敏腕エンジニアを口説いて独自開発した音声解析AI
進む営業リモート化 営業電話をAIで見える化するIP電話「MiiTel」が急成長中
2017年に設立したRevComm(レブコム)は、音声解析AI電話「MiiTel(ミーテル)」を提供している。クラウドベースでユーザーは簡単に導入でき、「導入顧客の確実な売上改善や生産性向上につながる」と、創業者で代表取締役である會田武史氏は強い自信を見せる。同社のMiiTelとはどんな製品なのか。顧客提供価値に強い自信を見せる要因はどこにあるのだろうか。
ブラックボックス化されてきた電話営業を顕在化
RevCommが提供する「MiiTel」は、営業活動に欠かせない電話でのやり取りを可視化するサービスだ。
「これまで、電話営業でのやり取りを可視化することは難しく、ブラックボックス化問題が起きていた。『報告だけでは、ニュアンスが伝わらない』『内容を報告する担当者のバイアスがかかる』といったことが悩みがあった。これを解決する方法となるのが、我々のMiiTel。これまでブラックボックス化されていた営業担当者のコミュニケーションを解析して可視化する」――會田氏は笑顔でこうアピールする。
実際にやり取りした音声そのものをAIによって分析することで、文字化されたやり取りを分析するだけでは明らかになっていなかった課題まで顕在化することに成功した。
たとえばしゃべる内容が早すぎる説明は相手になかなか理解されにくい。実際にデータから調査したところ、1秒間に7文字相当を話していると早口で聞き取りにくいという声があがる。それが5文字になると、途端に理解しやすいという声に変わるのだという。
また、新人の営業担当者が、相手が答え終わるのを待たず、かぶせて発言していることが多いことが明らかになったこともあった。相手の会話にかぶせて発言を行なうことは、圧迫感や不信感を与えることになる。分析によって初めてこの事実に気がついた営業担当者は、指摘を自ら修正するセルフコーチングによって自分の営業スタイルの見直しを行なった。
現在はさらに調査を進めており、業種ごとに必要な話術が異なることも明らかになった。たとえば金融商品は提供する情報量を増やした方が成功率が高い。不動産業では、「駅から徒歩何分の物件を探しているのですか?」といったヒアリングに徹して条件を聞く方法では成果が上がりにくい。成績の良い不動産セールス担当者は、「今、特別な掘り出し物の物件がありますよ?」といった応対をしている違いがある。
ここまで述べたように、MiiTelを導入することで、(1)ブラックボックス化問題の解消、(2)セルフコーチング、(3)リモートワークの実現という3つの効果をもたらすと會田氏は説明する。
「交わされているやり取りを全て文字化・要約して、たとえば、営業活動の見直しに利用するという方法がある。文字化された会話を見て、営業成績の良い人がコメントを入れる。『会話のここが大事ですよ』『ここの部分は、もっと掘り下げていった方がいいですね』といった、より具体的な指摘ができるようになる」
営業活動を可視化するソリューションは、決して新しいものではない。外資系ITベンダー、国内ベンダーなど多数のベンダーが取り組んできたジャンルだ。既に多くのユーザーを獲得している製品もある。
しかしながら、會田氏は、「これまでの営業支援ソリューションは、音声のやり取りを文字化するにとどまっていた。そのため、報告を行った人が省略した部分が実はポイントとなっていたのに、そこが伝わっていなかった。MiiTelではこれまで伝わってこなかった部分を顕在化している。さらに、既存の営業支援ツール品と競合するわけではない。むしろ連携ができる」
実際、日本で多く使われている営業支援ツールとの連携もすでに実現している。ブラックボックスだった電話でのやり取りをコアに、これまでの営業支援ツールを補完する役割も果たしているのだ。
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