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アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー

2015年10月04日 09時30分更新

文● 中山智  編集●KONOSU

 世界最高峰のヨットレース『アメリカズカップ』。日本からはソフトバンク・チーム・ジャパンが参戦しており、前哨戦となっている『アメリカズカップ・ワールドシリーズ』にも出場しています。

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
アメリカズカップに賛成している、ソフトバンク・チーム・ジャパン。白戸家のお父さんのイラストがカッコイイ!!

 ソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督を務めるのは、クルー(乗組員)として何度もアメリカズカップにチャレンジしている早福和彦氏。その早福氏に、ソフトバンク・チーム・ジャパンの現状と今後の活動についてインタビューしてきました!

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
ソフトバンク・チーム・ジャパン総監督の早福和彦氏。

――今年度のアメリカズカップ・ワールドシリーズ第2戦(全3戦)を終えて、率直な感想をお聞かせください。

早福 第2戦まで戦ってみて、2つ強烈に感じているポイントがあります。まずはポーツマス(イギリス)で初めてレースをして、さらにあまりたくさん時間を費やしてない状態で2戦目のヨーテボリ(スウェーデン)となりました。ですがヨーテボリでの第4レースでは2位という非常に良い形で進歩しているのがお見せできました。

 特にチームワークが機能してきています。レース中でもスムーズに艇の上で作業が行なわれているなと実感しています。チームとして積み重ねてきたものが成果として出てきています。ヨーテボリの第4レースで2位という結果は、私たちの実力の証明ができたとポジティブに見ていて、ここまで成長したことはうれしく思います。

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
第2戦のヨーテボリでは、トップチームとの競り合いも数多く見られた。

早福 ただし2点目としては、周りをみるとまだ遅れをとっている部分もあります。ほかのチームは1年以上も前に参戦を表明してところもありますので、やはり1年間練習してきたチームと1週間練習したチームでは全然違います。この差を詰めていくために、これからトレーニングを続けて行きたいと思います。

――トップチームとの差はどのあたりでしょうか?

早福 すべての面で差はあると思います。セーリング技術、艇の扱い方、艇のチューニングそういったことから、チームのオーガナイズまでロジスティックでスムーズに行なえるかどうか。そのあたりをほかのチームから学んで強化していきたいと思います。

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
船の上ではそれぞれの役割がきまっており、素早く正確にこなすことが重要なポイント。

――早福監督が今回のアメリカズカップにチャレンジした経緯を教えてください。

早福 そもそも私がヨットを始めたきっかけがアメリカズカップです。1987年に日本から初めてアメリカズカップにチャレンジを表明したのがベンガルベイチャレンジというチームです。このチームが新聞に出したクルー募集の広告をみて、実はそれまで一切ヨットの経験はなかったのですが、思い切って応募したわけです。

 動機としては、ただただ外国に憧れて外国に行きたいという思いが強く、ヨットをやったらそれがかなうのではという単純なものでした。その後このチームは解散したのですが、同じくアメリカズカップへの挑戦を表明したニッポンチャレンジというチームに移籍して、1995年と2000年の大会にチャレンジすることができました。

 最初こそ外国への憧れでしたが、それ以上にアメリカズカップの魅力に取り憑かれて、プロフェッショナルセーラーになりたいという気持ちが強くなり、実際に自分もカップを取りたいと思うようになってきました。しかし残念ながら日本からの参戦は2000年で一度終わってしまいましたし、私自身は他国のチームのクルーとして引き続き参加していましたが、2007年以降はチャンスがありませんでした。

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
今回のアメリカズカップも早福監督自身がクルーとして艇に乗り込んでいる。

早福 その後も、なんとかアメリカズカップに携わりたいと思い続けているときに、日本から再びアメリカズカップに参戦するので、チームの立ち上げを手伝って欲しいというお話が来ました。個人的にヨットの活動を続けてきたことで、そういうお話をいただけたわけですが、まさしく夢のような話で参加を決めたわけです。

――アメリカズカップの魅力や見どころを教えてください。

早福 今はスマホアプリやYouTubeでアメリカズカップの動画が見られますので、スピード感と迫力を感じてもらえると楽しめると思います。今回のアメリカズカップで使用している艇は水中翼を装備していて、スピードが乗ってくると船体を持ち上げて、空中を滑空しているかのような走りをするので迫力があります。

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
速度が上がると艇体が空中に浮きさらにスピードアップ!

早福 また従来のヨットレースよりも順位の入れ替わりが激しく、デッドヒートも多いです。海上の風は一定ではないので、良い風を拾っただけでグンとスピードが上がったり、逆にひとつのミスで大きく順位が変わることもあります。以前のヨット中継は撮影技術やIT技術も未熟でしたので、レース展開というのがわかりにくいですが、今はヘリコプターや専用の高速艇から撮影、さらに艇にGPSなどを搭載して、どのようなコースをとっているかがテレビ中継やスマホアプリからリアルタイムで分かるようになっています。

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
公式アプリではアプリ内課金を利用すれば、リアルタイムでのレース中継も観られる。
アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
スマホアプリで中継をみれば、レース艇の動きが俯瞰的にみられてわかりやすい。

早福 ヨットのレースというと、沖のほうでなにかやっているなというレベルで、なかなか一般の人に観てもらえなかったのですが、技術の進歩で誰でも手軽に観られるレースになってきていますね。また、レースの時間も短くなって比較的に飽きないうちにレースが終わるので、ヨット競技に詳しくない人にもわかりやすく、ヨットレースという新鮮さもあって楽しんでもらえると思います。

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
動画中継用のボートもこの大会用に開発された高速艇で、これでないとレース艇に追いつけない。

早福 今回は本番のレースだけではなく、エキジビションとして港の中でタイムトライアルレースを行ないました。港の堤防から間近でスピードと迫力のある帆走が観戦でき非常に好評でした。来年度のアメリカズカップ・ワールドシリーズのスケジュールはまだ決まっていないのですが、日本で開催できるようなチャンスがあれば実現したいです。

――今後の目標を教えてください。

早福 もちろん、アメリカズカップ優勝です。それを目指してチーム一丸となって戦っています。もし優勝すれば、優勝チームが次の本戦開催地を決められます。ぜひ日本でのアメリカズカップ本戦開催をしたいですね。

 そのためにも、チームをさらにビルドアップしていかなければなりません。現在セーリングチームが5人、ショアクルー5人と少数精鋭でやっていますが、非常にいいメンバーが集まったと思います。能力だけじゃなくて人間性も抜群です。こういった雰囲気を保ちながらどんどんチームを大きくしていきたいなと思っています。

 さらに現在、日本人クルーも公募しています。私と同じく「世界に飛びだしてチャレンジしたい!」という気持ちのある人に是非参加してもらいたいですね!

アメリカズカップに参戦するソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督早福和彦氏インタビュー
ソフトバンク・チーム・ジャパンは日本人クルーを募集中。詳しい募集内容は、公式サイトをチェック。

 以上がソフトバンク・チーム・ジャパン早福総監督のインタビューです。次戦のアメリカズカップ・ワールドシリーズ第3戦はカリブ海のバミューダで10月16日から開催予定。興味のある人はアメリカズカップ公式サイトやアプリでチェックしてみましょう!

●関連サイト
America's Cup Official Website 
ソフトバンク・チーム・ジャパン公式ページ 
ソフトバンク・チーム・ジャパン公式Facebookページ 
ソフトバンク・チーム・ジャパン公式Twitter 
アメリカズカップ公式アプリ(iOS版)
アメリカズカップ公式アプリ(Android版) 

 

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