●内蔵GPUは前世代よりも改善されたが規模縮小
Ryzen PRO 4000Gシリーズに統合されたGPUは「Radeon Graphics」とボカされた名称になっているが、中身は前世代と同じVega(GCN)ベースのものだ。前世代よりも細かな改善が入っているGPUだが、CU数だけを見るとむしろ少なくなっている。CU数(1CU=64SP)の減少で描画性能は下がってしまうが、その分メモリークロックをDDR-2933から3200へ引き上げることでバランスをとっている。
ユーザー的には現行のNaviを使って欲しかったところだが、まだ色々と乗り越えるハードルがあるのだろう。この当たりに対する考察は、大原氏の鋭い視点をご一読いただきたい。
「GPU-Z」でRyzen 3 PRO 4350Gの情報を拾ってみた。Radeon Graphics 6なのでSP数は384基(64×6=384)、内部的にPCI Express Gen3のx16で接続されていることが示されている
同じくRyzen 5 PRO 4650Gの情報。なぜか接続がPCI Express Gen4 x16になっているが、何かの不具合だと思われる
SP数512基のRyzen 7 PRO 4750Gの情報。SP数512基といえばRyzen 3 3200GとSP数は同じだが、どの程度のパフォーマンスアップが期待できるのだろうか?
GPUドライバーはディスクリートのRadeonと同じ「Radeon Software Adrenalin 2020 Edition」を使う
GPUの使用率や温度をモニタリングする機能もそのまま
VegaだからFruid Motion Video(FMD)が使えるのでは……? と期待していた諸兄には残念だが、「ビデオ」タブ内にFMDに関係する設定項目はない
最新のAdrenalin EditonだからFMDが使えないのでは? と思いPolaris世代のRadeon RX 560環境に最新ドライバーを入れてチェックすると、FMDの項目が出現。少なくともデフォルト状態ではドライバーのせいではなくGPUを見てFMDの設定を出すかどうか決めているようだ
●CPUの倍率変更はできない
Ryzen PRO 4000GシリーズはCPUの倍率にロックがかけられている。つまり倍率を換えてOCすることはできないのだ。本来ビジネス市場向けのCPUである以上当然だ。どうしてもオーバークロックがしたければ、現状ではRyzen PRO 4000Gシリーズが組み込まれたPCを買ってきて、そこからAPUだけを取り出して遊ぶしかない。
AMDのサイトに上がっているRyzen 5 PRO 4650Gのスペックを見ると「アンロック」の欄が「いいえ」、つまり倍率がロックされ固定であることが示されている
Ryzen 5 4600Gの場合は「アンロック」が「はい」なのでOCも可能なのだが、ただの4600Gは「OEM Only」。(今のところは)パーツ単品売りされる予定は皆無なのだ