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オーディオテクニカ初のNC対応完全ワイヤレス

「高音質」と細部まで配慮した「できの良さ」~ATH-ANC300TWレビュー

2020年06月08日 13時00分更新

サウンドは美しい中高域とパンチの利いた低域が特徴

 音の印象は、中高域が落ち着いて美しく低域にパンチのあって、オーディオテクニカらしい。それに加えて、DLC振動板による効果か、音の鮮明感が高く、音の広がりがいい。完全ワイヤレスの中でも音質は高いほうだろう。

 高域のきつさはほぼ感じられない。低価格のイヤホンだと音が鈍く聞こえることがある楽器の音も鮮明で、一段と引き締まっている印象を受けた。例えばピアノの音が美しく響き、ギターのピッキングの歯切れが気持ちいい印象だ。低音域はパンチがあるが派手すぎずによく引き締まっている。

 ボーカルは明瞭感が高く、曲の歌詞もよく聞こえる。特に女声ボーカルの再現性が高く、声がかすれていくような細かいニュアンスもよく伝わってくる。伴奏の立体感もよく、ライブステージの音場感も自然で広いと感じた。

 良録音のジャズなどを聞いてもいい音だが、ポップスやアニソンなどのきつめの録音でもオーディオテクニカらしい、優しい中高域によって美しく音楽を楽しめる。アニソンが好きで長時間聞く人にも向いているだろう。

 総じて音質はたいへんいいと感じた。この辺が本機の差別ポイントともなりうると思う。 ボリューム位置が少し高めで、音量がやや取りにくかった点は多少気になったが、ロックやポップでは十分爆音で聴けるので問題はないだろう。試聴は主にシリコンイヤピースを使用したが、Complyフォームイヤピースを使用するともう少し低音を強いバランスに音を調整できるので好みに応じて使うといいだろう。

ノイズキャンセルは、密閉型の遮音性とは別の効果を感じる

 ノイズキャンセリングのテストはこのご時世なので電車ではなく、室内で行いPCファンのノイズなどなるべく環境音の騒がしい場所で行った。

 本機はカナルタイプなので、もともと十分な遮音性はあるが、ノイズキャンセリングをオンにするといままで気になったゴーゴーという周囲のノイズがすっと取れていき、気持ちよく音楽に集中出来た。他機種と比べても遜色ないくらいの高いノイズキャンセリング性能があると思う。電車の中ではさらに効果的だろう。ヒアスルーがなくても音声はわりと残って聞こえるので、電車のアナウンスをうっかり聞き逃すことも少ないと思う。つまりノイズキャンセリングの動的な遮音性は、カナルタイプ固有の静的な遮音性とは別のものである。

 さらに、独自アプリ「A-T Connect」で次の3つのモードを選択して使い分けることができる。

  1. Airplane:航空機内のエンジン音などのノイズに特化したモード
  2. On the go:外出時の車の騒音や話し声、物音など幅広いノイズに効果があるモード
  3. Office/Study:オフィス内や図書館など、静かな環境で気になるノイズに対応するモード

ノイズキャンセリングは3つのモードが用意されている。

ヒアスルーは3段階が選べる。NCとは排他利用だ。

 環境の違いに合わせて各自いろいろ試してみるといいだろう。切り替えの際にわずかなタイムラグがあるが実用上は問題ないと思う。物理ボタンで起動できるクイックヒアスルーも効果的だ。ヒアスルーも効き具合は3段階が選べるが十分効果的だと思う。

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