海外に行くときに、各国で現地SIMを買わずとも1枚持っていれば各国で利用できるグローバル対応ローミングSIMの種類が増えています。年に1~2回程度海外に行く人でも、持っていれば現地ですぐに使えるとあってとても便利な製品です。
7月に中国で開催された、Mobile World Congress 上海 2015でもLINEなどを世界で定額利用できる『ChatSIM』、日本人のよくいく渡航先をカバーした『slimduet』などが展示されていました。今回はそんなグローバルローミングSIMを複数ご紹介。それぞれの長所も簡単にまとめました。
↑スマホ時代のローミングSIMはデータ料金を重視。 |
まずは、グローバル対応のローミングSIMの選び方です。最近はこの手の製品が日本でもいくつか販売されています。音声通話料金の安さやカバレッジの広さなど製品それぞれに売りがありますが、スマホやタブレットの利用者が重視すべきは“データ料金”。いくら通話代が安くてもデータ料金が従量制ではあっという間に残高がなくなってしまいます。今回紹介するのはすべてデータ定額利用可能なプリペイドSIMなので、海外でスマホを思う存分使いたい人はこれらの購入を検討されるといいでしょう。
slimduet
↑まずは、slimduetのおさらい。 |
MWC上海2015で展示されていたslimduet。日本人にとっていちばん使い安そうなデータSIMです。まずは、こちらの情報をおさらいしておきましょう。利用可能国は台湾、香港、中国、韓国、日本、シンガポール、イギリス、アメリカ。スマホのアプリ上でそれぞれの国ごとのデータプランの申請が可能です。オンラインで注文できますが現時点では日本への発送はなし。日本が利用可能国に入っているだけに日本発送もぜひとも対応してほしいものです。
長所:日本人のよくいく渡航先をカバー
短所:日本からはオーダーできない
Keepgo
↑1年有効1GB、64ヵ国で1GB使えるKeepgo。 |
Keepgoはデータ専用のプリペイドSIM。スマホ利用なら音声通話よりもデータ利用が重要ですから、データ専用SIMでも十分使い勝手は高いでしょうね。特徴は有効期間が1年と長く、1GBのデータ通信が利用できること。通常この手のSIMは“1ヵ月500MB”のように利用期間が短くその間に使い切るのが大変なのですが、Keepgoなら1年の間に各国を訪問しても合計1GBが利用可能で使いやすいわけです。
Keepgoの価格は70ドル、利用対応国は64ヵ国。対応国は同社Webで確認できますが、アジアは中国、香港、シンガポールのみ。ヨーロッパなどを主体で使うのがよさそうです。なお、iPhoneではテザリング不可ですがAndroidで可能とのこと。
↑1GB追加は49ドル(約6100円)相当から、日本発送可能。 |
データ利用状況はウェブで確認できます。1GBを使い切りそうになったら500MB/39ドル(約4800円)、1GB/65ドル(約8100円)、3GB/185ドル(約2万3000円)、5GB/285ドル(約3万5000円)、10GB/490ドル(約6万1000円)で追加できます。有効期限は追加した日から1年延長。海外渡航頻度が多い人や友人同士でSIMを共有したいなら10GB入れるのがおトクですね。あるいは「飛行機を降りて、空港でSIMを買うまでの間だけつぶやきたい」という人は500MBだけ入れて安価にSIMをキープするのもよさそう。Keepgoはオンライン販売しており日本へも発送してくれます。
長所:1年1GBと明快でわかいやすい
短所:アジアのカバレッジが弱い
Transatel DataSIM
↑18ヵ月有効、17ヵ国データ定額のTransatel DataSIM。 |
Transatel DataSIMもデータ専用のプリペイドSIM。料金体系には“従量制”と“データ定額”の2種類。このうちデータ定額は17ヵ国で利用可能、200MB/15日、1GB/30日、3GB/30日の3プラン。3GBプランがあるので仕事での利用にも便利でしょう。しかも、SIMの有効期限は18ヵ月と長く、年に1度いくか行かないかわからないけど念のため買っておきたい、という人にも向いています。
↑台湾やインド、マレーシアも利用可能。 |
Transatel DataSIMも日本への発送が可能です。Keepgoでは利用できない台湾やインド、マレーシアでも使えるのが便利。利用国は近日中に増えるとのこと。定額の料金体系は4グループにわかれていて以下の通り。3つある料金はそれぞれが200MB/15日、1GB/30日、3GB/30日です。なお、アメリカは従量制で0.35ユーロ/MBで使えますが割高ですね。アメリカでは緊急時のみ使うのがよさそう。
台湾、フランス、ポーランド:5ユーロ/15ユーロ/38ユーロ
マレーシア、デンマーク、ポルトガル、マルタ、スペイン、スイス、トルコ:7ユーロ/19ユーロ/52ユーロ
シンガポール、ベルギー、イスラエル、ルクセンブルク:9ユーロ/29ユーロ/75ユーロ
タイ、インド、ドイツ:12ユーロ/55ユーロ/139ユーロ
長所:有効期限18ヵ月、台湾対応
短所:17ヵ国のみ対応。アメリカは従量料金
SimplyRoam
↑110ヵ国に対応するSimplyRoamも1年有効。 |
SimplyRoamはオランダベースのデータ専用プリペイドSIM。有効期限は1年間で、利用できるデータ量とエリアの組み合わせを変えることでよりお得に使えます。Keepgoが1年1GBとシンプルなのに対し、SimplyRoamは使い方をより細かく設定するというイメージです。データ料金は200MB/30日、500MB/30日、1GB/30日の3タイプ。次で説明する110ヵ国対応ゾーンのみ100MB/30日プランがあります。なお日本への発送ももちろんオーケー。
↑ヨーロッパがお得、アジア利用も可能。 |
ゾーン1はヨーロッパ33ヵ国、ゾーン2はヨーロッパ49ヵ国とアジアなど15ヵ国。ゾーン3は世界110ヵ国に対応します。さすがに、ゾーン3は料金が若干高めですが、アフリカや南米など現地SIMの購入が難しそうなエリアもカバーされています。現地プリペイドSIMの情報がない国に行くときなどはSimplyRoamを持っていくと安心でしょう。
ゾーン3は100MBで29.99ユーロ。4000円をSimplyRoamにチャージしておけば、1年間いつでも世界中に飛び立って現地で確実にデータ通信が可能なわけです。利用する料金やゾーンはオンラインで簡単に変更できます。
以下の料金は、それぞれ100MB/30日、200MB/30日、500MB/30日、1GB/30日。ゾーンの詳細はSimplyRoamのWebで確認してください。
ゾーン1:なし/14.99ユーロ/36.99ユーロ/59.99ユーロ
ゾーン2:なし/20.99ユーロ/51.49ユーロ/98.49ユーロ
ゾーン3:29.99ユーロ/59.49ユーロ/147.99ユーロ/280.99ユーロ
長所:ほぼ全世界110ヵ国対応
短所:利用国によっては料金が高め
GO-SIM Data Card
↑従量料金最大175ヵ国対応、定額63ヵ国オーケーなGO-SIM。 |
GO-SIMはグローバル対応の音声SIMなどを出している典型的なローミングSIM業者。このGO-SIMが200MBで49ドル(約6100円)、1GBで99ドル(約1万2000円)、それぞれ30日有効のデータSIMを出しています。利用可能な国は63ヵ国ですが、別途料金を追加すれば175ヵ国で従量料金でもデータ通信が可能。日本からのオーダーも可能です。ただし、もともとが音声通話SIMをメインに販売していた事業者だけに、データ料金の詳細がわかりにくいのが難点。しかも、200MBと1GBを使い切ったあとは従量料金になってしまいます。
長所:63ヵ国定額+最大175ヵ国に対応
短所:データ定額の延長不可
KnowRoaming
↑完全定額57ヵ国、フィルムタイプのKnowRoaming。 |
KnowRoamingのSIMは一般的なSIMとは異なり、薄いフィルムに基盤のついた特殊な形状をしています。利用するには海外ローミングできる自分のSIMを用意し、それにKnowRoamingのフィルム状SIMを貼り付けるのです。SIMの貼り付けは専用治具が入っているので簡単。このデュアル構造のおかげで、ヨーロッパ42ヵ国、アメリカ、台湾や韓国と日本を含むアジア8ヵ国など、世界57ヵ国でデータ無制限利用が可能。料金は1日7.99ドル(約990円)です。
↑フィルム構造やアプリにやや難点。 |
KnowRaomingは筆者も使っていました。アプリ上で料金を払い、データ定額を申請すれば7.99ドルで各国で思う存分データ通信が利用できるのは便利。ただし、アプリの出来がイマイチでデータ定額申請がやりにくい印象を受けました。また、フィルムSIMは一度貼り付けると、ほかのSIMに貼り付けなおすことができません。メインのSIMの契約を変えてSIM再発行などになってしまうと再利用が難しいのです。また毎週のようにSIMを抜き差ししているとフィルムSIMがダメージを受けてしまう可能性も。メインSIMの契約はしばらく変えない、SIMはほとんど抜き差しない、という使い方なら大丈夫でしょう。
長所:1日約990円でデータ定額
短所:頻繁なSIM抜き差しに弱い
↑グローバルデータSIMで世界中からつぶやこう。 |
今回紹介したグローバル対応のデータSIMは、各国で販売されている現地SIMより料金は若干高めです。とはいえ、複数国を短期間で行き来する人や、急な海外行きが決まった人には有用でしょう。グローバルデータSIMを保険でもちつつ現地では現地SIMを買うというのももちろんアリ。スマホを持ってこの夏海外へ行く人は今回紹介したSIMの利用もぜひ検討してみましょう。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります