8月29日~30日、スウェーデンのヨーテボリにてアメリカズカップ・ワールドシリーズの第2戦が開催されました。アメリカズカップ・ワールドシリーズは、2017年に開催予定となっている第35回アメリカズカップ本戦の前哨戦にあたるレースイベント。第35回アメリカズカップへは日本からもソフトバンク・チームジャパンが参加を表明しており、今回のヨーテボリ大会へも出場しています。
ヨット競技でも世界一を目指すソフトバンク。 |
今年度のアメリカズカップ・ワールドシリーズは全3戦を予定しており、7月にはイギリスのポーツマスで第1戦が開催。ソフトバンク・チームジャパンはチーム結成発表から3ヵ月弱と短い準備期間ながら、6チーム中5位と新造チームながらまずますの成績。
第2戦のヨーテボリ大会では、さらなる躍進が期待されます。
現地でプリペイドSIMを購入
レース開催地のヨーテボリは、スウェーデンの西海岸にあり、大航海時代には北海の出入り口として栄えたる港湾都市。現在ではスウェーデンの自動車メーカーボルボの本社がある都市としても知られています。
また2005年に開催されたヨットの世界一周レース『ボルボ・オーシャンレース』の到着点にもなったことがあり、ヨットマンには馴染みのある都市です。
(地図:https://goo.gl/maps/bQcYF)
欧州らしい石造りで美しい街並みのヨーテボリ。 |
ちなみに現地での通信環境は、キヨスクやコンビニ、売店などでスウェーデンのプリペイドSIMが購入できます。筆者はヨーテボリ空港の売店で購入。SIMの価格が45クローナ。同じく売店でデータ通信用のコードが購入可能。価格は1GB/50クローナ、3GB/100クローナ、10GB/200クローナです。
スウェーデンのキャリアTele2のプリペイドブランド「Comviq」のSIMを購入。 |
データパッケージを購入すると、登録用コードが記載されたレシートが渡されます。 |
あとはSIMをスマホにセットして、通話アプリから登録コードを入力して発信するだけ。しばらくするとスウェーデン語のSMSが到着し、ネットへのアクセスが可能となります。
APNなどの設定項目は下記のとおり。
APN: 4G.tele2.se
ユーザー名: 空白
パスワード: 空白
街中では4Gでの接続で、下りは10Mbps以上とまずまずの数値。テザリングでの利用もできたので、数日間の滞在で通信環境に困ることはありませんでした。
本番前日は強風下で2レース
本番前日の28日はプラクティスレースが行なわれ、ソフトバンク・チームジャパンは2位と好調さをアピール。29日からの本番に期待が高まります。
レース前、大会会場でのオープニングイベントに全6チームの選手が登場。 |
28日までは雨模様だった天候も29日には回復。ただし先日までの強風があまりおさまらず、29日は強風下でのレースとなりました。ヨーテボリ大会に参加したのは下記の6チーム。ポイントは第1戦のポーツマスで大会での獲得ポイントです。
ランドローバーBAR(イギリス)/19ポイント
エミレーツ・チームニュージランド(ニュージーランド)/18ポイント
オラクル・チームUSA(アメリカ)/16ポイント
グルパマ・チームフランス(フランス)/13ポイント
ソフトバンク・チーム・ジャパン(日本)/13ポイント
アルテミスレーシング(スウェーデン)/11ポイント
前回の第34回アメリカズカップ優勝チームはオラクル・チームUSA。 |
ポーツマスでポイントトップとなっているイギリスチーム。 |
アメリカズカップ本戦では1対1のマッチレースですが、前哨戦のワールドシリーズでは複数の艇が同時にスタートして競うフリートレースとなっています。
レースコースは風向や海面によってじゃっかん変更されますが、風上側と風下側に2ヵ所のブイで設定したゲートがあり、そこを通過して風上→風下→風上と合計3周するというもの。
プレス向けに配布されたコース設定の解説図。 |
