レノボ・ジャパンは29日、世界初の2つ折りディスプレイを搭載したモバイルPC「ThinkPad X1 Fold」を発表した。直販価格は39万9800円(税込)で10月13日から販売を開始する。
ボディは完全に2つに折れるデザインで、持ち歩くときはA5判+サイズなのに、完全に開くと13.3インチのタブレットPCに、半分折り曲げて使うときには9.6インチ2画面のクラムシェル型ノートと、変幻自在な構造が最大の特徴である。
大和の技術者が日本の伝統技術で実現した
世界初の2つ折りモバイルPC
注目のディスプレイ部分は、全開で13.3インチのOLED(有機EL)で、レゾリューションはQXGAの2048×1536ドット。つまり4:3という、正方形に近いカタチである。
最高輝度は300nitで、発色はDCI-P3規格の95%カバーで、10点マルチタッチと、ペンによる入力が可能だ。
実際に量産直前の最終サンプルを触ってみたが、ディスプレイの曲げ・伸ばしは非常に精密な動きで、信頼性を感じるとともに、癖になる感触である。
日本では、専用キーボード(日本語配列)とスタイラスペンが付属する。
このキーボードがまたよくできていて、2つ折りにするときにOLEDの間にピッタリと挟まってくれる。この状態で、無接点のワイヤレスで、本体からキーボードへの充電が行われる。
タブレット状態からディスプレイをまげて、キーボードを設置するときは、磁石で片側にのみくっつくようになっている。その際、PCは画面のタスクバーを自動的にうえに移動して、半分の画面の、いわばクラムシェル状態となる。
キーボードなしで、クラムシェル利用するときは、画面にソフトウェアキーボードを出してタイピングも可能。また、上下2画面として使うか、折れた1枚のフル画面として使うかも、常駐ソフトですぐに切り替えられる。
本体サイズは開脚時が299.4×236×11.5mmで折りたたみ時が158.2×236×27.8mmと、A5判(148×210mm)の厚めのハードカバーを持ち歩く感じだ。重量はボディが973gでキーボードが173gなので、合計では1146gとちょっとズシリとなる。
2つ折りの実現には、もちろんフレキシブルのOLEDが主役だが、それを下支えする板にはピッチ系カーボンを使っており、また、ヒンジ部には日本の伝統技術の三軸織物の構造を使い、正六角形による柔軟性と強度を実現しているという。さらにメイン基板の実装には、寄せ木細工のしくみを応用して薄さを実現している。
インテルのLakefield搭載で超小型化と省エネを実現
WWANは5Gを選択可能
CPUは6月に正式発表となったコードネーム「Lakefield」こと正式名「Intel Core Processor with Intel Hybrid Technology」で、リリースでは明記されていないが、「Core i5-L16G7」である。
正式名からわかるとおり、通常のCore iシリーズとは異なり、メインメモリーまで12×12mmのパッケージに3D実装しているのが特徴で、省スペースかつ省電力なPCに向けたCPUである。
Core i5-L16G7は5コア/5スレッドでベースクロックは1.4GHz、ターボブースト時は最大3GHzで動作する。TDPは7Wと、低消費電力だ。
名前のG7からわかるとおり、内蔵グラフィックスはIceLakeと同じUHDグラフィックスで実行ユニットは64個搭載し、なかなかパワフルそうである。
メインメモリはこのCPUに内蔵の8GBで、ストレージは512GBをM.2で搭載している。
無線はWi-Fi 6やBluetooth 5.0に加えて、後日にはなるが5Gモデムを選択できるようになる。これからのモバイルPCとして有難い設定だ。
インターフェイスはUSB Type-C×2のみと非常にシンプルで、5GモデルにはSIMカードスロットがつく。
バッテリー容量は50Whで、駆動時間はJEITA2.0基準で11.7時間である。ACアダプターは65W出力のスリム型で、Type-C端子に接続し、高速充電も可能である。
ThinkPad(というか大和研究所)は、かの有名なバタフライキーボードのように、昔から、小さく持ち歩いて、大きく使うという様々な工夫を実現してきた。X1 Foldももちろん大和のみなさんの創意と工夫のかたまりである。全部入りでちょっと高価だが、ぜひ触って、折り曲げてみてほしい。絶対欲しくなるのだ。
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