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IPX5やaptXにも対応する完全ワイヤレス

5000円台と思えない完成度のJPRiDE「TWS-X」は注目だ

2020年08月21日 11時00分更新

文● 山本敦 編集●ASCII
提供: エムピートレーディング

 JPRiDEはこれまでも、AmazonなどのECサイトを中心に実績を重ねてきた。多くのユーザーの支持を獲得した製品としては「TWS-520」がある。TWS-Xがこの姉妹機に加わることで、ラインナップにいっそうの厚みが生まれる。TWS-520はスティック形状の本体を外耳のくぼみにフィットさせるデザインとしているが、TWS-Xはよりコンパクトなサイズ感を重視した耳栓スタイルを採用している。

 イヤホン本体と充電ケースは、落ち着いてクールなマット仕上げ。タッチセンサーリモコンを内蔵するサイドパネルを光沢処理として中心にブランドロゴを配置する高級感のあるデザインだ。ケースも含めて片手でハンドリングできるサイズ感なので、シックな装いを好む女性の音楽ファンにも好まれるだろう。特別な日の贈り物にしてもいいと思う。

 とはいえ、このデザインはただスタイリッシュなだけではなない。誰の耳にも素直にフィットする心地よい装着感を徹底的に追求している。

 イヤホンの内側、耳の肌に触れる部分はマット仕上げにしてグリップを高めつつ、緩やかな曲線を付けて耳へのアタリを軽減している。パッケージにはS/M/L各サイズのシリコン製イヤーピースが付属する。最適なサイズを選ぶことによりフィットを最適化、遮音性も高められる。片側イヤホンの質量が約5.3gと軽いので、音楽再生を始めるまで思わずイヤホンを耳に装着していることを忘れそうになる。装着感はストレスフリーだ。

高級イヤホン中心に使われているクアルコム製チップを採用

 本体にはハンズフリー通話を可能にするマイクを内蔵する。米クアルコムのBluetoothオーディオ向けチップが内蔵するcVcノイズリダクション機能により通話音声の品質はとてもクリアだ。ビデオ会議等にも効果が期待できる。

 なお、TWS-XはクアルコムのBluetoothオーディオ向けチップ「QCC3020」を採用している。パワフルでキレのあるサウンドを特徴とするSoCで、TWS-Xよりも値が張るハイエンドクラスのワイヤレスイヤホンも多く採用している。

 筆者の印象では、QCC3020を採用する完全ワイヤレスイヤホンは、スマホとの接続がとても安定していて、音切れや無線通信によるノイズがとても少ない。TWS-Xもそうで、iPhone 11 ProやGoogle Pixel 4aと交互に接続しながら、色々な場所で実験してみたが、通信品質はとても安定していた。

適切なアサインで、ストレスレスなタッチセンサー

 本体の左右側面パネルは、タッチセンサーを内蔵するリモコンになっている。

 スマホと最初にペアリングする時には、まず左側イヤホンのタッチセンサーを約2秒間長押して電源が入れる。すると、自動的にペアリングモードに切り替わるので、スマホのBluetooth接続機器リストに表示されるTWS-Xの名前をタップしてつなぐ。

 使い終えたら、左右どちらかのイヤホンを6秒間長押しすると電源がオフになる。また手動でペアリングモードに移行したい場合は4秒間長押しする。

多くの完全ワイヤレス型と同様、軸の部分は短めになっている。

 また、音楽再生やスマホへの着信時は、ダブルタップが再生の一時停止/再開の切り替え、2秒長押しが楽曲スキップ、トリプルタップで音量操作になる。右側が次の曲へのスキップとボリュームアップ、左側が曲戻しとボリュームダウン操作になる。実機で試してみるとセンサーの感度は良く、シングルタップに操作が割り当てられていないため、うっかり本体に触れて誤操作が発生する心配なく使えた。

 TWS-XはIPX5相当の防滴対応としているため、心地よく体を動かしながら音楽が聴けるスポーツイヤホンとしても使い勝手が良い。体を激しく動かしても耳にしっかりとフィットしたまま安定感をキープする。タッチセンサーのリモコンは、ジョギング中の楽曲操作にも相性が良かった。

十分な低域とシルキーで温かみのある声の質感

 TWS-Xのサウンドを聴いてみよう。本機はaptXコーデックの利用にも対応している。高音質と低遅延にメリットのあるオーディオコーデックが、5000円台のエントリー価格帯の完全ワイヤレスイヤホンに搭載されていることに要注目だ。

2種類のイヤーチップが付属する。装着性に加え、密閉性によって音質にも差が出るので、両方確かめて使い分けたい。

 aptX接続によるリスニングを楽しむためには、同じくaptX対応のスマホやBluetooth接続機能を搭載するオーディオ機器が必要だ。aptXはクアルコムの技術だが、スマホについてはSnapdragonなどを搭載する、最近の端末であれば、多くがaptX対応と考えてもいい(aptXはAndroidやWindows 10が標準サポートしている)。

 iPhone、iPadと組み合わせる場合は、aptXでの接続ができないが、Bluetoothオーディオ再生のパフォーマンスが向上するよう、TS-XはAACコーデックもサポートしている。

 まずはGoogle Pixel 4aに接続してaptX再生のサウンドを中心に確かめた。

 Spotifyで配信されているMay J.のアルバム「Sweet Song Covers」から『ただ泣きたくなるの』を聴くと、シルキーで温かみがあふれ出すボーカルが楽しめた。砂糖を少し多めに入れて味わうミルクコーヒーのように温かみのある甘い声の余韻が絶品だ。とろけるようなトロンボーンのハーモニーに耳が潤う。aptX再生の場合は声の線はやや細く感じられるものの、質感の柔らかさと余韻のふくよかさが一段と華やかに引き立った。

 プレーヤーをiPhone 11 Proに変えてTWS-Xのサウンドを聴いてみると、音の芯がしなやかに強く描かれ、活き活きとした印象が映えてくる。DAOKO×岡村靖幸の『ステップアップLOVE』ではしなやかなビートの弾力がとても心地よく体の芯に響いてくる。コンパクトなサイズ感から想像もつかないほどダイナミックな低音が鳴らせるイヤホンだ。

 ルーベン・ゴンザレスが『Melodia del Rio』で聴かせるピアノも伸び伸びとうたう。アロマが匂い立つような余韻が絶品だ。アンサンブルの音色が広々と描かれる空間にゆっくりと染み渡る。パーカッションの乾いた軽やかなリズムが、青空と水平線が溶け合う遠いカリブ海の雄大な情景を思い描かせてくれた。

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