第48回
青春とRPGを組み合わせたゲームシステム、シナリオ、自由度の高さが魅力
PC版「ペルソナ 4 ザ・ゴールデン」で青春ドラマとJRPGの醍醐味を味わってみませんか?
2020年06月20日 13時00分更新
あの青春RPGの名作が、PC版として復活を遂げた。そのタイトルの名は、アトラスが手がけた「ペルソナ 4」。2008年にPlayStation 2向けに発売された「ペルソナ」シリーズの第4弾で、青春とRPGを組み合わせたゲームシステム、自由度の高さ、怪異と青春を組み合わせたシナリオなどが特徴となっている。そのほか、豪華声優陣とアニメーション、個性豊かなキャラクターも魅力的なポイントだ。
6月14日にSteamで配信された本作は、PlayStation Vita版としてリリースされた「ペルソナ 4 ザ・ゴールデン」を移植したもの。新規イベントをはじめ、アニメーション、キャラクター、スキルなどを追加した完全版である。
PC版ではフルHD(1920×1080ドット)で青春ドラマをパソコンで体験できるようになったほか、可変フレームレート、Steamアチーブメント、トレーティングカード機能も実装。また、デジタルサウンドトラックとデジタルアートブックを付属した「デジタルデラックス版」も同時発売されている。
本記事では、ペルソナ 4に秘められた魅力を掘り下げていきたい。
JRPGの面白さを再確認できるゲーム性
ペルソナ 4では、謎の殺人事件が相次いで発生する田舎町「八十稲羽市」を舞台に、主人公ら「自称特別捜査隊」が「ペルソナ」の力と「絆」を駆使して謎を解き明かすといったストーリーが展開される。現実世界で起きた事件と都市伝説「マヨナカテレビ」の謎を調査しながら、テレビの中の異世界を徘徊する「シャドウ」と戦うことになる。
本作は、JRPGを象徴するコマンドバトル形式を採用している。「戦う」「防御」「スキル(ペルソナごとに付与された特殊スキル。物理攻撃や属性攻撃、サポートなどを発動可能)」「逃げる」といった従来のコマンドを用いて敵と戦っていく。戦闘自体はシンプルでわかりやすく、RPGが初めての人でも馴染めるはずだ。
特筆すべき点は、敵味方どちらも「弱点」があることと、ダウンした敵に対して「総攻撃」を繰り出せることだろう。初めて遭遇した敵に対してあらゆる攻撃を与え、見事弱点にヒットするとダウン状態になる。弱点がヒットするだけでなく、クリティカルヒットでも敵をダウンさせられる。敵がダウンしたら仲間とともに総攻撃を発動すれば、敵に大ダメージを与えられる。敵の弱点を分析し、それに適した戦略プランとメンバーを構成して戦闘を演出するという面白さがある。
敵の弱点を狙って総攻撃を仕掛ければ有利に持ち込める反面、主人公を含む味方自身にも弱点がある。そのため、必ずしもパーティー側が有利とは限らない。そのうえ、敵を倒したところに援軍がやってきたり、思いもよらぬ状況で強敵に遭遇することもある。メリット・デメリットがそれぞれ用意されているため、シンプルながらも手に汗握る戦闘が楽しめるのだ。
また、戦況に応じてペルソナを切り替えることも戦略のひとつだ。最初に主人公だけ利用できるペルソナは「イザナギ」だが、戦闘の報酬として新たなペルソナをゲットできるようになる。「ベルベットルーム」で獲得したペルソナのカード同士を合成すれば、より強力なペルソナを所有でき、戦闘がかなり有利になるはずだ。
ペルソナを育成するだけでなく、新たなペルソナをコレクションするという楽しみ方もできそうだ。
いうまでもなく、本作のジャンルはRPGである。シャドウに対抗するには、プレイヤーおよび相棒となるペルソナのステータスを強化しなければならない。そのためにもレベルを上げる必要があるわけだ。敵と戦って経験値を稼ぎ、コツコツとレベルを上げていくという、JRPGならではの醍醐味が味わえる。
新旧問わず、レベル上げの作業をするだけで懐かしさを見出すほどだ。このように、JRPGの面白さを再確認できるゲーム性が本作の最大なる魅力といえるだろう。
青春を謳歌するという面白さがここに
本作のメインストーリーは、仲間とともに殺人事件の謎を調査するパートと、テレビの中の異世界を探索してシャドウと戦うパートのほかに、青春を謳歌できる日常パートも用意されている。これら3つのパートを同時並行で進めていく。
本作は自由度が高く、理想的な青春を思うがままにシミュレートできる。テレビの中の異世界を探索してもよし、日常生活を送ってもよしと、1日1日をどのように過ごすかはプレイヤー次第だ。だが、完全に自由というわけではなく、本来の目的を思い出させるかのように時間制限が設けられている。町中に霧が立ち込めると、テレビの中の異世界に迷い込んだ失踪者(キーパーソン)が死ぬ、つまりゲームオーバーとなるのだ。
いくら自由とはいえ、主要のタスクを達成しないと青春はそこで終了。タスクを早く、そして漏れなく攻略できるよう、効率的なスケジュールを組まなければならない。最初は1日をどう過ごそうか迷うが、優先すべきタスクを決めておけばスムーズにこなせるのではないかと思われる。
例として、今日はダンジョンを少し探索し、明日は勉強に集中するといった具合だ。1日1日のスケジュールを管理し、メインストーリーの進行とキャラクターの強化を同時並行で進めていく。日常生活をシミュレーションする面白さもあると感じた。
