3月に登場以来、自作erの間で話題となったAMDの新CPU『Ryzen』。最大8コア/16スレッドながら競合のインテル製CPUに比べて低価格ということで、ここ数年インテルの独壇場だったPC向けCPU市場に食い込んできた。これに対抗して、インテルも最大18コアのハイエンドCPU『Core X』シリーズを投入する予定だが、CPU市場がにぎわっているのはイチ消費者として嬉しい限りだ。
かくいう筆者も自作PCを使っていて、すでに4世代ぐらい前のスペックなので、そろそろ新規に組みたいなぁと思っていたところ。そんなときにRyzenが発売され、パフォーマンス比較や自作記事などを読むにつれ、Ryzenマシンを組んでみたいという気分が高まっていた。ただし、マザーボードやメモリーまわりのトラブル報告も散見されるので(当初よりは改善されたようだが)、久々の自作PC復帰となると不安もある。
そんなとき、最近乃木坂46のCMで話題のマウスコンピューターから、ゲーミングブランド『G-Tune』の デスクトップPC『NM-R7K11SGP6-ZBM』が手元に届いた。自作で組むのと価格的にも遜色なく、しかも動作保証されているので安心だし、組む手間もなく即使えるのは大きなメリットだろう。さっそく使ってみた。
↑マウスコンピューターの『NM-R7K11SGP6-ZBM』。価格は15万9800円。本体のほか、キーボード・マウスが同梱。ディスプレーは別売り。 |
まずは本体スペックだ。CPUは8コア/16スレッドの『Ryzen 7 1700X』 (3.4GHz、最大3.8GHz)を搭載。メモリー容量は16GB(DDR4-2400、8GB×2)で、ストレージはシステムドライブが120GBのSSD(SATA 3.0)、データドライブが1TBのHDD(7200rpm)となる。グラフィックボードはNVIDIAの『GeForce GTX 1060』(ビデオメモリー3GB)を採用。映像出力はDisplayPort×3、HDMI、DVI-Dを備えている。マザーボードはAMD B350チップセット搭載のMicro ATXだ。
↑グラフィックボードはMSI製のGeForce GTX 1060。CPUクーラーはAMDのRyzen純正クーラー『Wraith MAX』だ。 |
PCケースはミドルタワーで、上部にDVDスーパーマルチドライブを備える。その下に17メディア対応のマルチカードリーダーと、USB 2.0×2、USB 3.0、ヘッドホン端子などを配置。USB 2.0端子の1つにはUSB接続のワイヤレスアダプター(IEEE 802.11b/g/n、最大150Mbps+Bluetooth 4.0)が装着されており、オンボードの有線LAN端子と合わせて、ネットワーク接続は有線でも無線でも大丈夫という安心仕様だ。11acに対応していないのがいささか残念だが、筆者的にはネットワークは安定性のある有線接続を利用し、ワイヤレスアダプターはワイヤレスヘッドホンなどのBluetooth接続用として活用したい。
↑フロントのUSB 2.0端子ににはワイヤレスアダプター。Wi-FiとBluetooth機能が使える。 |
↑背面にはUSB 3.1のポートが2つある。コネクターはType-CではなくType-Aで薄い緑色の部分。 |
PCケースを開けるにはドライバーが必要だ。PC内部のケースファンは吸気と排気合わせて大小4つで、フロント及び左サイドはメッシュ状のパネルで覆われている。マザーボード上にはM.2スロットを備えているが、標準では使われておらず、SSDとHDD、光学ドライブはSATA 6Gbpsで接続されていた。フロントには5インチベイが3つあるが、光学ドライブとHDDで2つ埋まっており、残りは1つ。背面にあるUSBポートは3.1×2に3.0×4。3.1は10Gbps対応なので、今後登場するであろう高速なデバイスに対応できるだろう。
↑フロントのメッシュカバーは取り外し可能。下段部分はファンの裏側に5インチドライブベイがある。 |
↑光学ドライブとSSD。 |
↑HDDは専用取り付け器具を付ければドライバーレスで着脱できる。 |
CPUクーラー『Wraith MAX』にはLEDが仕込まれているため、左サイドのメッシュカバーからほどよく光が漏れる。付属のキーボートとマウスはオリジナルのゲーミングモデルで、キーボードはブルーのLEDを内蔵。照明を落とした部屋ならLEDライトが引き立つだろう。
フロントの電源ボタンからPCを起動すると、初回はWindows 10 Homeのセットアップがスタート。言語関係の設定、ネットワークの設定を実施し、マイクロソフトアカウントにサインイン(スキップも可)したあと、セキュリティーソフトのマカフィーの登録(こちらもスキップ可)を経て使えるようになる。マカフィーを利用しない場合は、標準以外のアプリがないため、デスクトップが実にスッキリしていて気持ちいい。ごたごたといろいろなソフトが付いていない方が筆者は好きだ。
↑起動直後はWindows 10のセットアップからスタート。 |
↑最初のネットワーク設定は有線でも無線でもOK。 |
ディスプレー付きではないので、今使っている4Kディスプレーに接続してベンチマークテストを実施してみた。まず、CPU性能が試される『CINEBENCH R15』は、OpenGLテストが93.09fps、CPUのマルチスレッドテストは1483cbという結果に。インテルのメインストリーム最上位CPUであるCore i7-7700Kでも、オーバークロックなしのCPUマルチスコアーは1000cbを下回る値なだけに、スレッドの多いRyzenの優秀さがわかる。ちなみに筆者が普段使っているマシンは第4世代のCore i5-4460(3.2GHz)なので、あまりの速度の違いにため息が出た。
OpenGL | 93.09fps |
CPUマルチスレッド | 1483cb |
続いては直近でリリースされた『PCMark 10 v1.0』。PCMark 8の後継で、さまざまなアプリ作業をシミュレートしたときの性能がわかる。結果は4575スコアーと上々の成績。ちなみに、筆者が今使っている自作PC(※スペックは後述)で試したところ、スコアーは2861で、写真やビデオの編集作業のテストとなるDigital Content Creationのスコアーが1827とほかに比べて著しく低くかった。本製品だとDigital Content Creationのスコアーは6294と段違いなので、この結果だけでも速攻で買い替えたくなった。
Total | 4575 |
Essentials | 7361 |
Productivity | 5609 |
Digital Content Creation | 6294 |
※現在の筆者の自作PCはCPU:Core i5-4460(3.2GHz)、グラフィック:Radeon HD 6450(1GB)、メモリー:16GB。
ゲーム系の3Dグラフィックス性能が確認できる『3DMark』は、『Time Spy』と『Fire Strike』を実行。Time Spyはスコアーが4108で、フレームレートは各テストで20台前半から半ばと30fpsを切る結果に。Fire Strikeのスコアーは10706で、CPUもGPUも使うCombinedが弱いものの、フレームレートは50fps前後を記録した。グラボがGeForce GTX 1060なので、平均的なグラフィックスのゲームはもちろん、最新の重い3Dゲームもプレイは可能だろう。
Total | 4108 |
Graphics | 3806 |
CPU | 7480 |
Graphics Test 1 | 25.01fps |
Graphics Test 2 | 21.66fps |
CPU Test | 25.13fps |
Total | 10706 |
Graphics | 12103 |
Physics | 18084 |
Combined | 4321 |
Graphics Test 1 | 56.74fps |
Graphics Test 2 | 49.06fps |
Physics Test | 57.41fps |
Combined Test | 20.1fps |
ゲーミングPCということで、『ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク』も実行してみた。設定は解像度がフルHD(1920×1080ドット)、画質は最高設定、フルスクリーン表示としている。結果はスコアーが10860、フレームレートは平均74.395fpsで『非常に快適』判定に。ゲームにもいろいろあるが、最新の大型タイトルでもかなり高画質で楽しめると言える。
スコアー | 10860 |
フレームレート | 74.395fps |
もう1つ、SSDとHHDのアクセス速度を『CrystalDiskMark 5.2.1 x64』で計測してみた。結果は以下のとおりで、OSやアプリ起動でリード重視のSSD、データ格納用のHDDときっちりそれぞれの役割をこなせる速度だった。
↑CドライブのSSDの計測結果。SATA SSDとしては平均的な読み込み速度だ。書き込み速度は正直もう少しほしいところ。 |
↑HDDの計測結果。HDDのシーケンシャルリード/ライトが200MB/s超えは速い方。 |
1点使っていて問題が発生したのが、ワイヤレスアダプターの動作だ。出荷時にはフロントパネルにあるUSB 2.0端子に差してあるが、その横にあるUSB 3.0端子にUSBメモリーを差したところ、ワイヤレスアダプターが動作しなくなってしまった。原因はわからないが、背面にあるUSB 3.0端子にワイヤレスアダプターを差し、USBメモリーをフロントパネルのUSB 3.0へ差したところ、問題なく利用できた。
↑また、なにげに気になったのがHDDドライブが『Iドライブ』に割り当てられていること。設定で変えられるけど……。 |
価格は15万9800円。Ryzen 7 1700Xが43000円前後、GTX 1060 3GBが3万2000円前後で、それだけで7万5000円……メモリーが1万6000円ぐらいで……って1つ1つ搭載部品を考えていくと、たとえ自作で作ってもこのぐらいの値段にはなってしまう。それでいて、1年間の保証と24時間365日のサポート体制という安心感は、自作PCにはない強みと言えるだろう。
普段使っている『Photoshop』や『Lightroom』なども入れてみて、RAW現像やレタッチ作業をしてみたが、サクサクと使えて作業効率は断然今の環境よりもいい。ゲームはもちろん、クリエイティブ系ソフトとの相性もいいので、仕事からプライベートまで活用できそうだ。4年は使うことを考えてハイエンドマシンを選ぶと言うのもいいだろう。筆者も自作じゃなくて、このRyzen搭載マシンを考えちゃいマウ~ス♪
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マウスコンピューター
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159,800円
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