ「GLA」の室内空間

実際に走らせてみて良いところはどこなのか?

 では、「GLA」と「GLB」を実際に走らせてみて、良いと思うのは何か。それはプレミアム価格を納得させる説得力だ。そもそも、メルセデス・ベンツはプレミアムカーということで、価格もそれなりに高額だ。日本車のコンパクトSUVであれば200万円程度あれば購入できたりもする。それに対して「GLA」と「GLB」は、ざっくり2倍以上の値が付けられている。

 しかし、その価格を納得させるモノがあるのだ。「ハイ、メルセデス!」との声掛けで操作ができるMBUXの機能やドライバーの前に横たわる大きなモニターの存在は、「GLA」と「GLB」が先進性に富んだクルマだということが、誰の目にはハッキリとわかる。インテリアは質感が高く、デザインには斬新さがある。さらに、先進運転支援システムの充実度は、日本車を一歩リードする。さらに走りのレベルも高い。

メルセデス・ベンツ「GLB」の前後シート。シートのホールド感もさることながら、足下が広い

 そもそも「Aクラス」という基本をこしらえ、その周りに派生モデルを揃えるという作り方がうまい。「Aクラス」ただ1モデルだけでなく、「Bクラス」「CLA」「GLA」「GLB」と5モデルに展開するのだ。それだけ基本に多額の開発費を使うことができるから、当然、走る、曲がる、止まるという運動性能のレベルは高まる。欧州車らしい、優れた直進性と安定感が特徴と言えるだろう。また、ディーゼル・エンジンは低回転から非常に力強く、ガソリン・エンジンは伸びやかさが印象的であった。どちらのパワーユニットも、車格を上回る300Nm級のトルクがあるため、急峻なワインディングを軽々と駆け上がる俊足さを見せてくれたのだ。

 そうした基本性能を土台にモデルごとの特徴を作り込む。「GLA」は、上屋の小ささと軽さを活かした軽快感が楽しめる。「GLB」は、実用性に優れる広い室内空間がある。小さな子供のいるヤングファミリーや、アウトドアでの趣味のある人に人気というのも納得のデキだ。

メルセデス・ベンツ「GLB」。後部座席を倒すと驚異の室内空間ができあがる

当然イマイチな部分もあるが……

 とはいっても百点満点ではなく、気になる部分もある。「GLA」でいえば、荷室などの室内空間への不満だ。狭いとは言えないが、やはりミニマム。クーペ的な使い方になる。荷物をたっぷり積みたいという人には向かない。また、「GLB」は上屋の大きさゆえの重さが気にある。また、3列目シートは大柄な大人には辛い。短時間、もしくは子供用と割り切る必要があるだろう。

 そして、最大の問題はパワートレインと駆動方式のラインナップだ。本来的には、クーペ的な使い方が中心となる「GLA」には、ガソリン・エンジンとFFの組み合わせが欲しい。逆に「GLB」はディーゼルと4WDの組み合わせが欲しい。現状では逆の組み合わせなのだ。ただし、「GLA」と「GLB」の日本導入は始まったばかり。今後は、徐々にラインナップが増えていくことだろう。今後に期待したい。

■関連サイト

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 
この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう