海外出張に持ち出すなど、筆者は12インチの新しいMacBookで仕事をしています。
オンラインのアップルストアでは出荷まで“1~2週”まちで、品薄が続いている。カスタマイズが不要なら、在庫のある家電量販店を探したほうがよいだろう。 |
この新MacBookに対する一般的な評価として、「MacBook Proなどのメインマシンとは別に、持ち歩き用のサブマシンとしてなら優秀」という声があります。たしかに筆者も仕事場には15インチのMacBook Proを置いています。
それでは、新MacBookをメインマシンとして仕事をすることはできないのでしょうか。テキストや写真の編集作業を中心としている筆者の場合、「がんばれば何とかなる」レベルにあることが分かりました。
MacBookが熱くなってきたら、本体を横にずらす
新MacBookの性能面での特徴は、使い始めこそサクサク動くものの、そのうち本体が熱くなってきて、性能が発揮できなくなるという点にあります。
これを検証するには、ベンチマークテストを連続して実行すればすぐに分かります。本体の温度が上がるにつれ、スコアがどんどん下がっていくからです。これに対してMacBook AirやProでは、冷却ファンの回転数を上げることで、同じスコアを維持しようとがんばります。
そこで試しに、新MacBookに家庭用扇風機の風を“強”で当てながらベンチマークを実行してみたところ、何度実行してもスコアが下がることはなく、性能を維持できました。仕事場などで新MacBookを使うときには、USB扇風機で本体に送風するというのが、ひとつの対策になるでしょう。
もっと原始的な冷却方法として、新MacBookが熱いときはそれを置いている机も熱くなっているので、本体を横に20~30cmほどずらし、熱くないエリアに移動すると、多少マシになります。
キーボードとトラックパッドの“罠”
新MacBookにおける不安のひとつが、“慣れれば打ちやすい”といわれる、独特な薄型キーボードです。Surfaceシリーズのタイプカバーにも似ており、MacBook AirやProのキーボードと同じ感覚で打とうとすると、突き指するかと思うほどです。
この薄型キーボードを何時間も連続して使っていると、キーを押し込むときの最適な力加減が、だんだん分かってきます。そのまま使い続けると、タイピングが新MacBookに最適化され、他のキーボードでは違和感を覚えるようになります。
新MacBookの薄型キーボードと滑らかなトラックパッドにはある種の中毒性があり、慣れると元に戻れないほどだ。 |
たとえばデスクトップでは、大型モニターと外付けのキーボードでPCを使いたいことがあります。しかし筆者は新MacBookに慣れすぎて、普通のキーボードでは入力困難になりつつあります。早くアップルには、新MacBookと同じ部品を使った外付けキーボードを開発してもらいたいところです。
もうひとつの問題は、トラックパッドが滑らかすぎるというものです。新MacBookのものに慣れると、これまでずば抜けて優れていると思っていたMacBook AirやProの操作感が、とたんに凡庸に感じるようになります。これも新MacBook特有のトラップといえます。
もちろん、使っていて不便な点はそのまま残っています。BluetoothヘッドセットやICレコーダーなど、ノートPCのUSBポートでちょっと充電できればいいというときでも、いちいち変換アダプターが必要になります。
その変換アダプターも、自宅用にもう1セット買い足したいところですが、値段が高すぎていまだに躊躇しています。
アップル純正の29W ACアダプターと、HDMI変換アダプター。もう1セット買おうとは思いつつも、合計で約1万6000円もするので、なかなか手が出せない。 |
充電の代案として、正式な保証はないもののUSB充電器を用いるという手はあります。純正のACアダプターほどのパワーがないため、急いで充電するときには不向きです。しかしバッテリーを100%の状態で使い始め、動画を見続けるなど負荷の高い用途でなければ、まずまず実用的な給電を得られます。
AnkerのUSB充電器(71AN7109-W2A)とエレコムのUSB Type-Cケーブル(USB3-APAC20WH)の組み合わせでは、新MacBookのバッテリーをほとんど減らすことなく運用できる。 |
新MacBookは第2世代機を待つべきか?
筆者が使っている新MacBookは、1.1GHz/256GBの最小構成モデルです。当初は冷却ファンのないCore Mの性能に不安があり、仕事に使えるレベルにないのではと、半信半疑だったからです。しかし筆者の仕事ではメインマシンとしてなんとか使えることが分かったので、512GBの上位モデルを買い直すべきか、考えるようになりました。
ただ、新MacBookをカスタマイズすると本体だけで約22万円になります。一般的には、モバイルPCにこれほどのお金をかけることはあり得ません。いくら仕事に使うとはいえ、10万円台前半くらいには抑えたいところです。
今後は新MacBookにも、より成熟した第2世代モデルの登場が期待されます。インテルがまもなく発表する第6世代のCoreプロセッサーでは、Core Mも新しくなり、性能やバッテリー駆動時間が着実に向上するものとみられます。
ただ、新MacBookのファンレスというデザインが続く限りは、プロセッサーが多少進化したとしても、PCとしての基本的な性格が劇的に変わることはないでしょう。となれば、第2世代の登場を待ち、値下がりした第1世代モデルを狙うのも悪くないといえます。
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