全天記録できる超広視界レンズをつくろう
空の変化なら、広い範囲を一度に撮影したい! できるなら全天を記録したいものだ。一般的には“魚眼レンズ”と呼ばれる超広視界の交換レンズ(スマホやコンデジ用なら魚眼アダプタ)を使うのだが、ここでは、もっとお手軽な方法を紹介しよう。
セキュリティ用ドアスコープは、安全確認のため超広視界になっている。 |
サムターン回し対策として、外側から外せないものも多い。 |
レンズを外側から、外筒を内側から回し閉めてドア穴に固定する。ドアスコープ穴の規格が、スマホのカメラにちょうどいいサイズだ。 |
光学ガラスレンズ・金属鏡筒の堅牢な魚眼アダプタ状の光学製品が、ホームセンターなどで1000~2000円で買える。 |
ドアスコープを覗くと、レンズ先端から水平垂直方向に各々180度(160度、200度の製品もある)が見えるのだから、目の代わりにスマホやコンデジのレンズを密着させれば、180度の視界=魚眼レンズアダプターとして使えるのだ!
小型コンデジのズーム広角側(焦点距離は、35mm換算で28mm)で撮影した空と、ドアスコープ越しに撮った全天の空。 |
同じく、28mmとドアスコープ越しの全周写真の比較。周囲が写ることで、印象的な見慣れない構図の写真が撮れる。 |
一般的な魚眼レンズも同じだが、ドアスコープ魚眼で撮ると視野中央を大きくゆがませ、周囲から浮き立たせる効果がある。 |
ドアスコープ魚眼で撮った写真は、普段の写真とまったく違う。ちなみに、ドアスコープ(広角の単眼鏡)のような光学製品の接眼レンズ(目を近づけるほうのレンズ)に、カメラのレンズを密着させる撮影法を“コリメート法”という。コリメート法は、天体望遠鏡や顕微鏡でも使える。
ドアスコープの光学系は、人の目のひとみの最大直径(平均7mm)に合わせて設計してある。そのため、コリメート法で撮影するカメラレンズの直径も、7mmに近いほうがいい。明るい(=レンズ口径が大きい)コンデジよりも、小口径レンズのスマホカメラのほうが適しているのだ。スマホレンズを傷つけないように注意しつつも、ドアスコープをピタッと当てるだけで、日常とかけ離れた風景が撮れるのがうれしい。
安価で堅牢なので、なにげなくポケットに忍ばせて持ち歩ける。 |
被写界深度が広く、近景から遠景までピントが合うのも特徴だ。 |
天候の変化をタイムラプス記録
前回の“結晶の花”に続き、今回もスマートフォン『AQUOS XX』でタイムラプス映像を撮ることにしよう。ドアスコープ魚眼を使って全天の空の様子を余すことなく捉えるのだ。雲が東西南北のどちらに動いているのか? 上空でどのように変化するのか? 興味は尽きない。
たまたま手元にあった水道蛇口の交換用ゴムパッキンのサイズが、ドアスコープと一致! ビニールテープでスマホに仮固定した。 |
タイムラプス撮影は、スマホの固定が前提だ。日射で加熱させないよう、防水カバーの表面をアルミテープで覆っている。 |
なお、一眼デジカメなどでの撮影の経験上、雲の動きのタイムラプス撮影は4~6秒の間隔で撮ると、動きがスムーズで形の変化も見やすくなる。AQUOS XXのタイムラプス撮影(1秒/2秒/5秒/10秒間隔)を用いて5秒間隔で撮影した。
5秒間隔のタイムラプス撮影を毎秒25フレームの動画にすると、125倍速になる。約21分の撮影で10秒分の映像、下の1分間(1500フレーム)のタイムラプス映像を作るのに、のべ125分の撮影が必要だった。
また、スマホは一般的に熱に弱い。特にタイムラプスでは長時間の設置となるので、なるべく直射日光の当たる場所での撮影は避けよう。強風時の撮影も厳禁だ。
スマホのカメラに、ドアスコープ魚眼を密着させて撮影。魚眼視野は小さめなので、ズーム機能で引き寄せてタイムラプス録画を行なった。 |
タイムラプス撮影したものをPCで再編集した動画がこちら。ドアスコープ魚眼は撮影用ではないため、鏡筒内面に反射迷光が出るが、これも“味”となった。
青空にただよう雲が複雑に形を変え、低い雲・高い雲が別の方向に流れる様子は見ていて飽きない。全天の変化を、時間を縮めて観察し、その土地ならではの傾向を把握しておくと、天気の変わり目もある程度予測できる。空を見上げるのは、最も身近な自然観察になるのだ。
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