第1レースでは、スタートでの位置取りがやや不利な場所なため、かなり厳しいレース展開に。ただしレース中はキッチリと艇速を維持しており大きく引き離されるということはなく、5位でフィニッシュ。
続けて行なわれた第2レースでは、ふたたびスタートでの戦略ミスで最下位からのレース展開に。日本チームでスキッパー(艇長)を担当するディーン・バーカー氏は、スタートテクニックに関しては、セーリング界でもトップクラスと定評のあるセーラー。今回は果敢に有利なポジションを狙ったものの、ニュージーランドチームとの競り合いに負けて不利なポジションに押し込められてしまったようです。
最後位からのスタートとなったものの、レース中の艇速とハンドリング技術でほかの艇を追い上げ。スタートで競り負けた3位を走るニュージーランド艇に肉薄するも、ギリギリで交わされ4位でのフィニッシュ。スタートさえ成功していればとじゃっかん悔いの残るレース展開でした。
地元スウェーデンチームは前日に転覆しており、その影響か初日は精細を欠いていた。 |
第1レーススタート直後の様子。真ん中の艇が日本チーム。 |
フランスチームと激しく競り合う日本チーム。 |
ニュージーランドチームとアメリカチームは終止安定した帆走を見せていた。 |
また初日はエキジビションマッチとして、タイムトライアルレースを開催。セーリングレースは通常は沖で行なうため、一般客の観戦が難しいですが、このタイムトライアルレースは、ハーバー付近を帆走して行なったので、多くの観客がアメリカズカップ艇の迫力あるスピードを観戦することができました。
耐トライアルでスウェーデンの海を跳ねるお父さん!! |
2日目の最終レースではこれまで最高の2位でフィニッシュ!
翌30日は前日までの強風とは打って変わり、軽風でのレースとなった。セーリングは風のみを動力として動いているため、ミスをして艇速を落としてしまうと風が弱いだけに再度スピードをのせるのに時間がかります。強風下よりもいっそう技術力が問われるレースとなります。
日本チームは先日とは打って変わって、スタートでのテクニックが光ります。第3レースでは好位置をキープ。第4レースでは先頭集団でのスタートとなり、レース中盤ではトップでゲートを回航するするシーンも見られました。
風上側から風下のアメリカチームをおさえて日本チームが抜き去る! |
第4レースはあまり差がつかず混戦に。 |
その結果、第4レースではこれまでの公式戦では最高位となる2位でフィニッシュ。総合得点でも4位に浮上しました!
ヨーテボリ大会のレース結果は、優勝チームが54ポイント獲得したニュージーランドチーム。総合得点でも72ポイントと首位に立っています。
ヨーテボリ大会結果(獲得ポイント/総合得点)
エミレーツ・チームニュージランド:54ポイント/72ポイント
ランドローバーBAR:46ポイント/65ポイント
オラクル・チームUSA:48ポイント/64ポイント
ソフトバンク・チーム・ジャパン:43ポイント/56ポイント
アルテミスレーシング:42ポイント/53ポイント
グルパマ・チームフランス:37ポイント/50ポイント
ヨーテボリ大会優勝のエミレーツ・チームニュージランド。 |
表彰式では定番のシャンパンファイトも! |
スタートや艇速など、課題も見られたレース展開でしたが、ほかのチームとの差はあまり感じられず、今後のトレーニング次第ではトップフィニッシュもじゅうぶん狙えるのではと期待できるレースでした。
第3戦は、アメリカズカップ本戦も行なわれる予定のバミューダで10月16日から開催となっています。今後のソフトバンク・チームジャパンの動向に注目です!!
●関連サイト
ソフトバンク・チーム・ジャパン公式ページ
America's Cup Official Website
ソフトバンク・チーム・ジャパン公式Facebookページ
ソフトバンク・チーム・ジャパン公式Twitter
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります