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夜空に流れる星を捕まえる!PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう

2015年08月07日 20時00分更新

8月13日前後の『ペルセウス座流星群』を撮ろう

 毎年、夏のこの時期は“みずがめ座δ(デルタ)流星群”、“やぎ座流星群”、“ペルセウス座流星群”と、3つの流星群が重なる。中でも今年は、月明かりが邪魔をしないので、ペルセウス座流星群(7/17~8/24)の観測条件が良いようだ。

 極大時刻は8月13日15時30分ごろになると予想されている。残念ながら空に太陽が輝いている時間だが、その前後も流星数は多くねらい目。近年、彗星の尾として宇宙空間にばらまかれた流星物質の動きの解析精度が上がり、予想も外れにくくなっている。しかしそれでも、極大時間を外して、突発的に流星数が急増することは良くあること。

 さて。流星観測に大切なのは『夜空の暗さ』だ。月が出ていると、暗い流星が見えなくなってしまうが、今年は14日が新月。そのため、12日の深夜~13日の日の出までと、13日の深夜~翌8月14日の日の出までが見ごろとなる。

流星を撮るための条件は?

 流星は、直径1mmにも満たない粒が、秒速40~70kmの猛烈な速度で地球の大気圏に飛び込んでくるとき、高さ80km前後の薄い空気(酸素分子や窒素分子)を瞬間的に光らせる現象だ。ほとんどが1秒以内の発光で、夜空をスッと動くために写真には写りにくい。しかも、いつ、どこに流れるのか判らない。

 そこで、流星を撮るためのカメラの条件がある程度決まってくる。

■広い範囲(広角)が写せる明るいレンズ(レンズ絞りの開放F値が小さい
■ISO-800以上の高感度設定が可能(ISO 1600~3200 で画質が荒れない)
■長時間露光が可能で、できれば連続撮影(インターバル撮影機能)できる

 これら条件を満たしながら、星空を写すときに欠かせない『ガイド機能』を内蔵するのが、『PENTAX K-3II 16-85WRレンズキット』だ。星を撮るのに大切な要素をすべて持っているので、これさえあれば普通の写真はもちろん、星空も流星も撮れる。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
高精細さがウリのPENTAX Kシリーズ最高峰PENTAX K-3IIに、オールマイティな16-85mmズームレンズをセットにしたモデル『PENTAX K-3II 16-85WRレンズキット』。本体の防塵・防滴・耐低温に加え、レンズも防滴仕様。安心してカメラを出しっぱなしにできるのがうれしい。

補足:天体写真特化タイプの一眼レフには、Nikon D810Aもあるが、星雲が発する目に見えない赤外線域の光(Hα線、波長656.3nm)捉えるようにしているため、普通の風景などを撮ると赤みがかった写真になってしまう。

 ここでは主に、天体写真を撮る際に注目すべき機能を紹介しよう。K-3IIの第一のポイントは、本体が防塵・防滴のため気軽に野外に持ち出せるアクティブなカメラだということ。16-85WRレンズキットに付属する『HD PENTAX-DA 16-85mmF3.5-5.6ED DC WR』も簡易防滴仕様だ。

 水分とは無縁だと思われがちな天体写真だが、深夜の気温低下に伴って必ず結露がある。特に流星を狙う場合、カメラを長時間野外に出しっぱなしにすることが多いが、砂埃や夜露がついても平気なのは安心感が違う。35mm換算で24.5mmの広角側が使えるのも、どこに出現するのかわからない流星を狙うのに最適だ。

アストロトレーサーが凄い

 何よりスゴイのが、カメラ本体に“アストロトレーサー”機能を内蔵していること。PENTAXの一眼レフは、撮像素子ユニットを上下左右に微細に動かすことで手ぶれ防止を行なう。その機能を利用して、地球の自転に伴う夜空の星の動き(日周運動)をキャンセルするのがアストロトレーサーだ。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
GPS設定でアストロトレーサーをON。
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
詳細設定でB(バルブ)時の撮影方法を[Type2]にしよう。これで、シャッターボタンを押しっぱなしにしなくても長時間露光できる。

