2年先のスマホゲーム市場を考えると、レアガチャやスタミナ要素は必要では無い。
Android版の正式サービスが開始され、「ついにスマホで“あの”モンハンが!」と話題になっている『モンスターハンター エクスプロア』。iOSユーザーにとっては待ち遠しいところですが、今回はそんなモンスターハンター エクスプロアの開発者の方々にインタビューをしてきました。
↑左から運営プロデューサー 山本千晶氏、プロデューサー 杉浦一徳氏、ディレクター 岡野勇樹氏。 |
スマホに最適化しつつも“モンハンらしさ”を大事に
──本日はどうぞよろしくお願いします。早速ですが、それぞれ『モンスターハンター エクスプロア』での担当業務をお聞かせください。
杉浦一徳氏(以下、杉浦):プロデューサーとして主に全体の統括、コンセプト出しなどを担当しています。
山本千晶氏(以下、山本):プロモーションの統括に携わっています。
岡野勇樹氏(以下、岡野):ゲーム方針の舵取り、開発統括を行なっています。
──まず最初に、スマホ向けの“モンハン”として最も意識したポイントはどこでしょうか。
岡野:オリジナル版を始め、モンハンはアクションゲーム。スマホでプレイする際に幅広いユーザーに手軽に遊んでもらえるようなアクションゲームというのを一番意識しました。ただ、簡略化しすぎると“モンハンのアクションの面白さ”を失ってしまうので“狩猟感”を忘れないような緊張感のあるゲーム性にしました。
↑狩猟時は画面中央の操作パッドでマップ内を自由に動き回れるように操作可能。攻撃は操作パッド中央をタップ。モンスターへのターゲット及びカメラは自動追尾。ガードが可能な武器ならGUARDをタップ。回避操作に関しては画面をスワイプで可能となっている。 |
──メインビジュアルがハンターと島が対峙する構図となった理由はなぜですか。
岡野:『モンスターハンター エクスプロア』の世界観の中心にあるのは“探検”。舞台にしたのは断裂群島で、プレイヤー自身が探検し、未開の地を切り開くワクワク感をメインビジュアルでも表現したかったからです。
↑『モンスターハンター エクスプロア』のメインビジュアル。従来のモンハンだとメインビジュアルは“ハンター対モンスター”という構図だった。 |
──モンスターに攻撃が当たったときに“血しぶき”ではなく、閃光のようなエフェクトに変更したのはなぜでしょうか。また、オリジナル要素でもある“武技”の作成経緯を教えてください。
岡野:エフェクトを変更したのは視覚的に気持ちよさ、爽快感を味わってほしいためです。スマートフォンアプリという点から、音の出せない状態でも画面だけで派手さを演出できるようにしました。『モンスターハンター エクスプロア』のオリジナル要素である“武技”は、モンハンにRPG要素を組み込んだという結果です。より幅広い層に楽しんでいただくために、アクションの技術以外にも狩猟結果を大きく左右するような要素を追加したいと考えておりました。そこで、武技を実装、大きな効果を持たせることで、この点を実現しました。また、先にも説明しましたが、今作では探検がメインとなっています。探検をすることによってハンター自身が強化され、モンスターとの狩猟を有利にできるようにしました。
↑探検をして発見物を見つけて輝石を集めるとハンターのステータスが上昇する。 |
↑画面右のゲージが溜まると武技を発動できる。武技にはモンスターにダメージを与えたり、ハンターのステータスを上昇させたり、HPを回復できるモノまである。 |
オリジナルのモンスターや武器をいずれは登場させたい
──現時点で『モンスターハンター エクスプロア』に登場するモンスターの数はどれくらいを想定してますか。
岡野:ニンテンドー3DSで発売した『モンスターハンター3G』に登場するモンスターは一部のモンスターを除き、順次、登場させることが確定しています。今後はナンバリングタイトルである4や4Gに登場したモンスター、さらには本作オリジナルである、特殊種も登場させたいと思っています。
