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LINE WORKSユーザーが語るコロナ渦のコミュニケーション

老舗温泉旅館とエステサロンはコロナの自粛期間をどう乗り越えたのか?

2020年07月22日 10時30分更新

LINE WORKSがなかったら、休業中にどうやって連絡していたのか

 イベントも中盤に入り、コロナ渦でどうやって仕事を進めたのか?というテーマに入る。LINE WORKSを導入した両社が会えない従業員とどのようにつながり、どのように仕事を進めていたのか興味津々だ。

 これに対して杉山氏は、旅館はもともと「従業員同士が会えない」と現状を説明する。24時間365日で営業している旅館はシフト制を採用しており、オペレーションのミーティングはもちろん毎日やっているが、全社員が一同に介するのは年に1~2回くらいとのこと。杉山氏の「普通の会社なら会議は短くしろと言われますが、われわれとしては会議がしたくて、したくてしようがないんです」というのは、旅館という業態の特徴を言い表したコメントだと思う。

 会議ができないと、集まれば一発で決まることがズルズルと先延ばしになり、経営層が描く方針が従業員に浸透するのも時間がかかるし、間違って伝わることも多かった。そのため、「オペレーションは問題ないが、理念やフローの浸透、意見の徴集をできないかと思っていた」(杉山氏)という問題意識がもともとあったという。そして、新型コロナウイルスが流行し始め、三密回避やソーシャルディスタンスが必要になり、いよいよ従業員との連絡手段が電話しかない状態で、3月に導入したのがLINE WORKSになる。

 長らくグループウェアを検討していた杉山氏だが、個人で利用するLINEに近いという点で「LINE WORKSだけはないな」と考えていたという。「仕事をプライベート持ち込むのは従業員もいやだろうし、パソコンなり、スマホなり、業務用に用意するべきだとも思っていた」と杉山氏は語る。しかし、スタッフに聞いてみると、「むしろケータイ2台持ちのほうがイヤだ」という声が上がり、自分のスマホにアプリが入ることもあまり抵抗感がなかったという。業務アプリとしてしっかりした作りでありながら、「LINEのようなもの」と違和感なく受け入れられたという。

 結果として3月に急遽導入されたLINE WORKSは、休業期間中も全社員が業務内容を伝達する手段として使われた。「これがなかったら、休業中われわれはどうやって連絡をとっていたのだろうと考えるくらい」とのことで、まさにインフラとして機能したのだ。

ITリテラシがなくても使えるLINE WORKSはサービス業と相性がいい

 一方、アンジェラックスの場合は、東京と福岡の店舗が休業し、新人社員も在宅を余儀なくされていたのに対して、長野のみ営業していたため、従業員同士の働き方に格差が生じていた。「言い方はなんですが、稼げる社員が前に出て、新人は家にいる。東京のメンバーが休んでいるのに、なんで長野のメンバーは働かなければならないの?みたいな不平等が起こっていました」と大杉氏は語る。これに対して、アンジェラックスはZoomを使って、トップが従業員全員に話しかけるみたいなことを週に1回くらいペースでやっていたという。「こうした場面でデジタルツールはすごく役立ちました」と大杉氏は振り返る。
 こうしたデジタルツールの1つがLINE WORKSだ。アンジェラックスは、ITリテラシや英語力が決して高くないユーザーが日常的に使っているLINEに近いものということでサービス開始当初からLINE WORKSをヘビーに使用しており、今回のコロナ渦でも効果を発揮した。「ITリテラシがなくても使えるというので、サービス業界との相性はとてもいい。若い人も、高齢者も、分け隔てなく使えるところが助かっている」と大杉氏は指摘する。

 そして、日常的に使ってきたLINE WORKSは今回のコロナ渦でも効果を発揮した。たとえば、従業員が測った体温をLINE WORKSにアップするようにしたり、休業中に行なったWeb研修のレポートをLINE WORKSにアップするようにした。「LINEで仕事のやりとりをしてしまう場合と異なり、LINE WORKSは店舗やタスクごとのトークグループをいくつでも作れる。だから、『コロナ研修用グループ』や『体温をアップするグループ』などを作って、細やかに従業員とコミュニケーションしていました」と大杉氏は語る。

 エステ業界に限らず、今回の緊急事態宣言下では「危険なのになぜ出社させるのか」という従業員の声に経営者はきちんと答える必要があった。実際、「出社を強制させた」と書かれ、SNSで炎上してしまった同業者もあった。しかし、LINE WORKSできめ細かなコミュニケーションを行なっていたアンジェラックスは、経営者と従業員の距離がきわめて近い環境を作ることができていた。「『With コロナ』って経営者はけっこう長い戦いであることを理解しているけど、従業員は『緊急事態宣言明けたら終わりっすよね』と考えるメンバーもいて、溝はけっこうあった。だから、1~2年かけてやっていく取り組みであることをきちんと説明した。」と大杉氏は語る。

 和心亭豊月でも休業下でかわされるLINE WORKSでのなにげないやりとりによって、コミュニケーションの重要さを痛感したという。杉山氏は「経営者と従業者が同じベクトルを目指すと本当に強いのだけど、これがなかなか難しい。でも、会えなくてもコミュニケーションはとれるし、文字で残すことが、同じベクトルを向くための最短の道であると感じた」とコメントする。

 同じLINE WORKSではあるが、「業務のやりとりをログとして残すためのグループウェア」として導入した和心亭豊月と、「チームの勢いを感じやすいLINEライクなやりとりを、そのまま業務ソフトに持ち込みたい」というアンジェラックスで、目的や使い方が違ってるのは面白い発見だった。

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