グーグル新製品発表から見える「5Gミドルクラス・シフト」と「コンテンツ・サービス一体化」戦略
グーグルによる秋の新製品発表というと、多くの人はまず「Pixel」を思い浮かべる。しかし、それはあくまで、家庭用機器のプラットフォーマーであるグーグルの一面に過ぎない。今年の発表は、それを強く感じさせるものだった。
今年のPixelが「ハード的にはつまらない」のは必然である
今年のPixelである「Pixel 5」「Pixel 4(5G)」を見て「つまらない」と思った人は多いのではないだろうか。過去のようにハイエンドなパーツを集約したものではなく、この時期としてはごく穏当なスペックで、5Gを搭載したことが大きな違いとなっている。
ただ、これもPixelがどういう位置付けなのか、スマホメーカーとしてのグーグルがどんな立場なのかを考えれば納得できる。
グーグルはスマホのプラットフォーマーではあっても、トップメーカーではない。その時のAndroidというプラットフォームにとって、重要なデバイスを提供するのがPixelの役割だ。
昨年はハイエンドなデバイスを発売したが、今年は違う。ハイエンドなデバイスよりも「5Gの普及」が優先になっているからだ。メディアではハイエンドデバイスが注目を集めるが、市況が厳しくなるという予想もあり、10万円を超えるようなデバイスは厳しいのでは……という声は多い。「二つ折り」など特別なギミックのある機器が得意なメーカーや、アップルのような強く厚いファン層をもつメーカーならともかく、毎年のように在庫に苦しむグーグルとしては、高いデバイスを作るより、「5Gを安価に提供する」ことに特化した方が有利……と判断したのだろう。
そもそも、ずっとPixelの強みは「ハードではなくソフト」から生まれているため、ハイエンドパーツそのものに拘る必然性は薄い。それだけ、採用しているSoCであるクアルコムのSnapdragon 765Gが優秀である、ということでもあるのだが……。
ただ一方、このような選択をしたことで「手に入れやすい価格」にはなったものの「なぜPixelを選ぶのか」というアピール力は、例年に比べて弱くなった感もある。そういう意味では、ハイエンドである「Pixel 5」よりも、価格が安い5Gモデルである「Pixel 4(5G)」こそが戦略商品、という見方もできる。実際問題、同じ「4a」なのに、4Gモデルと5Gモデルではディスプレイサイズも機能も異なる。4aとは言いつつ「エコノミークラスPixel 5」のような位置付けになっているのが興味深い。
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