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ウチダエスコのキッティングセンターに潜入

在宅ワークでニーズが再認識されているPCのキッティング、そのノウハウを聞く

2020年04月23日 09時00分更新

Windows 7 EOSを通じて限界を感じる

 2019年度は、Windows 7のサポート終了に伴う特需もあり、夜間も稼働させる形で、月間1万台のキッティング作業を行ってきたが、従来の施設では、それ以上の拡大には限界があり、新たな物件を探していたという。

 そうした動きが進められるなかで、政府はGIGAスクール構想により、全国の小学校、中学校、高校、特別支援学校において、児童生徒1人1台のPCを整備することを発表。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大によって、在宅勤務が一気に広がり、リモートワークに最適化したPCの導入を行う企業が増加。早くも、ESCO 船橋-BaySiteを稼働させた効果が生まれようとしている。

 江口社長は、「いくつかの物件をあたった結果、この物件に巡り合えた。これはとてもラッキーなことであり、このタイミングで本稼働できたことも大きな意味があった」とする。

 300台の在宅勤務用のPCをキッティングしてほしいという案件もあったというが、ESCO 船橋-BaySiteの本稼働によって、そうした突然の一括導入案件にも対応できたという。

 現在、ESCO 船橋-BaySiteでは、新型コロナウイルスへの感染対策として、一部社員は時差出勤とし、1作業レーンあたり作業人数も3人以下に限定。稼働率は通常時に比べ50%~60%となっている。販社が顧客訪問などの営業活動を自粛しているため、キッティング作業は減少したり、延期傾向にあるが、そうしたなかでも、テレワーク環境の整備に関する引き合いが発生。追加依頼や仕様変更などの需要は増えているという。

キッティングについての独自のノウハウを披露

 ウチダエスコは、1972年に設立した内田洋行グループの1社で、全国33ヵ所の営業所およびフィールドサービスステーションを持ち、約600人の社員数を誇る。2019年7月期の売上高は136億円。様々なメーカーの製品を取り扱い、保守する「トータル保守サービス」、LANの構築や導入後のサポートも提供し、最適なネットワーク環境を提供する「ネットワーク総合サービス」、多岐に渡る業種をカバーし、企画、設計から運用、保守に至るまでトータルで提供する「ソリューションサービス」、オフィス空間の設計から内装工事、オフィス機器の販売などを行う「オフィスシステムサービス」の4つの事業の柱としている。

 また、ウチダエスコの100%子会社であるアークは、ESCO 船橋-BaySiteの運営を行っており、キッティングだけでなく、保守サービスでの長年の実績を持っているのが特徴だ。

 アークは、1991年11月に、アップルのPowerBookシリーズの専門メンテナンス会社と創業。1998年にはアップルの全製品に対象を拡大。これまでに、主要PCメーカーや周辺機器メーカーにも、保守サービスの展開している。

 社名のアークは、「アップルリペアセンター(ARC)」を語源としている。現在は親会社のウチダエスコがApple正規サービスプロバイダとして修理事業を継続しているが、その他のメーカーの製品の修理業務を行うなど、メーカーから高い信頼を得ていることがわかるだろう。

 ESCO 船橋-BaySiteでも、これまでのノウハウを生かして、キッティングを行える体制を構築した。

 キッティングは、4段の棚によって構成される「作業レーン」で作業が行われ、ノートPCの場合には、中央の2段に作業を行うPCを配置。その上下の棚には、梱包箱や同梱する付属品などを用意する。1レーンあたり24台のノートPCを置くことができ、1つの作業レーンで、2~3人で作業を行うことになる。

 作業レーンは、40レーンまで設置。旧船橋キッティングセンターでは、12レーンだったことに比べると、3倍以上の作業レーンを用意している。

 「昼間の稼働だけで、従来のキッティングセンターの2倍となる月間2万台の処理能力を持つが、もし夜間も稼働させれば、最大で月4万台の処理も可能になる」と、アークの藤岡伸吉社長は語る。

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