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EXTRA BASS対応の「WF-XB700」登場、ソニーの完全ワイヤレスイヤホンを読み解く

2020年06月12日 14時00分更新

音の傾向もそれぞれ、しっかりした低域はソニーらしさ

 ほかの機種との違いはどうだろうか。

WF-1000XM3

 まず、低音については、WF-1000XM3もよく出るのだが、ただしWF-XB700と比べると芯が合って、エッジも明瞭。直接音をしっかりと伝える、正確な再生という印象だ。逆に、WF-XB700の低域は、量感がある、より脳にガツンとくるもので、サラウンドモードのスイッチを入れたときのような、音が鳴っている空間を意識するサウンドと言える。中高域の明瞭さは大きく変わらないが、この迫力は刺激的で、癖になるものだ。

WF-XB700のブラックモデル。2つの楕円(フェイス部と耳に挿入する部分)を組み合わせたようなデザインだ。

 直径12mmの振動板は、完全ワイヤレスイヤホンとしてはかなり大きい。かつ耳穴を大きめのふたでピッタリ閉める密閉感の高さも、いい方向に生かされているのだろう。本体形状も楕円形のパーツを2つ組み合わせたような独特なもので、外に見えるフェイス部と、“エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー”によって耳にがっちり食い込む部分からなっている。

WF-SP800N

 スポーツタイプのWF-SP800Nも、EXTRA BASSサウンドを標榜しているイヤホンだ。ただし、低音の鳴りについては、WF-XB700と比べると、ちょっと控えめだ。ドライバー口径の違いがあることに加えて、アークサポーターによる装着感(密閉感)の差が関係しているのだろう。低域の迫力感は十分にあるが、音の傾向としてはWF-XB700よりは、WF-1000XM3寄りとなる印象だ。ただし、高域が伸びて、解像感や切れの良さを感じるWF-1000XM3のサウンドよりは明瞭感が少しだけ落ちる。トーンバランスも、WF-1000XM3と比べて低域寄りになっていて、ウォームな印象を与える。

WF-H800

 最後にWF-H800は、ほかの機種と比べて、中高域の表現を重視した鳴りで、低音は控えめだ。かつ高域も刺激的にならないようにまとめており、全体に優しい雰囲気のサウンドになっている。作業中のBGMに使うなど、音楽が主でない用途でも、疲れず長時間聴くことができる。また、DSEE HXの利用も可能。AACなどのロッシー音源をハイレゾ級(96kHz/24bit)に引き上げる機能だが、オンにすると高域が立って、解像感が上がったように感じる。

 また、音質からは離れるが、ケースやイヤホン本体が4機種中もっともコンパクト。色も5種類と豊富に取り揃え、ザラザラした質感、マットな質感と手触りも色ごとに変えるという念の入れようだ。音質傾向とデザインから、ライフスタイル提案に寄った製品であるのがうかがえる。

 なお、試聴時にはiPhone 8で音量を50%にした状態で、WF-1000XM3で再生した音を基準に各モデルの音量を合わせた。ポップスなど音圧が高い曲を再生するには若干大きめの音となる。音量を下げると一般的に、低域の聞こえが相対的に小さくなるが、ソニーのイヤホンは各モデルとも低域の再生がしっかりしているので、小音量で聴いても、ビート感を損なわず、ロックやポップスを聴くことができる。

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