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「日本音楽」のさらなる飛躍のために 『J-MELO』が教えてくれたヒント

音楽・アニメ・漫画……日本コンテンツを「いかにして世界に売り出すか?」

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(C) ANIME FESTIVAL ASIA THAILAND 2015

音楽・アニメ・漫画……日本コンテンツに通底する課題
「いかにして世界に売り出すか?」を考える

 取材・執筆を担当したムック『『J-MELO』が教えてくれた世界でウケる「日本音楽」』が10月2日に発売した(監修 日本国際放送の原田悦志チーフプロデューサー)。

 これはNHKワールドを通じて世界156の国と地域で放送される音楽番組『J-MELO』の10周年記念本で、番組に縁の深いアーティストのロングインタビュー、小室哲哉とつんく♂のプロデューサー対談、世界中の番組視聴者に対して行なった日本音楽に関するアンケート結果(J-MEROリサーチ)など、世界で聴かれる日本音楽とその担い手の貴重な本音が読める一冊となっている。

 日頃アニメや電子書籍を主戦場としている人間が音楽の分野に首を突っ込むのは珍しいと思われるかもしれないが――実際、慣れない業界のあれやこれやに苦戦したのも確かだが――筆者としては、またとない絶好の機会となった。

 というのも、このムックに通底した“いかにして日本音楽を世界に売り出すか?”というテーマは、海外に販路を求めざるを得ない日本アニメなどでも繰り返されるものだからだ。

 これまでの連載でも「海外展開」はテーマの1つであったが、引き続き、新たな一手を試行する方々にお話を伺っていきたいと考えている。

 そこで今回は筆者の問題意識を端的に示した、本書のまとめにあたる第6章に手を加えたものを掲載したい。(文中敬称略)

「日本音楽」のさらなる飛躍のために
――『J-MELO』が教えてくれたヒント

 「世界でウケる日本音楽」。本当だろうか。……というのが、本書の企画を原田チーフプロデューサーから打ち明けられた時の第一印象だった。たしかに、テレビでは「日本音楽」、主にアニソンを歌う歌手の海外でのライブと、そこで熱狂する観客が映し出される機会も増えたが、一方でそれはあくまで限定的なものではないか、という醒めた意識もどこかにあったからだ。

 しかし、実際に海外に足を運び、アーティストやプロデューサーにインタビューを重ねていくうちに、「この熱狂は本物だ」という確信を持つと同時に、「しかし、この熱狂に隠された“構造”を明らかにしなければ、いわゆる“クール・ジャパン”ブームに終わってしまうのでは」という危機感も覚えるようになった。本書のまとめとして、キーパーソンへの取材と「J-MELOリサーチ」で明らかになった世界の視聴者の声、原田氏とのディスカッションで見えてきた構造を整理して締めくくりとしたい。

 音楽に限らず何らかのモノが生み出され、それが消費者の手元に届き、その対価が生産者にもたらされるまでには、いくつかのステップを経なければならない。音楽という“商品(プロダクト)”が魅力的であることはもちろんだが、それが“市場”に流通し伝播していく仕組みも必要だ。そして、最終的にその対価が担い手に還元されることが、次なるクリエイティブを生みだしていくためには欠かせない。

 ここでは、そんなステップの現状と未来を意識しつつ、本書を振り返りながら「日本音楽」がなぜ、今、世界で受け入れられているのか、それはどうすればこれからもっと市場を拡げていくことができるのかを考える。そこでは本書でたびたび言及されてきたように、『J-MELO』がこれからも大きな役割を果たすはずだ。

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