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近日国内発売予定と噂の12スレッドCPU、Ryzen 5 1600AFの実力はほぼ2600と同等の性能!

2020年05月02日 11時00分更新

クリエイティブ系アプリでのパフォーマンスは?

 6C12TのRyzen 5は写真編集や動画編集を始めるユーザーにとって安くてそこそこ並列度が高く、動画エンコードでも無駄になるコアが少ないという点で非常にバランスの良いCPUだ。そこでここでは「Lightroom Classic」と「Handbrake」におけるパフォーマンスもチェックしてみよう。

 まずLightroom Classicだが、100枚のDNG形式のRAW画像(24メガピクセル)を最高画質のJPEGに書き出す時間を比較する。書き出し時にシャープネス(スクリーン用、適用量“標準”)を付与しているためCPU負荷が非常に高い。

「Lightroom Classic」DNG→JPEG書き出し時間

 同じ6C12TであってもRyzen 5 3600は頭一つ抜けた性能を発揮している。6C6TのRyzen 5 3500が次点なのでコア数もさることながらZen2の処理効率の高さが効いている。Ryzen 5 3500と2600/1600AFのL3キャッシュはいずれも16MBであるため、第3世代Ryzenの速さはZen2の処理効率の高さにあると考えてよい。

 肝心のRyzen 5 1600AFはというと、2600と1600の中間に着地。実に順当な結果といえるだろう。

 最後に動画エンコードツール「Handbrake」の処理速度を見てみよう。再生時間約5分の4K動画(H.264)を「Super HQ 1080p30 Surround」設定でフルHDのMPEG4にエンコードする。

「Handbrake」による4K MP4→フルHD MP4(ともにH.264)変換時間

 6C6TのRyzen 5 3500が最も遅いのは当然の帰結として、その後にZen世代のRyzen 5 1600、Zen+の1600AF/2600と来て、最速は3600となった。Ryzen 5 1600〜2600までの結果は、これまで見てきたベンチ結果を裏付けるものだ。

消費電力やクロックの推移

 大まかな性能の傾向が分かったところで、消費電力を見てみよう。ラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を利用し、アイドル時(システム起動10分後の安定値)および高負荷時(Handbrakeによるエンコード中の安定値)をそれぞれ計測した。

システム全体の消費電力

 プロセスルールが14nmと粗いZen世代のRyzen 5 1600が最も消費電力が高かったが、12nm世代のRyzen 5 1600AFもピーク時の消費電力では大差ない。ただアイドル時の消費電力は大きく下がっており、プロセスルール微細化や設計の洗練度の進歩を感じさせる。

 今回準備したCPUの規模だと、Handbrakeでエンコード処理をすると全コアフル稼働状態になるが、その際CPUの実効クロックや電力消費はどの程度違う/同じなのだろうか?

「HWiNFO」を利用し全コアの平均実効クロック(Average Effective Clock)やダイ温度(Tctl/Tdie)、電力関係のパラメーター(PPTおよびTDC)の推移を追跡してみよう。ここではRyzen 5 1600AFを中心にその前後のCPU、即ち1600と2600の挙動と対比させてみたい。

エンコード処理時の平均実効クロック(Average Effective Clock)の推移

 Ryzen 5 1600AFはおおよそ3.5GHz前後なのに対し、旧世代の1600では3.4GHz前後、同じZen+の2600は3.7GHz前後で安定する。同じZen+でも2600とは約300MHzのクロック差が効いているから2600の方が速くなる。逆にZen世代の1600とはクロックは100MHzしか違わないがプロセスルールの差で勝つといったところか。

エンコード処理時のTctl/Tdieの推移

 CPUダイ温度に関しては、14nmプロセスのRyzen 5 1600が最も低い値を示し、続いてZen+の2600、最も高い値を示したのは1600AFだった。今回CPUクーラーはENERMAX 「ETS-N31」で統一しているので冷却条件は同一だ。

エンコード処理時のPPT(Package Power Tracking)の推移

 CPU全体のパワーリミットを示すPPTはクロックやダイ温度とは逆の傾向を示した。即ち一番遅かったRyzen 5 1600が最も高く(約82W)、続いて1600AF(約76W)、一番高速な2600が最も低いPPT(約66W)を示した。

エンコード処理時のTDC(Thermal Design Current)の推移

 CPUが使用する電力のピークを示すTDCでも、一番遅いRyzen 5 1600が約53Wと高い値を示したが、Zen+世代の1600AFと2600はどちらも47W前後を示した。ほんのわずかだが1600AFの方が高い感じもするが、ほぼ誤差といってよいだろう。

まとめ:性能は極めて良好

 以上でRyzen 5 1600AFのレビューは終了だ。価格が武器の製品なのに価格情報が、不明のままであるため断定的な事は言いづらいが、北米における85ドルという価格(今では値が上がっているが)に少し中間マージンを載せた国内価格だとすれば、Ryzen 5 3500よりやや下に位置すると筆者は想像している。

 Core i3-9100FとCore i5-9400F(Ryzen 5 3500の仮想敵)の中間に着地すれば、完全にインテルのエントリー帯CPUは性能で手玉にとれる。本当に担当編集が小耳に挟んだ1万円を切りそう、という価格で登場すれば、ビデオカードが必須ではあるが、低予算で論理12コアのパワーが使えるのは大きな魅力だ。

 しかし、Ryzen 5 1600というモデルに新旧という一見して分からない情報を追加した点には苦言を呈したい。安いし性能的にあまり違わないし問題ないでしょ……というAMDの声が聞こえてきそうだが、OPNの末尾を確認しなければ分からない程度の違いでここまで性能が違うCPUを存在させていいものなのだろうか。

 ちゃんとOPNを表示して販売してくれる店舗なら問題ないが、そうした知識に乏しい量販店系や中古販売店での販売は大丈夫なのかが、やや心配だ。

【おまけ】Ryzen 5 2600を装着したあとに1600AFを装着して動かすと、Windows上からは1600AFは2600として認識され、性能もほぼ2600相当になる。ただしBIOSをOptimized DefaultにすればRyzen 5 1600として表記される

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