2020年1月30日に開催された「2020 LINE WORKS DAY」の後半は、「スモールチームの経営者から学ぶ『ツナガル働き方』」と題したユーザーセッション。LINE WORKSのユーザーである3社が社内だけでなく、取引先や顧客とつながることで生まれた新しい価値や働き方について語った。
取引先や顧客とつながる新しい働き方とLINE WORKS
3社の経営者をゲストに迎えたカスタマーボイスセッションをリードしたのは、ワークスモバイルジャパンの執行役員の萩原雅裕氏。「LINE WORKSとしてスタートした2016年当時、われわれが描いていたのは社内とつながるだけではなく、取引先やお客様をチームとしてつながる新しい働き方でした」と語る。
そこから3年が経ち、LINE WORKSを使って社内だけではなく、社外の人たちとつながる事例が増えてきたという。「今では転職希望者とキャリアカウンセラー、大学職員と学生、税理士と経理の方など、さまざまなつながりがでできた。取引先とLINE WORKSとつながる会社も現れた」と萩原氏は語る。
好評を博したLINE WORKSのアドレスをQRコードで印刷した名刺を配布するキャンペーンも「社外の人にもLINE WORKSを使ってほしい」というユーザーの声から生まれたものだったという。今回のセッションもこうした取引先を巻き込んだチームの働き方をヒアリングしようという内容だった。
ノートをカテゴリ分けしてクライアントを共有する青森のデザイン会社
トップバッターは、青森で広告物の制作を行なうディーシーティーデザインの蝦名晶子氏だ。チラシ・フライヤーなどの紙媒体、Webデザインなどのデジタル媒体の広告制作物を手がけており、メンバー3人とも全員リモートワークで働いている。「私は青森ですが、スタッフは南部のおいらせ町にいます。車でも1時間半くらい離れているので、みんな自宅でお仕事しています」(蝦名氏)。
同社は社内のメンバーだけではなく、取引先とも積極的にLINE WORKSでつながっているという。「ずっとメールやグループウェアを使っていたが、メールは振り返りが面倒だった。ちょうどLINE WORKSと出会って、使ってみることにした」と蝦名氏は振り返る。
こうした取引先の1つがプロバスケットボールチームの「青森ワッツ」だ。たとえば、共有フォルダを用いて、広告制作に必要な原稿や素材を共有したり、カレンダーで試合の日程やリリース日、お互いの不在予定を共有している。
特にノート機能はヘビーに使っている。これはクライアントごとに共有する掲示板として利用しており、制作物やジャンルごとにカテゴリを分割している。校正や納品などのコメントも流れがちなトークではなく、あくまでノート内でやりとりしている。萩原氏がヒアリングしてきた青森ワッツの広報も、「必要なノートだけ見ればいいので便利」という評価しているという。
蝦名氏は、LINE WORKSの既読確認機能やメンションなどを活用することで、コミュニケーションがとりやすくなったと絶賛。LINE WORKSのメリットについて「全員読んでいることが把握できる」「ミスコミュニケーションが減らせる」「大事なお客さんの状況が全部わかる」などを挙げた。制作で重要なやりとりが時系列に残り、別のスタッフやクライアントからもやりとりを簡単に振り替れるところも大きなメリットだという。
LINE WORKSで女性従業員を見守るパソコン教室運営会社
続いて登壇したのはPRiDE 代表取締役会長の白石崇氏。今年12年目のPRiDEはパソコン教室「グルーニー」を栃木・茨城・群馬・福島の7拠点で運営するほか、コンサルティング、PCの修理、光回線や電力販売、格安SIM販売まで幅広く事業を展開している。約40名の従業員のほとんどは現地採用で、9割は女性だという。
PRiDEはチラシの制作会社とLINE WORKSでつながっている。同じメンバーでも制作・校正用グループ、請求書グループなど異なるグループを作成し、作業の履歴を追いやすくしている。また、チラシの校正も画面キャプチャに手描きで済ませることができるという。白石氏は、「不在や外出が多いのですが、スマホだけで仕事が進められるのが大きなメリット。パソコンスクールですが、スマホで仕事しています(笑)」と語る。
また、社労士とのやりとりもLINE WORKSで行なっている。2020年4月にはいわゆる働き方改革法が中小企業にも適用されるが、多くの会社は勤怠・労務管理に苦労している。その点、PRiDEは入社・退社の手続きや給与明細の再発行依頼、雇用保険手続きの依頼などもすべてトーク経由で行なっている。「これからは従業員の負担をどれだけ減らせるかが課題。現在はExcelのシートを共有していましたが、(前半の講演で聴いた)スタンプで打刻する仕組みはこの数ヶ月で絶対に導入したい」と白石氏は語る。
LINE WORKSの導入で実現したのは、社内外のやりとりで経営者がボトルネックにならない働き方。そして、LINEとLINE WORKSを使いわけることで、大半を占める女性従業員を守ることができることも大きいという。白石氏は、「従業員のやりとりを見守ることができ、LINEとつながってお客様とトラブルになることも防げる。社員からは仕事とプライベートをきちんと分けられる会社ですねと言われます」とコメント。その上で、「これから企業は、こういうツールを入れていかないと、従業員に愛想をつかされる」と指摘した。
LINE WORKS導入で売り上げが2倍になった基板メーカー
最後の登壇はなんと結婚式の日に会社が倒産するという経験を持つケイ・ピー・ディ代表の加藤木一明氏。2004年に立ち上げられたケイ・ピー・ディは、回路設計やプリント基板の設計、製造、電子部品実装、組み立てまでを手がけるメーカー。クラウドファウンディングにより、基板を用いたアート作品を作ったことで、大手メーカーともつながりができたという。東京理科大内にオフィスはあるが、5名の従業員は全員リモートワークだ。
基板メーカーの業務は、まず回路設計からスタートし、実際の半導体やチップのサイズにのっとった基盤設計を次に行なう。ケイ・ピー・ディは、部品の実装と組み立てまで行なっており、大手メーカーの試作を手がけることも多い。「同じものはあまり作らないので、毎回新しいチャレンジ。部品メーカーや取引先とのやりとりも増えています」と加藤木氏は語る。業務の中心にいる基板の設計者がやりとりに忙殺されることなく、自らの仕事に専念できる環境を構築するのが鍵だった。
そこで、ケイ・ピー・ディは部品メーカーや委託先工場、取引先などとLINE WORKSでつなぐことにした。「今まではやりとりがすべてメールだったため、業務の拡がりに限界を感じていた。今はお客様とのやりとりのみメールで行ない、社内や仕入れ先とはLINE WORKSのトークに一本化した」と加藤木氏は語る。
導入効果に関しては、ずばり業績アップにつながったという。加藤木氏は、「導入前後で調べると案件数は2倍になり、受注率アップし、売り上げも倍になりました」とアピールした。メールベースの煩雑なやりとりが減り、基盤の設計に集中できるようになったことで、製造手配まで可能になった。これにより、今までより多くの案件を獲得できるようになったのがそのからくりだ。
スピードアップも業績アップの大きな要因だ。たとえば、解析装置グループ内での図面の確認も、CADのキャプチャに直接ペンで修正を入れ、LINE WORKS上で精度を高める。「サービスに特化できるようになったので、レスポンスも早くなる。レスポンスが早いと、問い合わせのあいみつ依頼が具体的な相談に変わる。見積もりと一緒に、設計図まで送れるようになった」と加藤木氏はうれしそうに語る。
LINE WORKSにより、社外とつながることで、仕事が楽しくなったという。「お客様の開発室として、いっしょに開発している感覚になっている。仕事が日々楽しくなっている」と加藤木氏は語る。LINE WORKS DAYSの最後を締めたこの事例は、まさにイベントのテーマとなっていた「ツナガル、ツタワル、タノシイ」を体現したものだった。
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