KDDIは8月7日、2015年度第1四半期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比7.1%増の1兆465億1300万円、営業利益は同19.3%増の2309億9800万円で増収増益。モバイル事業が好調のほか、海外事業ではミャンマーの通信事業も順調で、特に営業利益は過去最高益を達成した。田中孝司社長は「新たな成長ステージに向けて国内外で取り組みを続けており、その結果の決算」と話す。
↑KDDIの田中孝司社長。 |
主力のパーソナルセグメントではau契約数が4407万4000件に達し、売上高は同8.5%増の8145億7600万円、営業利益が同16.8%の1792億1300万円。純増数が51万9000契約となり、前年同期比に比べて52%と大幅に拡大。これはスマートフォンの契約数に加え、タブレットやルーターの契約が拡大したためだという。
↑業績ハイライト。 |
↑営業利益の増減要因。主力のau通信料収入が拡大したことが大幅な増益につながった。 |
↑パーソナルセグメント、バリューセグメントともに順調に利益拡大。 |
↑3M戦略では、マルチデバイスとマルチユースのさらなる増加を目指す。 |
同社は“3M戦略”として、マルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユースを推進しており、マルチデバイスとして2台持ちのタブレットやルーターの利用を推進している。それにともない、タブレットの累計契約数は同2.3倍となり順調に拡大している。
↑実数は非公開ながらタブレットの利用数も急拡大。契約者ひとり当たりの端末数は1.38になり、期末には1.40まで拡大する見込み。 |
従来のARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)は回線契約ごとの指標だったが、マルチデバイスに伴って1契約者あたりの月間収入を示す指標である“ARPA”を設置した同社だが、今回は同2.4%増の5600円となり、前期比でも90円の増加となった。ARPAではデータ通信と音声通信の区分けがなく内訳は非開示だったが、田中社長は「データ収入が増加し、音声収入が減少している」と説明。従来のARPUで計算すると「ほぼ横ばい」だったという。
↑総合ARPA収入は4600億円を突破。前期に比べると付加価値ARPAが減少したが、前年同期比では増加した。 |
↑通信ARPA、純増数ともに順調。 |
コンテンツサービスなどの収入である付加価値ARPAでは、同7.5%増の430円だった。auスマートパスなどのコンテンツ系の収入は310円、au WALLETやauかんたん決済による手数料収入は120円で、いずれも前年同期比で増加しており、順調に利用が伸びている。全体の総合ARPA収入は同4%増の4654億円だった。
↑付加価値ARPAは対前年同期比で増加。 |
固定とのセット割である『auスマートバリュー』は提供開始から40ヵ月に達し、モバイルの契約数は984万契約、固定の契約数は484万世帯に達した。auスマートフォン利用者の52%、FTTHの『auひかり』利用世帯の60%がスマートバリューを契約しており、契約の拡大、解約率の低減に寄与している。
↑auスマートバリューの契約数は順調。 |
↑契約者全体のうちの割合も増加傾向にある。 |
そのほか、解約率は0.72、端末販売台数は205万台、固定ではFTTH契約数が350万8000件だった。
バリューセグメントは売上高が同14.6%増の617億9500万円、営業利益が同11.9%増の183億6500万円。『auスマートパス』会員が1319万に達し、付加価値ARPA、au WALLETなどの決済手数料の増加が奏功した。
au WALLETは申込件数が1290万件に達し、裾野が広がった。発行はしたものの利用登録がされていなかったり、実際に利用されていない例も多いようで、現時点ではまだ赤字の事業だが、今後利用をさらに拡大させることで、来期以降に黒字化を目指していく考えだ。
↑auスマートパスの契約数の増加に加え、au WALLETの申込数も順調。 |
↑この顧客基盤をベースに、さらに利用率を向上させるのが課題 |
ビジネスセグメントは、売上高は同4.9%減の1511億8400万円、営業利益が同0.9%減の200億8100万円。法人向けのモバイル・固定の両通信料収入の減少が響いた。
グローバルセグメントは、売上高が同11%増の767億6500万円、営業利益が同215.5%増の113億200万円と大幅に利益を拡大した。ミャンマーの携帯事業であるMPTが好調で、契約数は前年同期の約600万から2倍以上となる1400万以上に拡大。収益の大幅拡大につながった。さらにネットワークの強化を図り、成長を目指していく。
↑契約数が急増し、大幅な利益増に繋がったミャンマー事業。 |
営業利益、純利益ともに過去最高を記録するなど、順調な出だしとなったKDDIの決算。主力の通信事業に加え、今夏開始予定の電子商取引『au WALLET Market』などで流通総額の拡大を目指すなど、付加価値領域での収益拡大を図っていく。3ヵ年の中期経営計画の最後の年として、通期2ケタ成長の公約を果たすため、さらなる収益の拡大を目指していく考えだ。
↑au WALLET Marketによる電子商取引の拡大も目指す。 |
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