1年の間で、勉学やバイト、部活動、仲間と遊びに行くなど、多岐にわたるイベントが発生する。ときには季節限定のイベントも発生し、輝かしくもポップな青春を堪能できる。「シリアスな状況なのに青春しちゃっていいの?」と思う人もいるだろうが、実は青春を謳歌するという行為は本作における攻略の要となっているのだ。
パーティーメンバーやサブキャラクターたちと交流すると、絆を意味する「コミュニティ」(以下、コミュ)が芽生える。各キャラクターと交流することで、コミュのランク(10段階)を上げていく。ランクが1段階アップすると好感度も上昇する。
その恩恵として、指定された属性のペルソナを合体時に経験値ボーナスが得られるのだ。加えて、パーティーメンバーとの絆を深めれば、戦闘中に「敵の攻撃をかばう」「ダウンした味方を起こす」などといった行動を取ってくれる。
また、イベント時に主人公のパラメーター「勇気」「知識」「伝達力」「寛容さ」「根気」が上がることも。5つのパラメーターを上げれば上げるほど、新たなイベントの発生や会話の選択肢が増えるようになっている。
逆にいえば、特定のパラメーターを上げないとイベントの発生はおろか、好感度アップにつながる会話の選択肢を増やせないということだ。こういった自分磨きの作業は、メインストーリーを攻略する際の必須条件といってもいいだろう。
青春を謳歌すればするほど、プレイヤーを含むパーティーメンバーも強くなるうえに、絆も深まっていく。ユニークでありながらも強化要素の一部として重要な役割を果たしていると感じた。日常パート内で発生するサブイベントの種類は豊富にあるので、メインストーリーを含むとプレイボリュームはかなり多めだ。コンプリートを目指してガッツリプレイするなど、やり込み要素は十分すぎるほどに高い。
もう1人の自分と向き合う、ということ
もう1人の自分とはいったい何者なのか。善人なのか、それとも悪人なのか。その答えは当の本人しかわからない。これはゲームだけの話ではなく、人間が抱える普遍的な問題のひとつではないだろうか。
ペルソナ 4に登場するメインキャラクターたちはそれぞれ複雑な事情を抱えており、怪異の力により負の存在として姿を現す。怒り、憎しみ、嫉妬など、ネガティブな感情が露わになり、メインキャラクターの精神を激しく狂わせていく。そのとき、打ちひしがれた本人は必ずこう口にする、「こんなの自分ではない」と。もう1人の自分ともいえる負の存在を、完全に否定してしまうのだ。
結果、獰猛なシャドウと化したもう1人の自分と戦うことに。ほかのシャドウとくらべるとかなり手強く、下手をしたらパーティーが全滅しかねない。だが、真の武器は自身と向き合う勇気と、信頼できる仲間との絆。見事戦いに勝利すると、本人はもう1人の自分を受け入れる決意を固め、その恩恵としてペルソナという屈強な鎧を手にする。
私が本作を愛する1番の理由は、心の葛藤をボス戦という形でうまく表現されている点にある。ネガティブな存在であるもう1人の自分と「戦う=向き合う」コンセプトが人間ドラマ的であると考えている。
どちらかが勝てば本物の自分になり、どちらかが負ければ存在が抹消されるといった醜い争いではなく、そんな自分を認め、享受するための試練として描いている点が実に巧い。いや、巧すぎるのだ。これぞドラマだと思うほどだ。
人間の光と闇をあぶりだし、苦悩させ、最終的には純粋無垢な答えを見つける――自身の勇気と、信頼できる仲間たちの存在のおかげで。自分とその仲間たちが絆を結び、ともに次なる困難へ挑んでいく姿に感動を覚えたものだ。ペルソナ 4が提示する人間賛歌的テーマこそ、今日もなお名作として愛される理由なのかもしれない。
人生における喜怒哀楽を盛り込んだ本作のシナリオは、多くのプレイヤーにプラスの影響をもたらす。本作のプレイ経験者は懐かしさを、初見の人は人間愛の温もりを味わうことになるだろう。もちろん殺人事件の真相やコミカルなサブストーリーなども目が離せないほど面白いが、キャラクターたちがみせる奥深い人間ドラマにも注目してほしい。
自由度の高いゲーム性、戦略性豊かなバトル、そして人間賛歌をテーマにしたストーリーが魅力のペルソナ 4 ザ・ゴールデン。価格も1980円とかなりリーズナブルなので、名作をPCでプレイしたい人はぜひ購入を検討してもらいたいものだ。
ゲーム情報
・タイトル:ペルソナ 4 ザ・ゴールデン
・開発:アトラス
・販売:セガ
・ジャンル:RPG
・プラットフォーム:PC(Steam)
・販売日:2020年6月14日
・価格:1980円
| ペルソナ 4 ザ・ゴールデンの主なスペック | ||
|---|---|---|
| 要件 | 最低 | 推奨 |
| CPU | Core 2 Duo E8400/Phenom II X2 550 | Core i5-650/Phenom X4 940 |
| グラフィックス | GeForce GTS 450/Radeon HD 5770 | GeForce GTX 450/Radeon HD 6870 |
| メモリー | 2GB | 4GB |
| DirectX | Version 11 | |
| ストレージ | 14GB 利用可能 | |
| OS | Windows 8.1 | Windows 10 |
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