 従来、オプションのGPSユニット(O-GPS1)を装着することで実現していた機能だが、K-3IIではO-GPS1相当のGPS・地磁気センサを本体に内蔵したのだ。この機能を使えば、最長で5分間シャッターを開けていても、星を追尾できる。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
撮影前に精密キャリブレーションを行なう。
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
本体側面のGPSボタンを押せば星空撮影の準備は完了。慣れれば1分もかからない。

 これまで星の写真を撮るには、たとえば、ビクセンの『ポラリエ』などの簡易赤道儀(ポータブル赤道儀)が必要だった。しかも、撮影地の緯度や方位を知り、簡易赤道儀の赤緯軸を北極星に合わせる、という手間もかかっていた。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
アストロトレーサーはB(バルブ)撮影モードで使える。なお、暗闇でバルブ露出の時間を知るには100円均一のキッチンタイマーがあると便利。
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
撮りたいところにカメラを向け、運良く流星が飛んでくれるのを祈ろう。このときは、あいにくと雲が出てしまった。(2015/7/26 01:31)16mm、ISO-800/F4.5/露出26秒。

 K-3IIなら、カメラを取り出してその場で精密キャリブレーションを行ない、撮影モードをB(バルブ)に合わせれば、それだけで準備完了。撮りたいところに向けるだけで撮影できる。

 極端な話だが、三脚が無ければテーブルなどの上にカメラを仰向けに置いてもオーケーなのだ。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
左側が東京都・練馬で撮影した写真(2015/7/22 0:19)。16mm、ISO-3200/F3.5/5.4 秒。地上の灯火などが光害(ひかりがい)となって、天の川はおろか、星も満足に写らない。右側は群馬県・赤城で撮影した写真(2015/7/26 3:16)。16mm、ISO-3200/F3.5/30 秒。光害が少なく30秒の露出でも背景は暗いまま、天の川がはっきり写っている。

 夏の旅行先など、都会を離れて夜空の暗いところに行けば、星の写真が撮れるのだ。流星もそうだが、星を撮るのに大切なのは夜空が暗いということ。気象条件も左右するが、やはり街明りが一番の障害になる。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
左下に流星が何とか飛び込んでくれた。天の川のほか、中央右にアンドロメダ銀河も写っている。群馬で撮影( 2015/7/26 3:03)ISO-3200/F3.5/43秒。

 なかなか撮れないときはどうする?

 なかなか写らない流星だけに、星空の中にひとすじの流星が写っているとうれしいものだ。どうやったら流星が撮れるか? といえば数をこなすしかない。カメラを星空に向けたら、バッテリーがカラになるまで、ひたすら自動で撮り続けること。

 具体的には、インターバル撮影を行なう。夜空の条件によっても違うが、写真が、ノイズでザラザラにならない程度のISO感度(ISO-800~ISO-3200)にし、レンズ絞りは開放にして、背景の空が白くなってしまわない程度の露出時間にしたら、インターバル撮影機能を使って連続的に撮ることだ。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
夜空の状態にもよるが、F3.5ならISO-1600で30秒ぐらいが目安だろう。
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
30秒露出なので32秒間隔で撮影することにした。ちなみにこの設定では、300枚撮影するのに2時間40分かかる。

 あとは、天候が崩れないことを願って星空を眺めよう。PENTAX K-3IIの場合、インターバル撮影時にアストロトレーサーは使えないが、35mm換算で24mm程度の焦点距離(16mm)であれば、30秒ぐらいの露出時間なら、星は点に写る。

 なお、アストロトレーサーは使えないが、GPS機能はONにしておこう。流星が写っていたときに、撮影地の正確な位置情報(経度・緯度・高度)と時刻がEXIF情報として記録できるため、記録としての価値が高まるからだ。

宝さがしのように流星を洗い出そう

 ひと晩に300枚なら、撮った写真を表示させ、目視で一枚一枚丁寧にチェックしても、何とかなるかも知れない。ただし、明るく長く写っている流星もあれば、暗く短い流星もあり、目視では見落とすこともある。見落とさないためには、どうすればいいのか?

