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Apple Watch SE「最新機能はさほど必要ないからちょっと安くして~」というニーズにピッタリ【井上 晃】

2020年09月17日 12時00分更新

 「Apple Watch Series 6」が発表されて最初に抱いたのは、「ちょっと新機能が専門的だな」という印象でした。もちろん従来機までが備えた機能を踏襲しているわけで、なんでもできるという万能感はもちろんあるのですが、一番前に出ている新機能「SpO2が測定できるようになった」については、どのくらい訴求するのか予想ができません。普段からスマートウォッチを追っている筆者も、正直、「SpO2って何だっけ?」、と調べ直しました。

 どうやら、ヘモグロビンと酸素の結合している割合を「動脈血酸素飽和度(SaO2)」と呼び、これを皮膚に光を当てた際の吸収率から簡易測定(つまり動脈血の赤色の度合いから算出)したものを「経皮的動脈血圧酸素飽和度(SpO2)」と言うらしい。

 で、これは何に使われる指標なのでしょうか――。どうやら、フィットネス分野では、高所トレーニングとか低酸素トレーニングの文脈で多く登場する数値らしい。しかし、正直、市民ランナーレベルでは、ゴールタイムの目安を知るために、「VO2MAX」がわかれば十分です。こちらは従来機でも「ヘルスケア」アプリ内の、「ブラウズ」>「呼吸」>「最大酸素摂取量」から確認できていました。

 こうした状況を踏まえても、フィットネスシーンにおけるSpO2の測定機能は、マラソンを筆頭とするエンデュランススポーツの競技者や指導者など、上級者向けのニーズに当てはまると言えるでしょう。

 いうなれば、上位モデルは“Apple Watch Pro”的な存在になりつつあるわけです。

 一方、前モデルから採用された「常時表示」や、日本ではまだ使えない「ECG(心電図)」、今回追加された「SpO2」など、「最新機能はさほど必要ないからちょっと安くして~」というニーズが当然あるのは言わずもがな。

 この層にバッチリ訴求する「Apple Watch SE」が、まさにイマ出てきたのはタイミングが非常に良いというか、ビジネス的に腑に落ちるなと感じました。最新機能こそ非対応ですが、それ意外はしっかり成熟した基本機能を備えているので、スマートウォッチの「体験」としては十分完成度は高そうです。デザインも決して見劣りしないので、これは売れるのじゃないだろうかと感じました。

 また、「ファミリー共有設定」の登場によって、子どもや高齢者など、iPhoneを持っていなくても、管理者の子機的にApple Watchを持たせられるのは興味深いポイント。利用できるのが、モバイル通信対応のGPS + Cellularモデルに限られるという制限には注意が必要ですが、「保護者と連絡を取るだけならApple Watchを持たせておけば良いじゃん」と言える時代が来そうだな、とどこかワクワクした気持ちになりました。

若手モバイルライター・井上 晃氏

 

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