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ダイヤルをぐるぐる回してノイズキャンセリング!

Surface Headphones 2を使うと、テレワークや音楽ライフは充実するのか?

2020年06月23日 13時00分更新

ノイズキャンセリング性能は平均的

 筆者は現行よりひとつ前の世代だが、ソニーの「WH-1000XM2」を持っているので、ノイズキャンセリングの性能や音質について、これを基準に比較する。

Surface Headphones 2

 まずはノイズキャンセリングから。自動車が定期的に往来する、雨天の幹線沿いに立って聞いた。夜間のため周囲は静かだが、一定の間隔で自動車が高速で横切り、その際に大きな風切音がする。また、雨音のはねる音がどう聞こえるかはヒアスルーの聞こえ具合を知る意味でもいいのではないかと思う。

 ノイズキャンセリングの効果自体は感じられた。ただし、ノイズをカットする度合いはWH-1000XM2のほうが高く、Surface Headphones 2のノイズキャンセリングを最大にした状態でも、WH-1000XM2でノイズキャンセリングをオフにした状態とそれほど変わらない水準だった。周囲の環境によっても違いは出ると思うが、耳をおおうイヤーカップの大きさがWH-1000XM2のほうが小さく、素の遮音性(密閉感)にも違いが出ているようだ。

 ただ、そのぶん閉塞感や圧迫感も出てしまうので、オフィスなど比較的静かな環境で長時間集中して作業する際にはメリットがあるかもしれない。また、オフィスでは人から話しかけられたり、周囲の気配を感じ取ったりする必要があるので、あまりに強すぎるノイズキャンセルは適さない場合も多い。

特徴的な外音取り込み機能

 外音取り込みについては、増幅された音(Ambient sound amplified)にすると、車が通過するときの風切音だけでなく、ゴゴゴ……という低周波の音もかなり強く聞こえるようになる。ヘッドホンを外した状態よりも周囲の音がかなり強調され、音楽を切っていると違和感があるが、逆に音楽を再生中のときは周囲の状況(危険)が分かりやすいのがメリットなのだろう。ちなみに、WH-1000XM2では、高域や雨音のような微かな音も細かく拾う反面、補聴器のようにハイゲインにしたマイクで集音している感じが強い。

 次に、通話時のマイク性能について。上と同じ場所で自分の声を録音した。声自体の聞こえやすさに加え、環境ノイズの影響をどのぐらい低減できるかを中心に試した。音質的にはレンジ感が狭く、少し鼻の詰まった感じの声となり、雨音などの周囲の音が悪影響を及ぼしているのか、歪みも目立った。一方、静かな室内であれば、WH-1000XM2との大きな音質差は感じず、むしろ聞き取りやすい印象もあったので、マイク側のノイズキャンセル性能(もしくはその処理の仕方)に差があると思われる。

特徴的な外音取り込み機能

 最後に再生音質だ。まずトーンバランス的には、低域の量感を盛っていて、特に重低音の帯域が強く出ているのが分かる。ボーカルやそれよりも上の帯域も全体にクリアで、抜けも悪くない。ただし、ハッキリと輪郭が立ったWH-1000XM2のサウンドと比べると、柔らかさや暖かさを感じさせるものになっている。高域特性の差だろう。

 シンプルな伴奏の女性ボーカルなどを聴く分にはよい。ただし、低音は高音をマスクする性質があるので、曲によってはボーカルやその付近の楽器の音がやや聞こえにくくなったり、低域が歪んでいるように感じるケースがあった。

 最近の洋楽、特にポップス系ではかなり低い音まで入れて曲に迫力や深みを与えていることが多く、そういう曲にはマッチすると思う。一方で、J-POPやアニソンなどで低域が強くなりすぎてバランスに違和感が出るケースもあった。また、クラシックのオーケストラ曲などを聴くと、弦などの響きがだいぶ丸まったウォームな鳴りになっているのが分かる。低域が厚く出るので、迫力感やスケール感はあるが、人によってはやや抜けが悪いと感じるかもしれない。

 とはいえ、このあたりはよく聴く曲のジャンル、そして、どんな傾向の音が好きかによっても印象が変わる部分だろう。分離感やS/N感など、純粋な出音の質だけで判断した場合は十分高水準なものと言え、音楽中心に使うヘッドホンとしての満足度も高いし、映画などを迫力よく楽しみたい人にも適してる。

Surface Audioには簡易的だが5バンドのイコライザーが付いている。

 以上、機能や音楽再生能力などについていろいろと見てきた。冒頭で述べたように、3万円台のノイズキャンセリングは高級機として各社が注力した製品が多く、競争も激しい。そんな中、Surface Headphones 2はPC用のノイズキャンセリングヘッドホンとしての「使い勝手の良さ」を持ち、第2世代となって作りや音質面での完成度が高まっていることも実感できた。ノイズキャンセリングなども、騒音が常に高い場所ではなく、オフィス利用などを想定していると考えれば適度で、圧迫感なく長時間使える。

 ダイヤル式でノイズキャンセルの効き具合を調整しているしぐさも、話しかけられた際に自分に注目してくれているという印象を与え、安心感につながるはずだ。激戦区の中でも魅力を持った製品と言える。

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