『スマホde顕微鏡』を使ってみよう
第1回目、第2回目とタイムラプス映像を撮影してきたが、第3回目は顕微鏡でミクロの世界にチャレンジしてみよう。スマホで超拡大写真が撮れる顕微鏡アダプタにはさまざまな商品があるが、ここでは、学研ステイフルの『スマホde顕微鏡』を使う。
『スマホde顕微鏡』。本体装着式のライトボックス、3種類のレンズ、標本サンプルなどが付属。ラバー部分にグレー/ピンクのカラバリがある。 |
スマホ用の顕微鏡アイテムが、カメラ部に取り付けるタイプの場合、顕微鏡では被写界深度が極端に浅くなるため、ピント合わせが非常に難しい。また、筒型の顕微鏡では、顕微鏡の接眼部にスマホカメラのレンズを合わせるのがやっかいなのだが、スマホde顕微鏡は、スマホを置く台そのものが顕微鏡になっていて、本体横のダイヤルを回すことでと、上部の台が上下しピントを合わせられる。
また、観察する標本を下から照らすライトボックス(単4型乾電池×2本、LED照明)があり、2倍・4倍・16倍の3種類の交換レンズを装備、樹脂(プラスチック製)のスライドグラスと、標本サンプルが付属する。
レンズおよびライトボックスを装着した状態。 |
ライトボックスの上にスライドグラスを乗せ、ダイヤルを回して高さ(ピント)を調整する。 |
レンズ装着はスライド式。 |
レンズカードを逆に挿入すれば、背面上部中央にカメラがあるスマホにも対応できる。 |
まずは付属の標本サンプルを見て、撮影してみよう。スマホde顕微鏡のレンズは樹脂(プラスチック)の単レンズなので、どうしても周辺では収差が大きくなり、像が流れる。写真撮影の際は、スマホをピンチアウト操作して2倍程度のデジタルズームを効かせ、収差の少ない中心部を記録するのがよいだろう。
スマホde顕微鏡では、5倍程度のデジタルズーム使用を前提にしており、3種類のレンズで2~10倍、4~20倍、16~80倍としている。
スマホdeで顕微鏡のレンズとスマホカメラの位置を合わせ、観察開始。 |
ライトボックスを取り外せば、立体物の拡大観察も可能だ。 |
野外に持ち出そう!
扱い方や撮り方に慣れたら、照明など一通りの道具を持って外に出てみよう。地面にそっと置くだけで拡大撮影が行なえる。
野外といっても自宅の小庭で十分。スマホを上に乗せれば拡大写真が撮れるので、三脚やスマホスタンドなどの固定具は不要。 |
撮影に利用したのはiPhone 6。iOS 8以降のカメラに実装されたタイムラプス撮影機能を使うことにした。何も考えずスタートボタンにタッチするだけで、タイムラプス動画を自動生成してくれる。
Lightningケーブルケースに小窓を開け、iPhone 6のアリ避けカバーに流用。 |
フレキシブルLEDライトをUSBモバイルバッテリーで駆動した。 |
撮影間隔は0.5~4秒で、撮影時間に応じて自動的に調整される。これは、最短間隔の秒2フレーム動画を撮影し、完成される「タイムラプス動画が20~30秒程度」になるよう、フレームを間引いて最終的に動画にしているからだ。しかし、撮影間隔の最長は4秒、2時間撮影すると1分のタイムラプス動画が作られる。
タイムラプス撮影を開始。体長2~2.5mmの小さなアリ(トビイロシワアリ)を撮ってみた。小さなアリがうじゃうじゃ動くので苦手な方がいたらごめんなさい。 |
いよいよ撮影開始、菓子パンのかけらを地面に置き、その上にスマホdeで顕微鏡をセット。照明などを設置して、アリが寄ってくるのを待った。iPhone(iOS 8)のタイムラプス撮影における簡単かつお気軽さは、動き回る小さな生き物を撮る際に魅力的ではあるが、通常のビデオ撮影とは異なり、撮影中も撮影開始前も、ピンチ操作でのズームイン・ズームアウトはできないので注意しよう。
タイムラプス撮影途中でレンズを2倍→4倍に換えてみた(16倍のレンズでは焦点距離が短く、ライトボックスを外すとピントが合わない)。 |
動き回る小さなアリの姿を、しっかり美しく捉えている! パンの欠片の周りに小石を積み、隠そうとしているのがわかる。 |
アリなどの小さな生き物は、もともと動作が速くて観察しにくいため、動きをしっかりとみたい場合は、“スロー撮影”機能を使ってみよう。拡大スローなら細かな動きも確認できるし、なにより自然科学番組などでも十分通用する、高品質の動画が撮れる。
iPhone(iOS 8)のタイムラプス撮影は、物質が結晶化するときなど、その時々の条件によって現象時間(撮影時間)に見当が付かないときも便利に使える。
尿素の結晶(針状結晶)が成長する様子をタイムラプス撮影。空気の湿度や気温、水溶液の濃度によって撮影時間が変わってくる。 |
夏休みの自由研究は、お子様のためだけの課題ではない。自由に使える時間があったら、新しいことを試してみるのも日々の刺激になる。ひとつのことに長い時間を割けない忙しいオトナだからこそ、タイムラプスで時間を縮めて遊んでみてはいかがだろうか?
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