株式会社ポケモンは本日9月10日、新事業戦略発表会を開催。
↑左からゲームフリーク 増田順一氏、ポケモン 石原恒和氏、NIANTIC ジョン・ハンケ氏、任天堂 宮本茂氏 |
ポケモン、NIANTIC、任天堂の3社合同によるiOS/Android向けアプリ『Pokémon GO(以下、ポケモン GO)』の配信を発表した。ポケモン GOは位置情報を利用して現実世界を舞台とし、ポケモンをゲットしたり、交換したり、バトルすることが可能になるゲームだ。
2016年で20周年を迎えるポケモンはこれまで大きな場での発表を行なわなかった。しかし、今回発表するプロジェクトは2年にわたり進めているもので、7月に逝去した任天堂 岩田聡氏も携わっていた。
ポケモンがコミュニケーションツールに
ポケモンは日本だけでなく、世界中で遊び親しまれているゲームのひとつ。
先日、ボストンでポケモンの世界大会である“ワールドチャンピオンシップス”が開催されたが、ポケモンのゲームやカードをとおして世界中のプレイヤーがコミュニケーションをとっていた。ポケモンは言語の代替となり、コミュニケーションの架け橋になったという。
ポケモンが位置情報と絡むアプリを制作するきっかけになったのは、石原氏が次回のポケモンの構想を考えていたところNIANTICの『Ingress』に出会ったからだ。Ingressは友人や家族とたのしく現実世界とサイエンスワールドを楽しめる位置情報ゲームだ。
ゲームをプレイしながらも現実世界と繋がれるという新しい要素。Ingressは数か月に一度、世界中の都市で行なわれるイベントを開催し、現実世界での交流をはかっている。中にはこのゲームイベントをとおして結婚したカップルもいたそうだ。
ポケモンの石原氏、そして任天堂の岩田氏の構想で外に目を向けて遊んでほしいということは常々あったテーマのひとつ。そんな中、『ポケモン GO』を進めていったという。ポケモンのゲーム内のマップは現実の地図から創造しやすい。関東や北海道、パリなどが舞台だ。
『ポケモン GO』を使えば、世界中の歩道や町中、ショッピングセンターにポケモンが出現し、ゲットや交換、バトルができる。現実世界と似ているゲーム内マップからの逆輸入…とでも考えるとわかりやすいだろう。現実でもゲーム同様にポケモンに触れ合えるのだ。
ゲームフリークの増田氏は「ポケモンはペットというより、人に近い友達のような生き物」と。ポケモンがもっている可能性をNIANTICの位置情報技術により引き出していくようだ。
スマホの画面を見続けなくても遊べるデバイス
↑石原氏の右腕についているのがポケモン GO Plus |
↑ベルトをつければ腕時計のように使用可能だ |
最近はスマホの画面を見続けて周りに気が付かないという人が増えてきている問題がある。『ポケモン GO』は世代を問わず遊んでほしいゲームとなっているので、スマホの画面を見続けなくても遊べるデバイスを任天堂の協力で実装した。
『ポケモン GO』専用デバイスである『ポケモン GO Plus』はBluetoothによってスマホに連動し、LEDライトが光っていたらボタンを押してポケモンをゲットできる。そのほかの機能としてはバイブレーション機能も付与。機能自体は限りなくシンプルにしている。
この『ポケモン GO Plus』においてもっとも大事なのは、プレイヤーに自然に気づかせるということ。あくまでも『ポケモン GO』をとおして外の世界で遊んでほしいということが最重要なのだ。
『ポケモン GO Plus』をもっていなくともアプリ『ポケモン GO』自体を遊ぶことは可能であるが、通常のプレイよりも“より便利に”、“よりポケモンの世界になりきる感を味わう”ためには必須にアイテムだという。
『ポケモン GO』のコンセプトはNINTENDO64で発売した『ポケモンスナップ』にコンセプトが似ている。同じ空間でポケモンと向き合う要素の考え方は同じなようだ。
また、ポケモンというコンテンツ上、子どもひとりだけというよりは、親子でも遊んでほしいという。公開された動画ではお父さんと子どもがいっしょに『ポケモン GO』を遊んでいた。スマホをもっていない子どもでも、親のスマホで『ポケモン GO』をインストールしてもらい、実際に外で『ポケモン GO Plus』をつかって親子で遊ぶというのが理想的な遊び方だ。
アプリ自体の価格は無料で提供
『ポケモン GO』のアプリ自体は基本プレイ無料だ。ゲーム内課金システムを用意しているが、課金モデルは少数の人間が高額課金するような仕組みとは逆のシステムを構築する。薄く広い課金でフェアに遊べるシステムを検討中だそうだ。
また、別売りされる専用ガジェット『ポケモン GO Plus』に関しては詳細な価格などは未定だが、できるだけ求めやすい価格で提供する予定だ。Plusの有無でのゲーム内での“差”はそこまで設ける予定は無いが、Plusを所持しているひとが“ちょっと得できる”程度のサービスは提供したいとのこと。基本的にPlusは“ポケモンの世界へのなりきり度”、“便利さ”を追求したガジェットにしたいようだ。
ポケモンとIngressの融合はどこまで広がるのか
『ポケモン GO』の遊び方はIngressをプレイしたことのある人なら馴染みやすい仕様なようだ。ポケモンのゲットやバトルはIngressでいうポータルへの攻撃などをイメージしてほしいという。さらには、NIANTIC自体が直接開発にも携わっているため、『ポケモン GO』と『Ingress』自体の世界観は違えど、それぞれのプレイヤー同士の交流が可能になることもも示唆していた。
また、Ingressは富士山頂などの行き辛いポータルが存在している。しかし、『ポケモン GO』はあくまでも親子で遊ぶことを第一に考えているため、Ingressからの実績やデータをもとにポケモンならではの安全性を確保しつつ遊ばせるようだ。
ポケモンは2016年には20周年を迎える。
これまではゲームやアニメの中でしか存在していなかったポケモンが、『ポケモン GO』をとおして現実世界へ来てくれた。いずれポケモンたちが現実世界に飛び出してくるのもそう遠くはない…そんなことを発表会で感じた。
『ポケモン GO』
メーカー:ポケモン
配信予定日:2016年予定
価格:無料(ゲーム内課金あり)
対応OS:iOS / Android
©2015 Pokémon. ©1995-2015 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
©2015 Niantic, Inc.
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