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社内変革、事業継続性、従業員体験、コロナウイルス対応にどう貢献するのか

「G Suiteがなかったらと思うと、ゾッとする」 YKK AP、リクルートが事例を披露

2020年09月07日 10時00分更新

ロックダウンでも問題なく業務を継続

 具体的な事例として紹介したのが、営業部門におけるG Suiteの活用だ。同社では、3月に原則在宅勤務とする通達を行ったが、営業部門では、3月~4月に、新商品の発表が増えたり、同社の新たな方針などが打ち出されたりするタイミングであり、顧客に向けて情報発信が活発化する時期でもある。だが、顧客からは訪問拒否や遠慮依頼が増加。新たな営業方法の模索が求められていた。

顧客からの訪問拒否や遠慮依頼が増加し、新しい営業方法が必要に

 迅速な経営判断もあり、約1000台のPCを緊急調達して、社員に配布。「PCの手配を先手で行なうことができた。初期設定の一部を社員にお願いできたことも、迅速な配布につながった」としたほか、「経営会議や大規模会議をはじめとして、あらゆる会議をGoogle Meetで行なった。これまでは会場の広さの関係から、会議室には入れなかった社員もいたが、参加したい社員は全員が参加できるという副次的効果も生まれた。Google Meetは営業活動にも使用し、新たな営業スタイルを確立。片道1時間30分かかる顧客先に出向き、30分間商談して戻ってくるという非効率的な営業から脱却したり、10分程度の短い営業活動の実施、資料共有を行うことでの提案の質的向上も図った。外部向けの大規模会議やイベントも、会場の予約を行うことなく開催できるようになった。営業本部の部長からは、『G Suiteがなかったらと思うと、ゾッとする』という声があがっていた」とした。

 また、ホワイトボード代わりに、ネットワーク対応ホワイトボードの「Jamboard」を利用。Googleカレンダーに移行したことで、行動予定の共有だけでなく、活動実績情報の入力による管理の効率化、SFA非対象部門での日報入力といったことも可能になったほか、Googleスプレッドシートを共同作業に活用。Excelで管理していた物件の工程表などを一元管理し、バージョン違いの発生をなくし、共同作業を行えるようになったという。また、Googleサイトに最新情報を集約し、IT部門のサポートがなく、部門単位でサイトを立ち上げるといった使い方も行っており、「多くの業務で効率化を達成し、従来以上の生産性を実現した。G Suiteの利用に踏ん切りがつかなかった組織でも、コロナ禍を機に利用するようになった。コラボレーションに壁を作らないツールである」と語った。

 一方、シンガポールで設計、施工管理を行うYKK AP FACADEシンガポールにおけるG Suiteの活用についても説明した。

 シンガポールでは、4月3日(金曜日)にロックダウンの発表があり、週末をはさんで7日(火曜日)からロックダウンを開始。限られた時間内で、在宅勤務などに対応することを余儀なくされた。

シンガポールのロックダウンでの状況

 「設計業務を行なう社員をはじめとして、すべての社員が急遽、PCを持ち帰ることを決定した。だが、社員の間では、G Suiteを利用できるという安心感があった。また、ロックダウンを想定した準備を進めていたが、金曜日にロックダウンの発表後、4台のPCを使って、1週間で3.2TB以上のデータを、Googleドライブに転送した。G Suiteを活用して、短期間での在宅勤務の実施を実現できた」とした。この成果は、ベトナムでロックダウンが行なわれた際にも生かされたという。

 YKK APでは、今後のG Suiteの活用に向けて、「ゼロトラストの考え方を用いたセキュリティ環境の実現や、Googleカレンダーの情報のオープン化、ナレッジの共有のほか、GoogleサイトやGoogleフォームなどによる高度な使い方のサポートが必要だと考えている。また、Google App Scriptを使用した自動化の促進も行いたい。さらには、会議を録画し、情報を共有したり、深夜残業や健康面での不調に気がつくという点にもG Suiteを活用したい」などとした。

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