第291回
ASUS、Lian Li、Thermaltake、SilverStone、EASYDIY製品をチェック
ライザーケーブルでグラボの性能は落ちるのか?現行7製品で検証
ビデオカードはマザーボードのPCI Express×16スロットに直結するのがセオリーだ。しかし、一般的なデスクトップPCにおいてはマザーボードに対してカードが直立するため、ビデオカードの「顔」とも言うべきファンやそのフレームが下を向いてしまう。最近の中身を見せるタイプのPCケースに凝ったデザインのビデオカードを組み合わせて、「なんで一番カッコいい部分が見えないのだ……?」と悶絶した経験のある人は少なくないだろう。
この問題の解決方法として有効なのが「ビデオカードの垂直設置」。文字通り、ビデオカードのファンの部分を見せるように設置するやり方だ。一部のPCケースには垂直配置が可能なもの、あるいは別売オプションでそれを可能にするものもあるが、その際必須になるのがマザーボードとビデオカードを連結する「PCI Expressライザーケーブル」(以下、ライザーケーブル)だ。
このライザーケーブルは数年前までは極めて選択肢の少ないニッチなパーツだったが、最近は色々なメーカーが参入している。ただし、高速&広帯域のPCI Expressを延長するだけに、ライザーケーブルの質は極めて重要になる。低品質なライザーケーブルだとノイズなどの影響を受け、マザーボードにビデオカードを直結した時と比べて性能が低下する恐れがある。
そこで今回、5メーカー7製品のライザーケーブルを集め、実際に性能に差が出るのかを検証してみることにした。
ライザーケーブル選びのポイントは?
しかしながら、ライザーケーブルはまだまだニッチなパーツのため、試行錯誤が必要な部分もある。今回の検証でわかった「落とし穴になりそうなポイント」を簡単にまとめてみた。順番に見ていこう。
1)垂直に設置したビデオカードをどう固定するか
ライザーケーブルはマザーボード上のPCI Expressスロットとビデオカードを連結するためのパーツだ。ゆえに、垂直設置するビデオカードを固定する機構はPCケース頼みになる。具体的に言えば、ビデオカードのブラケットやライザーケーブルのコネクター基板を固定するギミックだ。
別売でビデオカードの垂直設置用オプションパーツが提供されているPCケースもあるが、ない場合はビデオカードを自立させる仕掛けを用意しよう。ケースの底面がフラット、それでいてスペースが確保できるなら、長尾製作所の「NB-VGA-DP01」のようなビデオカードのディスプレイ台を置いてしまうという手もある。ただし、どんなライザーケーブルでも使えるわけではない点に注意しよう。
2)PCI Expressコネクターはストレートタイプか90度回転タイプ
ライザーケーブルとビデオカードを接続するPCI Expressコネクターの付き方も重要なポイントだ。ケーブルに対してストレートにスロットが付いているタイプと、90度回転しているタイプの2種類ある。ストレートタイプの場合はビデオカードの下側にコネクターとそれを支える基板、ケーブルの接続部が一直線になるため、ビデオカードの下側に空間的な余裕がないと使えない。
ライザーケーブルの設計にもよるが、ビデオカードの脱落を防ぐタブの上側から計測して最低35mm、可能なら40mm以上の空間が確保できない場合はストレートタイプの運用は厳しいだろう。
3)ライザーケーブルの長さ
ライザーケーブルは短いもので200mm程度、長いものだと1000mmのものまである。ビデオカード設置予定スペースとマザーボードのPCI Expressスロットの距離を事前に計測してから購入しよう。Mod PCでマザーボードの裏側にビデオカードを回すような環境だと必然長いものが必要になるが、信号の伝送クオリティーは下がる恐れがあるので、なるべく必要十分な長さのものを買うようにしたい。
4)ケースのサイドパネルで窒息しないか
ビデオカードをPCケース内に垂直設置しても、サイドパネルとビデオカードのフロント(ファン設置面)の距離が近すぎると、ファンが空気をうまく吸い込めなくなってGPU冷却力が低下してしまうこともある。どの程度空間を空けなければいけないかはカードの設計にもよるが、少なくとも10mm以上は確保しておきたい。特に肉厚のクーラーを備えたハイエンドGPU搭載ビデオカードを垂直設置したい場合は、サイドパネルとの距離に注意したいものだ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります