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約5000円の活動量計を扱うMisfitが考えるこれからのウェアラブルとは?ウーCEOを直撃

2015年07月21日 22時00分更新

 活動量計『FLASH』を国内販売するMisfit Wearables(ミスフィット ウェアラブル)のCEOであるソニー・ウー(Sonny Vu)氏がインタビューに応じ、同社の現状と今後の戦略、日本市場での取り組みを説明した。

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↑Misfitの創業者でCEOのSonny Vu氏。手に持つのが新製品の『FLASH』。首にかけているのが『SHINE』。

 FLASHは7月30日に発売する同社開発の活動量計で、すでに国内販売済みの『SHINE』の別バージョンにあたる。SHINEが素材にアルミを使うなどして約1万4000円だったのに対し、FLASHはプラスチック素材にすることで約5400円と価格を抑えた。

 ウー氏によれば、この価格差は素材の違いで中身は同一。“機能を抑えて価格を下げた”のではなく、むしろ高機能化しているのが特徴で、FLASHを1回押し、2回押し、3回押し、長押しといった具合にボタンとして使うことで、それぞれ機能を割り当てることができるようになった。たとえば接続したスマホのリモートシャッター、音楽プレーヤーの再生コントロール、プレゼンテーションコントロールといった機能が実現できる(対応するOSやスマホ側のアプリの対応によって利用できる機能は異なる)。

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↑Misfitアプリの設定画面。

 このボタン操作では、IFTTT、Spotify、Nestといったウェブサービスと紐づけられる。こうしたインターネットサービスとの連携が、単なるトラッキングではない、Misfitのひとつの方向性だという。日本でもこうしたウェブサービスのパートナーを集めて「日本のユーザーが恩恵を受けられるようにしていきたい」(ウー氏)という。

 また、同氏は「今後ハードウェア自体の重要性はだんだんと減っていく」と指摘。そこから得られるデータが重要で、各種ウェブサービスやコーチング、フィットネス、医療といった分野との連携によって、その機能性を高める方向性を強化。ハードウェア自体も、少しずつ機能強化はしつつ、「シンプルさと美しさを残す」という考え方で設計していく考えだ。

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↑ウー氏はFLASHの発表会において、これからのウェアラブル(ウェアラブル2.0)について、さまざまな機能への活用について言及した。

 SHINEとの差は素材だけとはいえ、アルミ素材を使うことで高級感があり、ファッション性を重視するユーザーに向けたものと位置づける。FLASHの投入によってSHINEの売り上げが下がると思いきや「むしろ売り上げは上がった」とウー氏。

 SHINEは、高機能には興味がないが、ファッション性が高いのでいつでも身につけていたいという人が購入し、FLASHはもう少し機能性が欲しい人が購入するという人も多いようだ。「SHINEは常に身につけるもの、FLASHはボタン機能のために買うもの」という使い分けの人もいるという。こうした使い分けに対応するため、FLASHを3個セットにしたパッケージも検討する。

 活動量計は、世界的に見ると米国と中国が一大市場で、オーストラリアや英国も普及が進んでいるという。米国やオーストラリアはフィットネス大国として、そして中国は「シャオミ(小米)が製品をたくさん広めた」(ウー氏)ため、数量的に普及しているそうだ。中国では数は多いものの、価格が安いため売上規模は小さく、収益としては米国が大きいそうだ。

 米国市場でのマーケットシェアは3〜4位。スポーツ系の活動量計の分野では下がるが、逆にファッション系では順位が上がるという。中国では、グローバルメーカーとしてはJawboneに続いて2位に位置し、Fitbitよりもシェアは高いそうだ。英仏伊といった欧州でもSHINEの人気が高く、高級感がありつつシンプルな外観でファッション性の高さというのが差別化に繋がっているとみる。米国では、機能性が重視されるが、それでも女性の間ではデザイン性の高さからMisfitが選ばれる傾向があるという。

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↑海外ではスワロフスキーとコラボし“世界で最も美しいウェアラブル”を発売した。

 それに対して日本市場は「まだ市場が立ち上がるか、立ち上がらないかわからない段階」(ウー氏)。そのため、市場がどうなるかはまだ判断できないとしつつ、「確実に言えるのは、まず製品がもっと便利にならなければならないということ」と強調。単純にアクティビティーをトラッキングするだけでは普及に繋がらないという考えを示す。

 かといって、スマートウォッチのように高機能化すると、300〜500ドル(約3万7000〜6万2000円)といった高価格になってしまう。活動量計が50ドル(約6200円)程度と安くできる点はスマートウォッチに対する差別化のひとつであり「みんながディスプレーを求めているわけではない」とウー氏は指摘する。

 日本ではKDDIと連携し、au Online ShopでSHINEを販売しているものの、「まだトライアルの段階で、販売数は小さい」とウー氏。国内にサポート態勢も整っていなかったが、日本でのパートナーも見つけたことで、今後サポートの強化も図っていく考え(販売代理店は昨年3月からソフトバンクC&Sが担当)。

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↑日本では複数の販売店で取り扱われているが、まだ規模は小さい。

 そのために重要なこととして、ウー氏は2点を挙げる。

 1点目は認知度を上げることで「Misfitのブランド力は日本ではゼロに等しいので、存在をアピールしていきたい」。2点目は「日本でのユースケースをしっかりと把握していく」こと。海外のユースケースがそのまま適用できるとは考えていないそうで、日本に適したユースケースを把握して、それに合わせたマーケティングを進めていく考えだ。

 当面、販売は量販店やAmazonなどの個人向けだが「ひょっとしたらB2Bマーケットが大きくなるかもしれない」という。フィットネスクラブや企業の健康管理、医療系などでの導入を考えているそうで、こうした分野の開拓を図る意向も示している。

 「短期的な目標として、日本人が何を求めているか理解していくことが第一」として、まずはニーズを探っていき、そこから連携するサービスや製品を投入して、「1年以内に2位になり、いずれは1位を目指す」としている。

 ウー氏は日本市場の特徴として「品質にこだわるし、サービスにもこだわるし、かつ安くしろと言わないという特徴がある。いいものにはお金を払ってくれる、そういう市場は多くない」と話し、そうした日本市場において、「単に売り上げを伸ばすだけでなく、流行に終わらない、そういうブランドになりたい」と強調している。

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