世界的なDIYの展示発表会の日本版「Maker Faire Tokyo 2015」が8月1日~2日に東京国際展示場で開催された。スポンサー企業も含めた約350組もの出展者が集まり、自慢の作品を披露した。
昨年秋に開催された同イベントから50組が増えている。主催のオライリー・ジャパンによれば、「Maker」ブームに乗ってその規模も年々大きくなっているという。会場は、モノづくりが好きな有志が集まったアマチュア的なモノの見せ合いだけでなく、製品化目前の完成度の高い製品展示など、まさに「つくってみた」の祭典となっており、個人・企業を問わず”作ることの楽しさ”が会場にはあふれていた。
世界初? 生のリコーダーをmidi演奏するパイプオルガン
最初に紹介したいのは、浜松のとあるメーカー有志による同好会「R-MONO Lab」が展示していたハイブリッド・リコーダー・パイプオルガン“RP-103”。
13本のリコーダーを贅沢に(?)使ったリアルなアコースティック音源を実現。足踏みポンプ(ゴムプール用)で圧縮した空気を送って発音する。
手前にあるキーボードで弾けるだけでなく、MIDI端子を装備し、自動演奏にも対応。同時発音数は空気圧の都合で6音くらい(頑張れば13本鳴ることも)、音域はF3〜D5だが、リコーダーの穴の部分のシール貼り替えによりD6まで可能だという。動画での様子もぜひご覧あれ。
デザインと機構設計を担当したR-MONO Labの山本さんによれば、「小学校の頃使っていたリコーダーを集めて、小さなパイプオルガンを作ったらカワイイんじゃない?」というのがコンセプト。「生のリコーダーをパイプオルガンにしてmidiで演奏するのは世界初ではないか」と語った。
「イベントの直前に公開したばかりだが、会場も含めていい反応をいただいている。音楽家の方から、何でわざわざ光らせるのかという声があったようだが、Makerなので……としか答えられない(笑)。使っているリコーダーは寄せ集めのもの。今回の出展をきっかけに、ブレストをしてこのリコーダー・パイプオルガンを作ることにした。仕事だけでは(こういうアイデアは)出てこないだろう」(R-MONO Lab山本さん)
ダンベルで重石をつけたビーチボールに送った空気で作動する。空気を入れすぎるときちんと音が出ない。 |
ロジコマつくってみた
実物普通にかっこいい |
青葉山技研が展示したのは完全自走の動いて走ってしゃべるロジコマ(TVアニメ『攻殻機動隊ARISE』に登場する歩兵兵站用輸送支援車両)。
学校の研究の合い間に息抜きとして始めたものをニコニコ動画にアップしたところ、反響が大きく、応援の声をモチベーションに卒業まで制作を間に合わせたという。
背面も設定に近づけた |
自信があるのはメカニカルな機構の部分。ウラ面も含めて、完全再現にこだわった。カメラや腕なども今後はくっつける予定。
なお、ロジコマの次に作るのは『ドミネーター』を予定していたようだが、Cerevoから実際に製品が登場するということで驚いたらしい。商品化が決まる前から自分の頭の中でのドミネーターがあったということなので、ぜひ量産品でない一品モノも見てみたい。
「売ってほしい」ガチなNゲージ鉄道模型コントローラー
オートマチックなNゲージ |
秋ヶ瀬軽便鉄道Make部によるArduinoとパソコンを使った鉄道模型制御装置。Arduinoとパソコンを使って、Nゲージ鉄道模型の自動運転装置やATS装置、無線LAN経由でiPadから自由に操作できる鉄道模型コントローラーだ。
自動運転コマンドを使ったスクリプトファイルで運転パターンを自由に設定できるほか、ATS装置もあり、複数の列車が衝突しないように速度制御しながら同時走行もできてしまう。
製作しているのは、鉄道の制御システムを担当している本業の方。「売ってくれ」という声も多いということで、自作システムの販売も検討しているという。「コミケにも出ているが、こういう場所で感想が聞けるのが楽しい」と語ってくれた。
PCやアプリで走行の設定が変えられる |
モノ言う工具は実現するか?
脳波に反応して動くネコミミ「necomimi」を開発したneurowearプロジェクトによる製品「mononome」。会場では、Maker向けにしゃべる工具箱として展示。
家具や家電などに貼り付けると、振動や位置をセンサーが感知して反応。目の形をしたディスプレイでいろいろな反応が見れるというもの。専用のスマートフォンアプリで、使用された時間や頻度などの情報が蓄積されるという。
色んなものにつけてその反応を見れるようになることで、普段から使っているモノにより愛着がわきそうだ。目だけで口はついていないが、これでさらにしゃべってほしいという人も絶対いるはず。リアルど根性ガエルやってみたい。
そのほか気になる展示だらけ
東工大ロボット技術研究会のメカメカ四足歩行ロボ。動力源となるモーターがひとつだけで動くロボットで、前進と転回を実施。モーター1つだけでも複数の動作切り替えを実現。逆回転とバネによる調整のタイミングを合わせるだけという、シンプルな設計にこだわったという。
北九州高専の卒業生によるNEXT+αで展示されていた爪楊枝マリオの展示。爪楊枝約1万4000本で作った実物。さすがに電気は通っていなかった。
karakuri productsの「毛玉ロボット」。実際の小動物をイメージしており、触ると心臓の音がするような感覚がある。強く握ってみるとビクッと反応があるなど、会場の熱気も含めてリアルに伝わった。お子様が持っているとなかなかかわいらしい感じだけど、偽物なのに生き物な感じがちょっと不気味に魅力的。
以上、会場で気になったものからの抜粋第1弾。
このあと複数回に分けてのレポート掲載を予定しています。お楽しみに。
(2015年8月4日11:00更新:R-MONO Lab山本さんの担当を「コンセプトと機器設計」と表記していましたが、正しくは「デザインと機構設計」でした。お詫びして訂正致します)
(2015年8月3日23:00更新:R-MONO Labのハイブリッド・リコーダー・パイプオルガンについての一部表記を修正いたしました)
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