毎年3月にアメリカ・テキサス州オースティンで開催される、音楽、映像、インタラクティブの祭典“SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)”。Twitterなどのウェブサービスが流行るきっかけになるなど、IT系スタートアップの登竜門のひとつにもなっている。近年はウェブサービスだけではく、IoTのガジェットも登場しており、SXSWをきっかけに世界最大のクラウドファンディング“キックスターターター”で成功するなど、世界各地のスタートアップが挑戦する一大イベントだ。
近年、日本からも多数のスタートアップ企業が参加している。2015年にはDMM.make AKIBAが多数のハードウェアスタートアップを引き連れて、大きなブースを展開。東京大学も産学連携本部が主催する“Todai To Texas(TTT)”のプロジェクトから、学生ベンチャーや産学連携のプロジェクトを展示した。
過去には小型衛星ベンチャー『アクセルスペース』や紙に電子回路を印刷できる『AgIC』、動きに連動してスマートフォンから音が鳴る子供のためのウェアラブルトイ『Moff』など、現在活躍を見せているベンチャーがSXSWに参加している。また、手のひらDJツール『GO-DJ』もSXSWで夢をつかんだスタートアップだ。(関連記事)
そんなSXSWに挑戦する学生ベンチャーのサービスや産学連携プロダクトを決めるため、プレゼンで競うピッチイベント“Todai To Texas Demo Day”が2015年10月25日に東京大学本郷キャンパス情報学環の福武ホールで行なわれた。
プレゼンはアメリカでの本番を想定して、5分間を英語でプレゼンを行なった後、5分間の質疑応答をやり取りする。当日は、優勝2チームのほかもう1チームの計3チームがSXSWに向かう権利を得た。 見事にテキサス行きの切符をつかんだのは『RINNE』、『SMILE STROLLER』、『E-SKIN』の3社だ。さまざまなインタラクティブプロダクトが並ぶ“Trade Show”での出展スペース、2名分の渡航費、宿泊費、入場パス、出展スペースなどが援助されることとなった。
空間にあるモノをネットにつなげる
最初に勝ち抜いた『RINNE』はさまざまなモノをスマートフォンのセンサーをとおして、インターネットにつなぎ、アプリやサービスと連携させるオープンソース志向のIoTプラットフォームだ。ウェブサービスどうしをつなげる『IFTTT(イフト)』のイメージに近いが、サービスとつながるのはモノであり空間だ。デモで例としてあげられていたのは、料理が終わったときにテーブルをノックすると、『LINE』と連携し、別の部屋にいる人のスマホに料理ができたことを伝えるといった、リアルとの連携が可能になる。
あかちゃんが笑うと記録するベビーカー
ベビーカーに新しい体験を追加してくれるのが『SMILE STROLLER』だ。ベビーカーの上部にあかちゃんに向けて、カメラを設置する。ベビーカーを押して散歩中にあかちゃんが笑った瞬間をカメラが認識して、撮影してくれるというもの。スマホアプリに送られて、地図上にマッピングされるほか、カレンダー形式でも見ることができる。
まさにウェアラブルなコントローラーデバイス
最後に選ばれた『E-SKIN』は“ウェア”ラブルのセンサーデバイス。腕時計型やメガネ型ではなく、まさに着てしまうウェアにモーションセンサーを内蔵。デモではゲームのコントローラーとして使用、ディスプレーの中のユニティちゃんとシンクロする動きを見せる。ウェアラブルでありウォッシャブルなので、洗濯できるとのこと。
全身を使ったパフォーマンスは、まさに祭典のSXSWでも盛り上がりそうなプロダクトだ。“SXSW 2016”は2016年3月に開催される。次回も日本からのサービスが旋風を巻き起こしてほしい。
■関連サイト
SXSW 2016
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