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愛知県・大阪府・横浜市 3自治体合同Demoday イベントレポート<後編>

スタートアップ企業たちが挑む物流や医療現場の課題解決ソリューション

2020年05月22日 06時00分更新

いま注目を集めるヘルステックへの技術活用

 ヘルステック分野は、愛知県のメンタルコンパス株式会社、横浜市のPossi 開発チームCROSS SYNCアットドウス株式会社の4社が登壇した。

心の柔軟性を鍛えて、仕事の生産性を上げるメンタルケアアプリ
愛知県/メンタルコンパス株式会社

 メンタルコンパス株式会社は、心の柔軟性を鍛えてストレスをコントロールすることで仕事の生産性を上げるトレーニングアプリを開発。個人向けの「メンタルコンパス」はLINEで精神科医のメンタルトレーニングが受けられるサービス。通院や予約が不要で、ちょっと気分が落ち込んだときなどに気軽に相談できる。

 企業向けの「エレファントコンパス」は、仕事の効率アップに特化したトレーニングプランを提供。あいおいニッセイ同和損害保険との提携による日本初の労災保険付帯しているのも安心だ。サービス利用料は1人あたり月額400円から。

歯磨きしている間だけ音楽が聴こえる子供向け仕上げ磨き専用歯ブラシ「Possi」(ポッシ)横浜市/Possi 開発チーム(京セラ株式会社)

 「Possi」は、京セラ、ライオン、ソニーの共同開発で生まれた、音楽が聴こえる子どもの仕上げ磨き用歯ブラシだ。歯ブラシのヘッド部分に京セラの小型圧電セラミック素子が埋め込まれており、歯ブラシの振動による骨伝導で歯を磨いている間だけ音楽が聞こえる仕組み。流す音楽はスマホと接続して好きな曲が選べる。

 2019年7月にソニーが運営するクラウドファンディングサイト「First Flight」でクラウドファンディングを実施し2ヵ月で目標金額2000万円を達成。

 すでに約1300台を支援者にお届け済み。実際にPossiを使っていただいた支援者からの意見やイベント・モニター施策などでの反応などを参考に、今後、一般販売について検討する。

Possi 開発チーム(京セラ株式会社)稲垣智裕氏

医療現場での情報共有を効率する医療支援AIモバイルアプリ
横浜市/CROSS SYNC

 横浜市立大発スタートアップのCROSS SYNCは、医療現場の情報連携・情報共有不足の解決へ向けた医療支援AI&労務効率化モバイルアプリケーションプラットフォームを開発。現在の医療現場は今も紙ベースの情報管理が主流で、情報共有の不足が医療ミスの原因にもなっている。

 同社のプラットフォームには、AIとIoTによる患者の重症化予測、申し送りの自動作成、ベッドマップによる病床の有効利用などのシステムが盛り込まれており、医療従事者間の情報共有と効率化の促進が期待できる。国内医療での普及に向け、2020年には11施設の導入を目指しており、横浜市内の医療現場で試験導入を検討中だ。

株式会社CROSS SYNC代表 高木俊介氏

点滴したまま自由に動けるモバイル投薬・点滴デバイス「atDose」
横浜市/アットドウス株式会社

 アットドウスは、狙った場所に狙ったタイミングで正確に超微量の投薬ができるモバイル投薬・点滴デバイス「atDose」を開発した。投薬方法の約8割は口から飲む経口投与が用いられているが、飲んだ薬剤は代謝により血中濃度が減少するため、定期的に飲み続ける必要がある。また、肝臓に負担がかかり、副作用が大きい。点滴は血中濃度を適切に長時間維持できるという点で効果的な投薬方法だが、従来の点滴はベッドに長時間拘束されてしまうため不便だ。

 「atDose」は、極細の注射針と超微少液量で連続送液が可能なポンプを組み合わせることで点滴装置の小型軽量化を実現。高濃度の薬剤をポンプと一体にして持ち運ぶことを目指している。

 デバイスの長さ5センチ、重さは0.5gと小さく、患者の腕に貼り付けたまま移動ができる。今後、共同研究者と共に実証実験を開始する予定だ。

アットドウス株式会社 代表取締役 中村 秀剛氏


 前編では本イベントに登壇した企業のうち、人材/教育分野、AI/IoT分野、食/化学/農業分野、ソリューション/サービス分野のスタートアップピッチをレポートしている。本稿とあわせてチェックしてほしい。

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