検証環境は?
では今回の検証環境を紹介しよう。Threadripper 3990Xに比肩できるインテル製プラットフォームは高価すぎて入手できなかったため、今回はシンプルにThreadripper 3970Xと対決させる。プロセッサーグループの縛りがあるため、Threadripper 3990Xの方がベースクロックが低い分遅い状況が生まれることは容易に想像がつく。
また、前回はメモリーは32GB、ストレージは1基のみで検証したが、今回はメモリー64GB&ストレージはPCI Express Gen4対応のSSD3基(OS用、素材用、結果書き込み用)という布陣で実施した。グラフィック(TITAN RTX)も“Studioドライバー”を使用している。
【検証環境】 | |
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CPU | AMD「Threadripper 3990X」 (64コア/128スレッド、2.9~4.2GHz) AMD「Threadripper 3970X」 (ES版、32コア/64スレッド、3.7~4.5GHz) |
マザーボード | ASRock「TRX40 Taichi」 (BIOS P1.30) |
ビデオカード | NVIDIA「TITAN RTX」 |
メモリー | G.Skill F4-3200C16D-32GTZRX×2 (DDR4-3200、16GB×4) |
ストレージ | GIGABYTE「GP-ASM2NE6200TTTD」×3 (NVMe M.2 SSD、2TB) |
電源ユニット | Super Flower「Leadex Platinum 2000W」 (2000W、80Plus Platinum) |
CPUクーラー | CRYORIG「A80」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
OS | Windows10 Pro 64bit版(November 2019 Update) |
CG系ベンチでは圧倒的に強い
ではいつもの「CINEBENCH R20」で計算力を見てみよう。CINEBENCHはプロセッサーグループの縛りを受けない設計になっているため、問題なく論理128コアすべてを使ってくれた。
コア数が2倍だからスコアーも2倍……とはいかなかった。国内価格でざっくりと計算すると、Threadripper 3970X(実売約25万円)に対し、Threadripper 3990Xは価格が約2倍、しかしマルチスレッド性能のスコアーは1.43倍となるので、スコアーは伸びたものの費用対効果としてはパッとしない印象はある。しかし、1ソケットで完結し、定格運用でこれだけのスコアーがポンと出せるのは驚きと言える。
続いては「blender」のベンチマーク速度も見てみよう。「barbershop_interior_cpu」を1フレームレンダリングする時間を計測した。
blenderも特別な設定をしなくても全コアをフルに使えている。Threadripper 3990Xを使えばレンダリング時間が1フレームにつき約1分短縮できた。当然アニメーション作品ともなれば、その差はどんどん広がる。まさに時間をお金で買いたい人のためのCPUであるといえる。
ではここで消費電力もチェックしておきたい。電力計はラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を使用し、システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、前掲のblenderテスト実行時における最高値を“高負荷時”として計測した。
HEDT向けハイエンドマザーにSSDやらメモリーも多めに載せているのでアイドル時の消費電力はかなり高い。だが高負荷時の消費電力はThreadripper 3990Xと3970Xに差といえるほどの差は観測できなかった。
TDP280Wの枠にキッチリとはまるように電力やクロックを調整する設計の働きが見事に発揮されている。ビデオカード1枚&定格運用するならば、1KW級の電源ユニットを無理に用意しなくても良い、ということになる。
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