 そんなときは連続して撮った写真から“流星らしきもの”を探すソフトを使おう。菊池 謙氏が作成した『ShootingStarDetector』(PC用ソフト:Windows XP/Vista/7/8対応)は、インターバル撮影などで連続的に撮影した多数の写真の中から、前後の写真との差異を探して報告してくれる。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
ShootingStarDetector、指定フォルダ内の写真ファイルを連続的にチェック。判定基準を調整することで、暗い流星の検出も可能だ。
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
検出すると、白黒反転画像を作成。そのファイル名から、もとの写真ファイルを見つけ、コントラスト強調して流星を見やすくした。
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
なお、こちらは毎年12月に見られる、ふたご座流星群のもの。オリオン座の左上(ふたご座)から右下に向かって飛んでいる。

 ShootingStarDetectorでは、写真の差異を探し出す。日周運動に伴う星空全体の動きは無視してくれるが、流星のほかにも人工衛星や飛行機の光跡も誤検出する。これらは、目視で判断するしかないので見分けかたを覚えておこう。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
人工衛星の光跡(左)と、飛行機の光跡(右)。明るさが一定で、前後の写真にも光跡が写っているなら、人工衛星の可能性が高い。飛行機の場合は、一定間隔で発光する閃光灯がある。

比較明合成を使う

 次は、複数の写真を重ね合わせてから流星を探す方法だ。PENTAX K-3IIには、指定間隔で撮影した複数の写真の、明るい部分だけを重ねる“比較明合成”機能がある。街並みなどの背景に、星が動いていく様子を表現するのに使われる。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
PANTAX K-3IIの比較明合成。撮影写真を保存しつつ同時に明合成した写真が作れる。右は比較明合成の例。南の空低くを500枚以上撮影したものから合成。星が左から右へ弧を描いて動く様子が表現されている(建物の向こうに、東京からは地平線ギリギリに見える明るい星“カノープス”が写っている:PENTAX K-rで撮影)。

 比較明合成写真が作れるフリーソフト『SiriusComp』(PC用ソフト:Windows XP/Vista/7/8対応)を使うのも良いだろう。出力ファイル名を指定し、合成したい写真ファイルを指定すると、明るい部分を次々と重ねてくれる。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
著名な比較明合成ソフトのSiriusComp。合成静止画のほか動画も作成できる。近頃は比較明合成機能を持つコンデジも登場するようになった。
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
PENTAX K-3IIで撮影した写真27枚(各25秒露出)を比較明合成。右下に人工衛星の光跡が、右の樹木の上に、流星らしき光跡が見える。
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
流星が写っている写真を見つけ、該当部分を拡大して強調。暗く小さいが、流星の可能性は高い。撮影地・群馬(2015/7/26 2:43)ISO-1600/F3.5/25秒。

 ペルセウス流星群など、流星群を撮った写真を比較明合成すると、複数の流星がおおよそ同じ場所から放射状に出ている印象的な写真が完成する。ぜひともチャレンジしてほしい。なお、ちょっとした機能だが、PENTAX K-3IIのモニタ画面が、カメラ位置に関係なく常に上を向くのには感心した。天体写真を撮るときカメラの上下はあまり関係ない。こういった小さなことが使いやすさに大きく影響する。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
横向き、上下逆向きにしても表示は上を向き、その際、十字ボタンの機能配置は変わっていない。指先が覚えた操作はそのままというわけだ。

 今回、K-3IIで星の写真(天の川)を撮るため、東京から130km離れた群馬県のとある山にロケに出かけた。肉眼でもうっすらと天の川が見える星空はすばらしいものだった。しかし、東京に星空がないわけではない。条件さえよければ、天の川も写真に写せるのだ。

PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
PENTAX K-3IIでペルセウス座流星群を撮ろう
空気の済んだ夜に東京・練馬で撮影(PENTAX K-3II 16-85WRレンズキット)。一見しただけでは灰色で塗りつぶされた写真だが、限界まで画像処理すると、天の川が見えてきた。撮影地・東京(2015/7/22 0:21)ISO-800/F4.0/54秒。

 望遠鏡メーカーのビクセンによる『ペルセウス座流星群ライトダウン』が8月13日に、国立天文台による『伝統的七夕ライトダウン』が8月20日と、不要な明りを消して夜空に星を取り戻すキャンペーンが広がりつつある。流星撮影をきっかけに夜空の星を見上げる機会を増やしてみてはいかがだろう。

■関連サイト
リコー『PENTAX K-3II 16-85WRレンズキット』

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