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マイナーチェンジした「S660 Modulo X」の完成度は進化の到達点だ!

2020年06月14日 12時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) モデル●美環(@puritendon) 車両協力●ホンダ

免許取り立て女子も「ただただ楽しいクルマですね!」

S660 Modulo Xと美環さん

 ここから先は、運転免許取得したばかりのバイク女子・美環さんにステアリングを引き継ぎたい。彼女はマイナーチェンジ後のノーマル版S660にも試乗している。その時は当初クイックな挙動に苦労しつつも、S660からドライビングの楽しさを存分に教わっていた様子。終わってみたら「これイイかもですね」と満面の笑顔で車を降りた。というのが前回までのあらすじ。

S660 Modulo Xの「赤い屋根(ルーフ)がオシャレ」という美環さん。こちら純正オプション(ロールトップ 13万2000円税込)としても販売中

 S660 Modulo Xを初めて見た美環さんは「なんか外車みたいですね」というのが第一印象。「なんかいかつい感じが、外車っぽく見えるのかな。日本車とはちょっと違うぞ感がありますね」と、車を観察します。

 そして、ガーニーフラップが取り付けられたリアの稼働式ウイングのギミックに「おぉ!」と関心しきりこちら「アクティブスポイラー」は16万5000円税込で発売中。なお、ガーニーフラップはS660 Modulo Xの専用品だ。

「動く!こいつ動くぞ!」と面白がる美環さん

ウイングは時速80km/h以上で自働的に立ち上がるほか、手動でも操作可能

S660 Modulo Xのリア。「なんかノーマルと違いますね。これはコレでカッコいいかも」と美環さん

 赤が多い内装を見るや「私、この内装とても好きなの」と第一声。ノーマルのS660はモノトーンに対し、「ところどころに赤い革のワンポイントがオシャレ。派手な外観はあまり好きではないですけれど、内装は派手でもいいかな。ときめきますね」と好感を抱いた様子。

S660 Modulo Xの室内。赤く染めた本革がアクセントとなっている

S660 Modulo Xのシートで大人っぽい表情をする美環さん(永遠の18歳)

 シートの高さ調整ができない点はノーマルのS660と同様だ。小柄な美環さんの場合、クッションがないときちんと前は見づらい様子なので、急遽クッションを購入した次第し試乗に挑んだ。

S660 Modulo Xのシートに座る美環さん。クッションでちょっとかさ上げ

取材の道中で見かけた「ドン・〇ホーテ」で購入した低反発クッション。これで高さ問題は解決した

運転免許取得し1年以内の場合、ボディーに初心者マーク(若葉マーク)を付けることが義務付けられている。よって試乗時にはマグネット式をペタリ

 「乗り味が全然違いますね! こっちの方がイイ」とその違いを見抜いた美環さん。「ノーマルと比べてしっかりしているけれど、角が丸いというかな。段差を乗り越えた時、最初の衝撃がノーマルよりマイルドで、その後の振動の戻りというのかな、収束がとても早いんですね。なんというのかなぁ、ゴツゴツした硬さはないんですよ。ノーマルが悪いのかとそうではなくて、こっちがすごくいいんです」と饒舌に語ります。

S660 Modulo Xのステアリングを握る美環さん

 「高速道路での安定性も違いますね。クルマがピターっとして安定していますし、高速道路のつなぎ目をコツッコツっと乗り越えていくんですよ。そこがノーマルとの大きな違いかな。こっちの方が乗り心地がよくて快適だし、運転もしやすい気がします」と大満足。

S660 Modulo Xでワインディングを走る美環さん

 そんな美環さんの心をつかんだのがブレーキのフィーリング。「ノーマルはちょっと踏んだだけでガツンと効くのですが、こっちはコントローラブルというのかな。効きの具合が私にピッタリで、スーッと止まってくれる。あと好き嫌いはわかれると思うけれど、ブレーキをかけた時にシャーっていう音がするんですね。その音がすごく好き」

S660 Modulo Xに装着するホイールMR-R01、スポーツブレーキパッド、ディスクローター ドリルドタイプを指さす美環さん。これらは既にModuloブランドから発売されているが、ブラックスパッタリング仕上げのホイールは新たに設定された色だ

ダウンヒルするS660 Modulo X

 乗り味のよさから心に余裕が出たのか、パドルシフトを駆使しながら奥多摩周遊道路を走る美環さん。「パドルシフトって楽しいですね。すっごく面白い」と、エンジンブレーキを巧みにかけながら、ダウンヒルを楽しむ美環さん。S660 Modulo Xとの出会いは、彼女にS660の楽しさだけでなく、クルマを操ることの喜びや奥深さを与えたようだ。

【まとめ】マイナーチェンジ版S660 Modulo Xは
「アガリの1台」かもしれない

S660 Modulo Xと美環さん

 「値段を考えなければ、絶対にS660 Modulo Xを選ぶと思います。ですが70万円の差は大きいですよね……。ノーマルを選んだとしても、乗っていくうちにここはこうしたいな、というカスタム欲は絶対に出てくると思うんです。結果サスとか色々変えていくんだろうけれど、結局Modulo Xと同じ方向に行きつくと思うんですよね(笑)」というのが彼女の感想。これには筆者も同じ考えで、S660 Modulo XはS660チューンの終着駅なのかもしれない。

リアにさり気なく光るModulo Xのエンブレム

 「ただただ楽しいクルマですね。運転という行為を楽しむだけなら、S660は大きさもちょうどいいし好きっス」と、S660の魅力に取りつかれた美環さん。残念ながら花粉症ゆえにルーフを開けてのオープンドライブは楽しめなかったものの「ホントにこの室内いいですね。オシャレで上品。隣に女の子を乗せてS660でドライブに行きたいです」と夢を膨らませていた。

ルームミラー越しに見る運転中の美環さんの笑顔

「S660 Modulo X、気に入っちゃいました」という美環さん

 冒頭で「S660は今年で満5年を迎えた」と書いたが、それは初期型オーナーの中に、これから残価設定ローン(残クレ)の満期を迎える方がいるということでもある。そのような「車両返却時期」を迎える方にとってマイナーチェンジ版のS660 Modulo Xは、「知らない方が幸せ」と言えるほどの完成度。オーナーたちに「乗り続けるか、アップグレードするか」という難題をつきつけるものだ。現金一括で購入した筆者は、乗り換える余力がなく歯がゆい思いをしつつも、もし残クレで購入していたら「今まで楽しんできた愛車とこれからも歩み続けるか、新たな出会いを楽しむか」で相当悩むことだろう。

 デザインの深化をテーマにしたというS660のマイナーチェンジ。それはいまだ色褪せることのない孤高のコンパクトカーが更なる高みへといざなうものだった。S660は日本のどんな場所でもスポーツドライビングが楽しめる、我が国にピッタリのスポーツカーだ。その中でModulo Xは最高であり最良の存在であることに間違いはなく、そしてベテランとか初心者といったことを気にせず誰でもが楽しめる。S660 Modulo Xは、クルマとしての奥深さ、懐の深さを感じる「アガリの1台」といえそうだ。

S660はマイナーチェンジを受けて、その輝きを増した

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