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【後編】アフターコロナ時代の在宅勤務とセキュリティ

三上洋さんが警告「在宅勤務ではG SuiteやOffice 365の盗難に要注意」

2020年09月20日 11時00分更新

日常生活の一部となった人も少なくない在宅勤務。ITジャーナリストの三上洋さんにテレワーカーのセキュリティ事情と注意すべき点を伺った

めったに在宅勤務しない人はスマホでも十分!

 ITジャーナリストの三上洋さんにアフターコロナ時代の在宅勤務とセキュリティを伺いました。前編ではおすすめ周辺機器とTIPS、そしてこの後編では在宅勤務中に気を付けたいセキュリティの心得を中心に紹介します。

三上 ここまでノートパソコンとつなげる前提でさまざまな周辺機器を紹介してきましたが、やはり多少の出費は必要です。かと言って、ノートパソコン内蔵のカメラとマイクでは特に音が悪く、出席者にも迷惑がかかります。ではどうすればいいか?

 じつは一番簡単なのがスマートフォンです! テレビ会議に出席するだけなら、スマホとイヤホンの組み合わせがベターです。理由は2つありまして、まずインカメラの画質が凄く良いこと。自撮りする人たちのニーズに長年応えまくった末の性能ですからね。そして音も安定しています。面倒な設定も要りません。イヤホンマイクのジャックを本体に挿入、もしくは音楽を聴くときと同じようにBluetooth接続すれば必ず音が聞こえてきますし、マイクもつながります。

―― パソコンは、本体と周辺機器の設定がごっちゃになりがちです。設定変更したくても、パソコン本体をいじればいいのか、それともテレビ会議ツールのほうなのかわからず一瞬パニックになるときがあります。

三上 テレビ会議するときもたいがい、何かしらの作業をこなしながら出席しているわけですから、ノートパソコンとは別にテレビ会議用の機材が独立していることはメリットになります。自分が司会ならば別ですけれども、いち出席者ならばスマホが一番安定していますよ。

―― めったに在宅勤務しないのでわざわざ機材を揃えたくない、という人にもおすすめの方法ですね。

リモート講義直後の三上さんの仕事場。ご紹介いただいたおすすめ機材が勢ぞろい!

テレワーカーの3割はセキュリティの心配事がない!?

―― では、昨今のテレワーク・在宅勤務の状況はどうなっているのでしょうか?

三上 先日、日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)が「テレワーク状況とセキュリティに関するアンケート調査レポート」を公表しました。それによると、テレワーク(在宅勤務)実施率は「毎日」から「週1~2日まで」を合わせると38%。実施のきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大が問題化してからが80.2%でした。

 一方、利用端末は勤務先から支給されているパソコンの利用が69.3%、同様にiPhone23.6%、Androidスマホ13.5%、対して個人所有のパソコンが60.2%、同じくiPhoneが33%、Androidスマホが27.9%となっています。いわゆるBYODで緊急的に始めたところがかなりあるといってよいでしょう。

「テレワーク状況とセキュリティに関するアンケート調査レポート」日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)

 さらに資料を読むと、緊急だったので資料をUSBメモリーで持ち出しましたとか、なんらかのかたちで臨時で持ち出すなど、これまでのセキュリティー利用の形を無視した可能性があるのではないか。そして以前は持ち出し禁止だった情報がテレワーク開始を機に正式に/一時的に認められたという緊急的対応があったと。つまり、本来であれば持ち出せないような情報をテレワークということで持ち出しているのでは……という結果が出ています。

 そんななか、テレワークの情報セキュリティ上の心配事が「特になし」と回答した人がおよそ3割に上ったとのこと。これについては、じつはリスクを理解していない可能性もあるため、意識向上が必要ではないかとまとめられています。

―― 実際、テレワーク中の機密情報の保管場所が、自分の「パソコン内」と答えた人が44.7%もいらっしゃるのですから、今後はセキュリティ教育も重要ですね。

三上 注目したいのは、NTTコミュニケーションズへの不正アクセスで数百社の工事情報が漏れたという事件です。リモートアクセスを利用したBYOD端末からの不正アクセスだったと公式発表がありました。BYOD端末がウイルスに侵されて仮想デスクトップから社内のファイルサーバーに侵入されたようです。

 この件、リモートワークだとは書いていませんが、手持ちの端末を仕事に使っているという意味で、状況的にはリモートワークでも起こりうる事件です。BYODはもちろん、持ち出した社内パソコンを社外で使う際のセキュリティも重視せねばならないことがわかった一件だと思います。

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