──『モンスターハンター エクスプロア』オリジナルのモンスター種である“特殊種”について教えてください。
↑リオレウス特殊個体である豪火種。全身に火をまとっている。 |
岡野:特殊種に関しては『モンスターハンター エクスプロア』の舞台となっている断裂群島から来ています。断裂群島はその周りを列界域に囲まれ、長きにわたり、外部からの侵入を阻んでいました。その結果、断裂群島では外部とは異なる独自の生態系が確立されました。そうした隔離された生態系で独自の進化を遂げたのが特殊種です。
↑独自の進化を遂げたことにより、通常の個体に比べて特殊種は強力な設定。 |
──モンスターだけでなく、使える武器種が増えたりすることはありますか。例えば操虫棍などの実装予定などはいかがでしょうか。
岡野:現時点では片手剣/大剣/ハンマー/ランス/ライトボウガン/ヘビィボウガン/双剣/太刀/ガンランス/弓/狩猟笛/スラッシュアックスの12種類。アップデート後に追加予定のチャージアックスに関しては『モンスターハンター4』で実装された武器ですので、同じく実装された操虫棍も『モンスターハンター エクスプロア』に登場させられればと考えています。
↑岡野氏は「従来のモンハンに登場していない完全オリジナルのモンスターや武器も実装したい」とコメント。 |
挑戦する姿勢がレアガチャやスタミナ要素を無くした理由
──本作において、スマホゲームでよくある“レアガチャ”や“スタミナ”の要素を無くした理由はなぜですか。
杉浦:レアガチャやスタミナなどの要素を無くしたのは、私の野心があったという理由も一因となっています。安易に同じような形式を使いたくなく、特にマネタイズ要素ということもあって独自のシステムを作りたかったというのが大きいです。長いスパンで遊び続けてほしいので、仮に2年先までを考えるとレアガチャやスタミナ要素ではなく、『モンスターハンター エクスプロア』で採用した、クエストに出発する前にハンター自身のステータス強化やクリアーした際の報酬を増やしたり、オートプレイを使うためにゲーム内アイテムである“狩玉”を使用する、と言った仕組みのほうが良いと考えました。
──モンハンでオートプレイを実装するのはかなり意外でしたが、なぜ実装したのですか。
杉浦:オートプレイを実装するにあたって意識したのは、難しそうなゲームというイメージを払しょくしたかったからです。自分たちがつくるゲームは基本的に自分たちが遊べるモノかどうかを大事な基準にしています。若い世代の人は複雑な操作があったとしても案外遊べてしまうものですが、30代、40代のユーザーを考えるともっと手軽さが欲しかったというのが大きな要因です。
山本:メインターゲット層は20~30代を意識していますが、ゲームが得意でないという方へのお手本としてもオートプレイを採用しました。プレイしても楽しんでもらえますが、見ているだけでも楽しんでもらいたい、そんなゲームにしました。
──オートプレイでゲームを楽しむ場合、どの程度ハンターが動き、活躍してくれるのでしょうか。
岡野:ハンター自身の性能は装備などの影響を受けるので、オートプレイだからといって手ごわいモンスターに勝てる訳ではありませんが、お手本となるような動きができる程度には活躍してくれる設定です。操作に不慣れな序盤などでは、小型モンスター相手は自分で操作、大型モンスター相手にはオートプレイで、という楽しみ方もできると思います。
山本:オートプレイは一度クエスト出発前に設定さえすれば、クエスト中にオートプレイのオン/オフが切り替えられるのでこちらも有効活用してほしいです。
↑「マネタイズに関してもオートプレイに関しても本作はかなり挑戦したタイトルです。」と山本氏はおっしゃった。 |
多くのユーザーに同時に遊んでほしいマルチプレイ
──モンハンといえばマルチ要素ですが、先行体験会でもほぼ同期ズレが無いほどのシステムで驚きました。
