オープン型イヤホンならではのクリアなサウンド
ノイキャンはなくても大丈夫?
最初に多くの方が注目しているであろうPixel Budsの音質をレポートする。
Bluetoothオーディオのコーデックは、AACとSBCに対応する。Androidを搭載するスマートフォンやウォークマンのような、ハイレゾプレーヤーがサポートする高音質・低遅延が特徴のaptXコーデックによる接続は、残念ながら非対応。今回はGoogle Pixel 4aをリファレンスの音楽プレーヤーにしてSpotifyの音源を聴いた。
Pixel Budsには完全ワイヤレスイヤホンとしては、比較的珍しい12mm口径の大型ダイナミック型ドライバーユニットが搭載されている。ソニーの「WF-XB700」も同じ12mmのダイナミック型ドライバーを搭載する完全ワイヤレスイヤホンだが、本体のサイズはPixel Budsの方がずっとコンパクトで装着感もベターだと思う。
音楽再生をはじめると、この小柄なイヤホンが驚くほどパワフルで鮮やかなサウンドを聴かせてくれる。ボーカルはとてもエネルギッシュで、ピアノやサキソフォンのハイトーンがメロディを輝かせる。低音のインパクトは鋭く切れ味にも富む。描き出される音場が立体的だ。ダイナミック型ドライバーらしい滑らかにつながるサウンドの一体感がとても心地よい。例えばボーカルをハイライトしたロック・ポップス系楽曲の臨場感に時間を忘れて聴き入ってしまった。大編成の楽団が演奏するジャズやクラシックの雄大なスケール感にも惹きつけられる。
Pixel Budsはクリアでヌケ味の良いサウンドが楽しめるように、本体のシェルに空気の通り道となる小さな穴を設けているオープン型のイヤホンだ。この構造によって、力強さにスピード感と切れ味を添えたビビッドなサウンドを再現できるのだ。
開放型イヤホンのシェルには、小さな穴がある。一般的に開放型イヤホンは遮音性能が低く音が漏れやすいと言われているが、Pixel Budsは孔を設ける位置を工夫しつつ、さらにシリコン製イヤーピースで耳穴に密着させるスタイルとした。これによって、引き締まったタイトな低音が再生できる。筋肉質な低音を足場にして、伸びやかにうたう中高音域とのつながりがとても自然でスムーズだ。アップルのAirPodsも同じオープン型のイヤホンだが、聴き比べてみると明るくきらびやかな中高域を前面に押し出すAirPodsは、低音のバランスがやや抑え気味に感じられる。特に騒音に囲まれがちなアウトドアリスニングの場合は、グーグルのPixel Budsの方がパンチの効いた低音が楽しめる。
でも、やはり地下鉄の車内など音量の大きめなノイズに囲まれる場所では、「セリフ」が聞き取れることが重要な意味を持つ動画再生にPixel Budsを使うと、声の輪郭が少し掴みづらくなる気がした。Androidスマホとペアリングして使う場合、Bluetooth接続機器のリストからPixel Budsの設定メニューを開いて「アダプティブ サウンド」をオンにしよう。騒音の大きな場所に移動すると自動的にイヤホンの再生音量が上がって聞こえやすくなる。ただ、AirPods Proの騒音を消すことを目的に搭載したアクティブ・ノイズキャンセリング機能の方が、やはり高い遮音性能が期待できると思う。
そしてオープン型構造の完全ワイヤレスイヤホンの中でも、遮音性能が高めなPixel Budsは音楽再生を始めるとリスニング環境周囲の音がだいぶ聞こえづらくなる。AirPods Proのような外音取り込みモードがPixel Budsに搭載されていないため、人混みの中を歩きながらイヤホンで音楽を聴く時には人にぶつからないよう注意しながら使いたい。音楽再生は屋外を移動しながら楽しむことが多いという方は、ほかのノイズキャンセリングや外音取り込み機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンと、音の聞こえ方や使い勝手を比べてから選ぶことをおすすめしたい。
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