新型コロナウイルス感染症の流行を受け、世界的に外出規制や自粛の動きが広がっている。人々の行動が変わることが、ネットワークにどのような影響を与えているのか? Nokiaが、3月に入ってからのネットワークトラフィックのレポートを出している(https://www.nokia.com/blog/early-effects-covid-19-lockdowns-service-provider-networks-networks-soldier/)。
最初に中国・武漢で感染確認が報告された新型コロナウイルス。その後、2月末からはイタリアでもじわじわと感染が拡大し、スペイン、フランス、そして英国などと欧州に広がった。イタリアでは3月11日に封鎖を全国レベルに拡大し、その後スペインやフランスなども3月中旬より外出制限などを設けている。3月末からは米国でも主要都市が都市封鎖に踏み切っている。
最初は大幅なトラフィック増加が問題となるも
管理可能な範囲の増加に留まる
人々の生活の変化はネットワークにも影響を与えている。Nokiaのデータ分析・インテリジェンス部門であるNokia Deerfieldは、西欧の一部のネットワークについて、外出禁止の初日、そして外出禁止が出た最初の週末のトラフィックのボリュームとパターン分析を行った。対象としたのは、メッセージサービスのWhatsAppと動画ストリーミングのNetflixだ。
WhatsAppの場合、外出禁止が出た初日の午前9時にピークとなり、200%以上トラフィックが増加した。また、外出禁止が出て最初の週末では、日曜午後9時に500%近く増加したことがわかった。
Netflixについては、外出禁止の初日は時間帯によりばらつきがあるものの約15~95%増加、最初の週末になると金曜午後11時に55%、土曜日の午後11時には75%、日曜の午後9時に54%の増加とピークが訪れているという。
概して、外出禁止の直後はトラフィックが急増するが、その後は案外にも落ち着くようだ。Nokiaが3月8、15、22日の3週末のデータトラフィック(世界ベース)を分析したところ、3月15日(土)と16日(日)のトラフィックを前の週末(3月8日と9日)と比較するとボリュームは42%増加したが、その次の週末となる3月22日(土)と23日(日)は増加率が33%となり「管理できる」成長レベルに安定したという。
平日のトラフィックでは、ビデオ会議アプリケーションが、週末は動画ストリーミングサービスが多くを占める。ビデオ会議アプリは米国の増加が顕著で、米国の一部のネットワークでは「Zoom」が2月1日と比較して700%以上増加したという。動画ストリーミングについては、3月23~29日の平均ビットレート(ABR)がスペインとフランスで20%以上減少はしたが、米国では変更なかった。
なお、3月24日に英国、アイルランド、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストリア、スイスでローンチした「Disney+」については、ABRの減少はみられず、他の動画ストリーミングサービスよりも高い品質で配信されているとNokiaは予想している。Disney+は6社のCDNを利用しており、CDN側が調整すればトラフィックが変わる可能性があるという。
オンライン会議やコラボレーションツールの利用が増加していることをうかがわせるものとして、上りネットワークのトラフィック増というトレンドにも触れている。米国の一部のネットワークでは、コロナ流行前と比較して上りのトラフィックが平均して30%増加、欧州の一部では、1人あたりの上りトラフィック(ピーク)は1.7Mbps、これは3月始めの1.1Mbpsから増加しているという。
Nokiaは合わせて、DDoS攻撃の増加も報告している。2月8日から4月6日までの間、DDoS攻撃のトラフィックは40%以上増加しているとのこと。Nokiaでは、ゲームが関連したDDoS攻撃が急増していると指摘している。
Nokia DeepfieldのCTO、Craig Lavovitz氏は、「ピークトラフィックは、すべての地域で継続して増加傾向にあるが、増加率は鈍化しつつある。ネットワークはこの増加を管理できているようだ」とコメントしている。
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