岡野:マルチプレイに関しては本作においてもっとも力をいれたポイントといっても過言ではありません。Wi-Fi環境下だけでなく、LTE環境でも満足にプレイできる環境を用意しました。全国のハンターといつでもマルチプレイができるようになっています。
杉浦:スタミナ要素を本作に採用しなかったのもこのマルチ要素があるんです。マルチプレイを行なうにあたってスタミナ要素は足枷にしかならないと判断しました。
↑メディア向け先行体験会でのマルチプレイの様子。4人同時プレイながら、それぞれの画面での同期ズレは見受けられなかった。 |
──マルチプレイに注力しているようですが、今後の展望などはありますか。
杉浦:スマホゲームのユーザー母数は現状でも相当な数がいることは把握しています。モンハンらしく4人までのマルチプレイを実装していますが、ゲーム内イベントなどを含めると数万、十数万単位のハンターが連動した遊びを提供したいというのがあります。マルチプレイはあくまでもモバイル端末で遊ぶゲームとしての入り口。多くのユーザーに「おもしろい!」「楽しい!」と言ってもらえるコンテンツを追加実装していきたいです。
↑「例えば、本作に、16人同時で遊べるコンテンツが実装されると聞いたらワクワクしません?」と杉浦氏に投げかけられた。オリジナル版のモンハンでは4人までのプレイだったが、それをはるかに超えるハンターで遊べると聞いただけでもワクワクしてしまう。 |
──それでは最後に、『モンスターハンター エクスプロア』に対しての意気込みなどをお聞かせください。
杉浦:いわゆる課金要素は本作に合わせた最適であると判断したものだけを採用しました。長いスパンで遊び続けてほしいという想いから、ゲームの寿命が短くなる武器や防具のレアガチャではない仕組みを取り入れました。今までレアガチャでスーパーレアの武器が出ないと悲しんでいるユーザーさんには新鮮な課金システムだと思いますし、マルチプレイ含めてとても遊びやすいゲームに仕上がったと思います。
山本:マルチプレイができるスマホゲームは年々増えてきました。『モンスターハンター エクスプロア』でのプロジェクトは約2年前からスタートしています。マルチプレイ、マネタイズ関連に関して、かなりチャレンジしたタイトルです。
岡野:ユーザーのみなさんには長い間、お待たせしてしまいましたが、そのぶん、面白さという面ではできる限りのことを行ない、ベストな形でお届けすることができたと感じています。思い入れがあるのはやはりマルチプレイ。Wi-Fiだけでなく遊べるように本当に試行錯誤しました。ひとりでも多くの方にプレイしていただければうれしいです!
モンハン初!クエスト中に“会話する”仲間が登場
インタビューの最後に、アップデート内容を少しだけ入手できました!
ひとりでプレイするときに、現状では自分で操作するハンターとオトモアイルー2匹でクエストに出発していましたが、アップデート後、強力な助っ人がハンターと共にクエストに出発してくれるようになるとのこと。
↑CV:米澤円 |
今回、先行して教えていただいたパートナーキャラとして“シエル”という女の子が登場します。ほかにも4人のパートナーが実装予定ということです。
パートナーとなるハンターにはそれぞれ声優がつき、モンハンでは初となるクエスト内/外それぞれで会話するようです。今までのモンハンでは攻撃時やダメージを受けた時のみボイスが流れましたが、普通に会話するようですよ。また、パートナーのフェイスは固有のモノで完全にオリジナル。
アップデート日時や詳細はまだわかりませんが、クエスト攻略に役立つパートナーになるということは間違いなし!
『モンスターハンター エクスプロア』
●カプコン
●無料(ゲーム内課金あり)
●対応OS Android/iOS(iOS版は近日配信予定)
■関連サイト
・モンスターハンター エクスプロア 公式サイト
(C)CAPCOM CO., LTD. 2015 ALL RIGHTS RESERVED.
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