週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ASUS、Lian Li、Thermaltake、SilverStone、EASYDIY製品をチェック

ライザーケーブルでグラボの性能は落ちるのか?現行7製品で検証

2020年04月15日 11時00分更新

PCI Express Gen4対応は?

 さて、最後にPCI Express Gen4対応について検証してみた。現時点で手軽に入手可能なライザーケーブルはすべてPCI Express Gen4には未対応だ。PCI Express Gen4はGen3の2倍の帯域まで対応するがゆえに、マザーボード上での実装において配線に気を遣う。これを外に出して延長しようというのだから設計のハードルはさらに高くなる。

 ここまでの検証環境ではCPUとマザーボードがGen4対応だが、ビデオカードがGen3どまりだった。そこで、ここからはビデオカードをGen4対応のRadeon RX 5700リファレンスカードに変更し、伝送クオリティーがどうなるのかをチェックしてみた。

 結論から言うと、現時点でのライザーケーブルをGen4環境に組み込む場合は、ケーブルによって挙動がまちまちだった。例えば、ASUSのROG STRIX RISER CABLEの場合はGen4環境だとBIOSがPOSTすらしない。これはメーカーが「非対応」と公式に宣言しており、BIOSでPCI ExpressのモードをGen3にすれば問題なく起動する。

 かと思えば、Gen4でスッと立ち上がる製品もあるし、Gen1でしかリンクしない製品、さらにGen1でリンクした後にGen3にリンクし直す製品もあった。今回集めたライザーケーブルの動作状況は以下の通りとなる。

PCI Express Gen4環境での動作状況
ROG STRIX RISER CABLE Gen4ではPOSTせず。BIOSでGen3にすることで起動可能に。
LANCOOL ONE-1X 最初はGen1でリンクしたものの、Gen3に切り替わる。
TT Premium PCI Express Extender Cable Gen4でリンク。
RC03 Gen1でリンク。
RC04 Gen4でリンク。
PCIE-FD R6 200MM-90degree Gen3でリンク。
PCI Express Extender Cable -30cm 90 degree Gen3でリンク。

ROG STRIX RISER CABLEの公式ページ(グローバル)には、PCI Express Gen4対応マザーボードではBIOSでGen3にしてから導入せよとの記述がある。国内向けのページにはないが、代理店であるアユートには同様の記載があった

「3DMark」PCI Express feature testの結果。ROG STRIX RISER CABLEの結果はマザーボードのBIOSでGen3モードで起動させた時のもの

上のグラフを直結時の値を100%とした場合の帯域比

 今回試したカードの内、Gen4で何ごともなく立ち上がったのはThermaltakeのTT Premium PCI Express Extender CableとSilverStoneのRC04の2モデルのみ。同じSilverStoneでも短いRC03はGen1でリンクしたため、短いからGen4でリンクしたのではなく、ケーブルの設計の差異がリンクの差になったと考えられる。

 実際RC04は全部ガッチリとしたきしめん状のリボンケーブルになっているのに対し、RC03は電源やJTAG用の信号線が集められているブロック(PCI Expressスロットの仕切りよりもバックプレート側にある端子)のケーブルが細めになっているので、そこが決め手になっている可能性が高い。

 同様に、最初はGen1でしかリンクしなかったがあとから突然Gen3でリンクしたLian LiのLANCOOL ONE-1Xも、ケーブルの一部が細めに作られているタイプだ。ただし、全部太めのきしめん状ケーブルを採用していたEASYDIYの300mmモデルも太めの被覆がない200mmモデルもGen3でリンクしていたので、「太ければ良い」というものではないようだ。

RC03(左)とRC04(右)をよく比べてみると、RC03は一部のケーブルに被覆が省略された細いもので作られていることがわかる

まとめ:いまどきのライザーケーブルは性能低下の心配がほぼない

 以上で検証は終了だ。筆者が昔ライザーケーブルの検証を行なった際は、直結に比べて酷く性能が落ちていた記憶がある。しかし、今のモデルは実際のゲームにおいて、直結時と比べてもほとんどフレームレートに影響しないものが大半を占めていることがわかった。

 安いものは安いなりといった感じだが、より短いものを選択すれば性能の劣化が抑えられるはず。ついケーブルは余裕をもって長めのものを購入しがちだが、ビデオカードのような高速デバイスを接続するなら、なるべく余りが出ないものを選択したい。

 ライザーケーブルだけあってもPCケース側がビデオカードの垂直設置に対応していなければ使いにくいという現実はあるが、ビデオカードの「顔」たるファン及びそのフレームを魅せるレイアウトに挑戦したければ、積極的にライザーケーブルを導入しても損はない、という時代になったようだ。

※お詫びと訂正:記事初出時、タイトルや本文内にて6製品で比較すると記載しておりましたが7製品の誤りでした。記事を訂正してお詫びします。(2020年5月14日)

■Amazon.co.jpで購入
■Amazon.co.jpで購入
■Amazon.co.jpで購入
■Amazon.co.jpで購入
■Amazon.co.jpで購入
■Amazon.co.jpで購入
■Amazon.co.jpで購入
■Amazon.co.jpで購入
この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事